保育士の皆さんにとってイベントの準備は大仕事ですよね。
一つ終わったら次のイベントの準備…と、季節ごとの行事が多い日本では365日考えを巡らせなければいけなくて、正直「本当に大変…」と、頭を抱えている方も多いのでは?
大変ではありますが、保育園で1年間を通して色々な行事を行って子供たちが参加することは、なぜその行事があるのか覚えたり、行事にまつわる言葉を覚えたり、その行事ではどんなことをするのかを知ることができる大切な機会です。
できるだけ記憶に残るように、かつ楽しく参加できるように考えてあげたいですよね。
忙しい中でもあまり時間やお金をかけずに上手に楽しめるよう、一緒に考えましょう!
ベースになるご提案をしますので、もちろんアレンジしてみるのもいいですね♪
「こどもの日」について紙芝居などで説明
子どもたちに「こどもの日ってなあに?」と質問されたら上手に説明できるでしょうか?
ちゃんと説明するとしたら、意外に面倒なのが「こどもの日」。
でも「こどもの日は~、こいのぼりの日で~す!」ではあまりにもお粗末ですよ。
こどもの日の行事を始める前に、子供たちに「こどもの日」の由来をお話しすることになっている保育園もあると思います。
意味を詳しく知ったうえで、子どもたちがわかりやすいように上手にまとめてみましょう。
こどもの日の出し物として、まずは紙芝居などにしてお話ししてあげるとわかりやすいのではないでしょうか。
「こどもの日」ってなあに?
「こどもの日」は
こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する日
引用…祝日法
ということです。
母にも感謝する日だったんですね(にやり)
5月5日の端午の節句の日を「こどもの日」にしようと決めたのは1948年です。
ということは日にちは同じでも「こどもの日」と「端午の節句」は別のもの。
もともとは男の子のためのお祝いだった端午の節句が「こどもの日」として子どもたちみんなをお祝いするようになったんですね。
ではなぜ端午の節句の日を「こどもの日」と決めたのでしょうか?
ここからは紙芝居などでこどもたちにお話ししてあげましょう。
「端午の節句」ってなあに?
ちょっとだけ難しい「端午の節句」を説明するために端午の節句の由来となった古い中国の物語を用意しましょう。
まずは「端午の節句」がなぜ5月5日なのか?というお話。
実は「端午」とは「月初めの5日」という意味があって、1月5日でも12月5日でも「端午」なのです。
しかし5月5日が「端午の節句」になったのには由来があるんです。
大昔、中国に「屈原(くつげん)さん」という立派な人がいました。
屈原さんは正しいことをする勇気のある人で、みんなに好かれていました。
しかし、屈原さんが王様と仲が良いのを悔しいと思った人たちのせいで、ある年の5月5日に屈原さんは川で死んでしまいました。
悲しんだ人たちは屈原さんのために5月5日に川にご飯をお供えしていました。
ところが川に住んでいる竜がそのご飯を食べてしまいます。
そこで、竜がきらいな葉っぱでご飯を包んでお供えしました。
この葉っぱで包んだご飯、見たことありますか?
端午の節句で食べる「ちまき」というご飯です。
なぜ「端午の節句」が「こどもの日」なの?
それでは、端午の節句がなぜこどもの日なのか?というお話につなげていきましょう。
(例文)
昔、中国では5月になると病気になる人がたくさんいました。
だから、中国では病気にならないように「菖蒲」という葉っぱのお薬を飲んだり、お風呂に菖蒲の葉っぱを入れたりしました。
菖蒲という葉っぱは、細くてとんがっていますよ。刀に似ていますね!
だから、病気や悪いものが近寄ってこないように刀に似ている菖蒲の葉っぱを飾るようになりました。
この中国の方法を日本の人がみて「いい方法だね」と、日本でも5月5日に同じようなことをするようになったのです。
日本では「子どもに悪いものが近寄ってきませんように」とか「こどもたちが病気やけがをしませんように」とお願いして5月5日を「こどもの日」にしました。
もともとは病気や災いをさけるための行事で、その行事に使われる菖蒲の葉が刀ににていることや、
「しょうぶ」という言葉が武士を想像させることから、男の子の無病息災や立身出世を願う行事になったようです。
日本での「こどもの日」の由来はちゃんと説明しようとすると由来だらけで話せば随分と長くなります。
大人になっても記憶に残るようなお話しで興味を引きましょう。
こいのぼりにちなんだ出し物
こどもの日といえば「こいのぼり」
最近はこいのぼりを出すお家も減ってしまい、住宅街で見かけることはあまりなくなってしまいました。
ですが、ショッピングモールや地区ごとの行事では大きなこいのぼりやたくさんのこいのぼりが飾られることも多く、子どもたちにもなじみがありますね。
たくましい鯉のように、子どもたちが元気に大きくなるようにと願いがこもっている「こいのぼり」
強い風が吹くとますます力強く泳いでいる…そんな姿は壮観ですね!
