習字の筆と硯




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【硯の洗い方】小学生が家に持ち帰ってくる天敵…黒い墨‼︎




小中学生のお子さんをお持ちのお母さん、夏休みや冬休みに子供が持ち帰るものの中で、もっとも憂鬱な道具がありますよね。

そう、習字道具…。

女の子は比較的きれいに使う子が多いですが、男の子は「どうしたらこんなに汚くなるの?!これを洗ってくれって言うわけ?!」という状態で持ち帰ってきませんか?

特に頭を悩ませるのがです。洗っても洗っても水が黒い…。
そもそもどうしてこんなに墨がこびりついていて固まっているの?

そこで、硯の正しい洗い方とメンテナンスの仕方をご紹介したいと思います。
授業でちょっと使うだけだから…と言わずに、こびりついた墨の塊をやっつけて美しい硯を取り戻しませんか?

硯を洗う前に問題を解決

困っているエプロン姿の女性
書道をしていない人にとって、書道の道具というのは少し謎に感じますよね。

そもそも硯って洗わなければいけないもの?

学校で洗ってこないということは、もしかして硯は洗ってはいけないのでは?
家で硯を洗ったらあちこち汚れて大変だし…。

できれば硯を洗いたくない!・・・という気持ちを納得させるために問題を解決しておきましょう。

学校ではなぜ硯を洗わないの?

「授業が終わったらきれいに洗ってきてよ!」とお子さんに対して腹が立つかも知れませんが、実は学校では習字の授業の後に硯を洗う時間を設けないという場合が多々あります。

しかし「硯は洗ってはいけない」ですとか「硯は洗わないものだ」という認識は間違っています。
硯はやはり洗った方が良いです。

学校で硯を洗わないのにはいくつか事情があって、子供たちが一斉に硯を洗うと洗い場が混雑しますし、大量に墨を流すと配水管が痛んだりという懸念があるからです。

そのため学校では、書き損じた半紙や新聞等を利用して硯に残った墨汁を拭き取ることで硯をきれいにするように指導しています。

また、硯を洗うのは、墨を磨る際に大切な硯の表面にある研磨の部分が根詰まりしないようにするためです。

しかし授業で墨を磨って使う子供はそうそういません。ほとんどの子は墨汁を使っていますから、墨を磨らないのであれば研磨部分がつるつるしていても問題ありません。あまり神経質になって洗う必要がないのですね。

ですから、普段は古紙で墨汁を拭き取っておいて、洗うのは夏休みや冬休みにというタイミングは丁度いいのかも知れません。

墨で汚さないための工夫

では自宅で硯を洗わなればいけないとして、最も困ることが墨汁で汚れる事ですよね。

白い洗面台が黒くなるのはいやですし、あの黒い水を延々と流すと配水管の汚れや傷みも気になりますね。

屋外に洗い場があればベストですが、洗面台や流しで硯を洗う場合洗面台に水垢がついていると、水垢に墨が付着して黒くなるんですね。そのままにしていると落とせなくなるので注意が必要です。

ですから直接洗面台や流しで洗わないように工夫しましょう。
バケツや大きめの洗い桶を用意してその中で硯を洗って、少々面倒ですが外に水を捨てたり、お風呂場の排水溝にそっと捨てると良いでしょう。

また、洗面台で流水に当てながら硯を洗うと墨がはねて洋服が汚れてしまいますよね。溜めた水の中で洗えば水はねしませんね。

墨の塊はどうやって落とす?

両手をあげて諦めたエプロン姿の女性
それでは硯を洗う覚悟ができたところで、洗っても洗っても落ちないあのボコボコした塊の落とし方をご紹介します。

硯のふちに蓄積されていく墨の塊を放置していると、硯の容積がどんどん減って行ってしまいます。

あの塊の正体は「膠(にかわ)」という墨の中に含まれた接着剤なのだそう。

どうりで普通に洗っても落ちないわけですね!

お湯でふやけさせて落とす

一番の方法はシンプルですが水に浸けてしばらくおいてみる方法です。水のかわりにお湯を使うとさらに効果があります。ゆっくりふやけさせるように気長に2~3時間おいてみましょう。

それでも落ちない頑固な塊の場合、何度かこれをくり返しふやけさせながら数日漬け置きしてみましょう。

あの墨の塊の正体が接着剤だと知れば、ふやけさせて落とす方法は理にかなっていますよね。

酢で落とす

水に酢を入れて一晩浸けておくという方法もあります。
一晩で落ちなかった場合は酢の濃度を上げてみてください。

専門家の方は昔ながらのこの方法で墨を取っているらしいです!

ゴシゴシしては駄目?

