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「橙」の名前の由来と意外な用途~苦い!けど縁起は良い?~




オレンジ色を和名で言う場合、橙色(だいだいいろ)と言い表すことがあります。

ただ、日本語表記で並べる場合でもオレンジと使われる方が多く見られます。

それほど覚えづらい漢字ではありませんが、なぜかこのような扱いを受ける「橙」は実はとても縁起の良い漢字なのです。

今回は多くの人があまり知らない「橙」という単語に注目していくものになります。

「代々」が「橙」に?縁起が良い物と言われる理由

「橙」という漢字は音読みでは「トウ」と読み、訓読みでは「だいだい」と読みます。

この単語でミカン科の柑橘類の「ダイダイ」を指すことができ、そこに名前の由来があります。

橙の果実は冬に熟しますが、その熟した果実が年を越しても木から落ちないで成り続けるものでした。

このことから果実が「代々」続くものとして「だいだい」という呼び名になったのが語源になります。

そして、この「代々」という意味があることから鏡餅の一番上に置かれるのがダイダイになっています。

一般的には、三種の神器か心臓の形とされる2つの丸い餅とダイダイを重ねたものを鏡餅としますが、現代ではダイダイの入手が難しいことからミカンで代用するものも見られます。

ただ、本来の縁起物としては、ダイダイを使うことに意味があるものになっています。

橙武者という言葉

一方でダイダイは、別名でビターオレンジと言われるほど、食べる際には酸味と苦味が強い特徴があります。

飾りとしては見栄えや縁起はいいものの、そのまま食べるにはあまり向いていません。

このことから転じて、見掛け倒しの武将を「橙武者」と呼ぶ表現があります。

歴史上の人物で「橙武者」と呼ばれる代表として、薄田兼相(すすきだかねすけ)が挙げられます。

兼助は、1614年の大阪の陣において、遊郭に通っている最中に守るべき砦を陥落させてしまうという失態を犯しました。

このことから「橙武者」と言われるようになったようです。

「橙」と見る正月飾りたち

鏡餅以外にも「橙」を付けた正月飾りはいくつかあります。

ここでは鏡餅を含めて正月飾りの意味や由来を挙げていきます。

門松

竹や松で作られた門松は玄関などの家の前に置いておくものです。

これは年神様が迷うことなく家に来てもらえるようにという意味があります。

松には「祀る(まつる)」という意味で取ることからめでたい樹木として、門松に使われるようになったようです。

また、竹はまっすぐ伸びる生命力の強さを表しているとされます。

門松にも「橙」が付いていることがあり、主に中心の辺りに置かれるようになっています。

意味としては竹に似ているのですが、見栄えとして橙色を添えると良く見える効果があります。

しめ飾り(玉飾り・輪飾り・しめ縄など)

しめ縄で作られたものをまとめて締め飾りと言います。

神様を祀る清浄な場所であるという目印であり、不浄なものが入らないようにする結界としての意味があります。

「橙」はこれらにも付いていることがあり、主に上の方に置かれることが多いようです。

結界としての効力はありませんが、玉飾りやしめ縄は縁起の良い物で華やかに飾り付けるものなので、「代々」の意味を持ち、他と違う色どりができる「橙」は使われることがあるものです。

鏡餅

先ほども例として出しましたが、意味としては大小2つの餅が陰と陽を表していて、福得が重なると考えられています。

また、お供えした餅は神器として神が宿るとされていて、この餅を食べることで神様の力を分けて貰えるとされています。

最近では後で食べることを考えて透明なカバーに入った状態の鏡餅が売られています。

そのような理由もあるので、本来は「橙」であるところを食べやすいミカン(餅と違ってミカンは保存状態に気を付けなければいけません)にしたり、「橙」の形をした模造品を使ったりといった代用品が置かれるようになっています。

まとめ

今回の記事についてまとめると、

  1. 「だいだい」は「代々」が語源となっている
  2. 「代々」の意味として鏡餅に使われている
  3. 縁起や見栄えとして正月飾りに付けられることもある

の3つになります。

見た目はミカンとあまり差がないので、正月飾りで意識したことはない人もいたと思います。

ミカンや模造品でももちろん良いのですが、このような意味があるとわかると、「橙」の方を置いた方がいいのかな?とちょっぴり思ってしまいますね。

次のお正月には、正月飾りに「橙」が使われているか、確認してみてください。




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