どうしてこいのぼりを飾るの?
まずは「こいのぼり」について簡単に子どもたちにも説明しましょうね。
これも絵を使ってお話ししてあげるといいですね。
中国の「黄河」という大きな川に、大きな滝がありました。
昔、その滝を上ったお魚は竜に変身できると言われていました。
あるとき、一匹の鯉がその滝を上って竜に変身してお空に昇っていきました!
この鯉さんのように、みんなが強い子に育ちますように!とお祈りしてこいのぼりを飾っているんですよ。
- 一番下の小さい青い鯉は「子鯉(こごい)」
- 真ん中の中くらいの赤い鯉は「緋鯉(ひごい)」
- 一番上の大きい黒い鯉は「真鯉(まごい)」
五色の吹き流しは悪いものを追い払う意味が込められているんですって。
大きなこいのぼりを作ろう!
画用紙などを使って作るこいのぼりの作り方はさまざまありますが、年少さんなど小さな子には意外と難しかったりしますよね。
そこで、クラスごとに全員参加の「みんなで作る大きなこいのぼり」はいかがでしょうか。
こいのぼりのうろこを一人一枚担当する方法です。
模造紙で大きなこいのぼりをつくっておいて、そのうろこをこどもの人数分用意します。
うろこには年長さんなら将来の夢を書いたりお母さんへの感謝を書いてもいいですね。
年少さんや小さな子はかわいいおててに絵の具を塗ってうろこにスタンプ!
子どもの成長を願う行事ですし簡単ですから、手形や足型のスタンプはおすすめです。
みんなのうろこを大きなこいのぼりに貼り付けて、クラスみんなの大きなこいのぼりのできあがり!
保育園の廊下などに飾れば大迫力!
うろこに名前を書いておけばお迎えに来た保護者さんも我が子のうろこを探したりして楽しめますね。
こいのぼりリレー
5月は気候も良いですし、外に出てみんなでこどもの日にちなんだものを使って遊んでみてはいかがでしょうか。
元気な園児の様子をご近所の人が見かけたらほほえましくて楽しいのではないでしょうか。
ルールは運動会でのリレーと何ら変わりありませんが、バトンの代わりにこいのぼりを使います!
画用紙で作るのも良いですが、こいのぼりのような素材の布で作ると風で鯉が元気に泳いで、こどもたちの元気な姿をさらに魅力的にしてくれますよ♪
こいのぼりバトンにはせっかく大中小の鯉がいるのですから、子鯉は年少さん、緋鯉は年中さん、真鯉が年長さんだよ!ということで、年少から年長までシャッフルしたチーム分けにしてみてはいかがでしょう。
何なら「吹き流しは先生だよ~」ということで先生もチームに加わって走ると楽しいかも知れません。
吹き流しの色をチームの色にすればいいですね。
年少さんも年中さんも年長さんも先生も、みんなで力を合わせてこいのぼりをリレーしましょう!
兜にちなんだ出し物
端午の節句でこいのぼりの他に飾るものといえば、兜ですね。
昔の立派なお宅では大きくて立派な兜と鎧を飾られていて驚きます。
あまり大きなものは最近少なくなりましたが、小さくてかわいらしい兜もあって、今でもこの風習はちゃんと残っているんですよね。
見た目もかっこいいので、やはり男の子はテンションがあがるのではないでしょうか。
なぜ兜を飾るの?
兜や鎧は昔から戦の時など身体を守るために男性が身に着けていたものです。
つまり、男の子の身を守るもの。ということで兜を飾って「子どもが病気やけがをすることなく、大きく成長しますように」という願いを込めたのですね。
子どもたちにとって兜は何のためのものか、お話しするといいですね。
だから、男の子の安全をお祈りして兜を飾っているんだって。
みんなが自転車にのるとき頭を守ってくれるヘルメットと同じだね。
でも、兜はヘルメットよりかっこいいね!
兜を作りましょう!
折り紙で作る兜も良いですが、やはり兜はかぶってなんぼ!