よく墨の塊を落とす方法で歯ブラシやスチールウールでこする方法が紹介されていますが、長年積もった塊はそれでは落ちませんし、できれば硯に傷がつくようなものでこするのは避けた方が良いでしょう。

しかし、こするのはNGですが表面をある程度こそげ取るには多少力技も必要なようです。

硯に傷を付けないように気を付けるのが大前提ですが、専用のノミ又は彫刻刀で慎重に削って塊を薄くしてからうるかすようにしましょう。

硯の洗い方

墨の入った硯で筆をしごく
墨の塊が取れたら普通に硯を洗うのですが、注意することや上手な洗い方はあるのでしょうか?

がさつな私は自分の硯も子供の硯も特別な方法で洗ったという記憶がありませんが、硯を良い状態に保つ洗い方があるようです。

そういえば書道が上手な子は道具もきれいだったと思います。

上手な硯の洗い方

硯を洗う時はやわらかいスポンジなどを使ってぬるま湯で洗うのがおすすめです。
水でも良いのですが、接着剤である膠をふやけさせるにはやはりぬるま湯の方が効果がありそうですね。

スポンジはやわらかいものであれば食器洗い用でも大丈夫ですが、とくにおすすめなのがカット綿。薬局などで購入できます。

硯を傷つけませんし、汚れはもちろん手指についている油脂も拭ってくれます。
ちなみに洗剤等は必要ありません。

洗ったあとのお手入れは?

硯を洗い終わったら柔らかいタオルなどで水を拭き取るようにしましょう。
水道水で洗って水滴が残っていると、カルキの跡が白く残ってしまうからです。

この時もさきほどのカット綿が活躍します。水滴をぬぐったあとはしぼって乾かしておけば繰り返し使えるので便利です。

硯を洗ったあとは陰干しで乾かしてから道具入れに戻しましょう。
濡れたままでしまうとカビが発生する原因になってしまいます。

一度カビが発生するとなかなかとれませんが、木炭やスポンジを使って繰り返し洗ってみてください。

筆の洗い方

子供の習字をする様子
硯と並んで洗うのが大変な筆の洗い方も併せてご紹介したいと思います。
筆は墨が固まった状態で持ち帰るお子さんが多いと思います。

持ち帰るたびに新しい筆を買った方が早いと思ってしまいますが、硯と同じように丁寧に洗ってみてください。

上手な穂先の洗い方

筆は使い終わったらすぐに洗うのが基本です。時間が経つと墨が固まって落とすのに苦労するからです。

というわけで、持ち帰った筆がすでに墨でガチガチという状態で洗うことを前提でお話します。
まずは使用後の墨を放置して筆割れを起こしている場合、まずは固まった墨をやわらかくすることから始めます。

硯同様、膠を溶かすので洗い桶などにぬるま湯を入れ、その中に筆を浸けましょう。

指の腹を使って筆の毛並みに沿ってもみ洗いを繰り返し、墨をおとしていきます。

ちなみに筆割れしてしまってもきれいに洗って乾燥させると穂先は元に戻りますので、諦めずに洗ってあげてください。

上手な筆の洗い方

膠をある程度落としたら普通に筆を洗っていきます。

筆を洗う時流水で洗い流してしまいがちですが、水道水を直接筆にかけると毛先に癖が着いたりまとまりが悪くなることがあるので、空き瓶などに水を入れて洗います。

瓶などの空き容器に筆の根元まで浸かるように水またはぬるま湯を入れて筆を軽く振り、水を替えながら数回繰り返します。

その後、親指と人差し指の腹で筆を優しくもみ洗いしましょう。
特に毛の付け根部分は固まりやすいので、墨が残らないように丁寧に墨を取り除いてください。

付け根に墨が残って蓄積していくと筆毛の直径が大きくなってしまいます。また、筆割れの原因になっていまいます。

水が黒くならないようになるまで、水を交換して筆を洗います。

筆を洗ったあとのお手入れは?

筆を洗い終わったら、筆の根元から毛先に向かって指の腹でつまむようにスライドさせながら水気を切ります。

さらに、毛の部分に多量の水を含んでいますから、使わない半紙や吸い取り紙で筆を包むようにして優しく水分をとります。

最後に指の腹でなでるように筆の形を整えます。
ある程度水分が抜けたら穂先を下にして、室内の風通しの良い場所で陰干ししましょう。

完全に乾いてから道具入れに戻しましょう。

まとめ

  1. 学校では硯を洗ってきませんので、家の中を汚さないように工夫して洗ってあげましょう
  2. 硯にこびりついた墨の塊は硯を傷つけないようにうるかして落としましょう
  3. 硯を良い状態に保つ方法で洗いましょう
  4. 筆も硯同様固まった墨を落とせば元通りになります

「三日顔を洗わずとも、硯は毎日洗わなければならない」という言葉があるのだそうです。
書道を趣味とする者にとって硯を洗うことは日課であり、最低限のたしなみなのだそう。

もちろん授業で書道を習うだけの子供にそれを求める訳ではありませんが、書道は心も道具も整えてから始めるものです。

お子さんの硯をお母さんが心を込めてきれいにしてあげたら、もしかして心が落ち着いて書道が上達するかも…?




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