ということで、今回は子どもたちがかぶって遊べるように新聞紙で兜を作りましょう。
かぶりやすくなるひと工夫もありますので、是非やってみてください。
兜は正方形で折りますので、下準備として新聞紙を正方形に切っておきましょう。
図は見やすいように折り紙でご説明しますね。
①図のように三角に折ります
↓
②右の角を図のように頂点に合わせて折り、反対側も同じように折ります
③折り紙を180度回転させ、向きを変えます
↓
④右端を頂点に合うようにさらに折り、反対側も同じように折り上げます
⑤さきほど折った部分を図のように両方折って兜の角をつくります
⑥下の折り紙を、上の一枚だけ図のように折ります
⑦つづいて、折り重ねるように図のように折ります
⑧残った折り紙を図のように折って一旦折り目をつけます
↓
⑨折り目を付けたら元に戻して袋になっている部分の中に折り込みます
⑩兜が完成しました
↓
⑪次に、かぶりやすいように兜にマチをつけましょう。兜の両端を図のように折り込みます
⑫これでマチができました。兜のできあがり!
兜とり合戦
兜をかぶって戦国時代を体験!
男の子も女の子も自分の兜をかぶってお友達の兜をとり合う「兜とり合戦」はいかがでしょうか。
お外でもできますし、体育館でもできますよ。
赤チームと青チームに分けて、お互いの陣地から合図とともに相手陣地に入って相手の色の兜をひょいっと取ったら勝ち。
兜をとられてしまった子は自分の陣地に戻ってお友達の応援をしましょう。
一回で取れる兜は一つだけにすると、勝ち残る子は半分になります。
半分になったところで、多く残っている色のチームが勝ちです。
みんなで一斉にやれば恥ずかしがり屋の子も参加できます。
昔の合戦のしかたにならって「やあやあ!我こそは○○!」と名乗ったりすると盛り上がりますね。
あくまでも叩いたりせずに自分の兜を守りつつ、ひょいっと相手の兜をとるように教えてください。
かしわもち
こどもの日の出し物で遊んだあとは、こどもの日にちなんだおやつをみんなで食べたいですね♪
こどもの日といえば「かしわもち」!
キッチンを使わなくても意外と簡単にできるので、子どもたちと一緒につくると楽しいですよ。
本物のかしわの葉を初めて見る子もいるでしょう。
なぜこどもの日にはかしわもちを食べるの?
それでは、おやつの前に「なぜこどもの日にかしわもちを食べるのか」という説明も簡単にしておきましょう。
おもちを包んでいる葉っぱはなんの葉っぱかわかりますか?
これは、「かしわ」という木の葉っぱなんです。
かしわの葉っぱは新しい芽が出るまで落ちない強い葉っぱなんです!
だから、おじいちゃんおばあちゃんから、おとうさんおかあさん、みんなのようなこどもまで、ずーっと家族が続きますように、と願いが込められているんですよ!
中国では端午の節句に米を葉で包んだ「ちまき」を供える風習があるので、それにちなんで縁起物のかしわの葉で包んだ餅を端午の節句に食べるようになったようです。
かしわもちの作り方
分量は10個分でご紹介しますので、人数に合わせて材料を用意してください。
- 白玉粉 50g
- 上新粉 140g
- 砂糖 17g
- 水 180g
- 片栗粉 小さじ1
- あん 150g
- ボウルに白玉粉・上新粉・砂糖を入れて水を少しずつ加えながら溶かします。
- レンジで1分加熱し、木べらでよく混ぜます。
- 再びレンジで2分半加熱し、すりこ木でよくつきながら混ぜ、手で押しながらまとめていきます。
おもちつきの要領で「ぺったん、ぺったん」、手でこねながらみんなでおもちをつくりましょう。 - 片栗粉を同量の水で溶いて混ぜ、耳たぶくらいの硬さにします。
- 10等分して楕円形にのばし、あんを包んで合わせ目をしっかり止めましょう。
先生のお手本をみながら上手にかしわもちを形作ってみましょう。合わせ目をしっかり止めるのは先生が確認を。 - 蒸し器にクッキングシートを敷いてかしわもちを並べ、その上にさらにクッキングシートをかぶせて強火で5分蒸します。
- 冷めたらかしわの葉で包んで、できあがり!
【かしわ/Amazon参考】
ちなみにかしわの葉は購入したほうが枚数もそろいますし、下ごしらえも必要ないので簡単ですが、
もし、かしわの葉を摘める環境であればさらに良い経験になりますね。
摘んだかしわの葉は10分くらいゆでて水けを拭きとっておけば使えますよ。
まとめ
- こどもの日について、興味を引く紙芝居でお話ししましょう
- こいのぼりのおはなしと、こいのぼりにちなんだ出し物
- 兜のおはなしと、兜にちなんだ出し物
- かしわもちのおはなしと、かしわもちの作り方
こどもの日についてちょっと詳しくなった子どもたちは、きっとお家に帰ってお父さんやお母さんに保育園で楽しかったことや覚えたことをお話しするでしょうね。
子どもたちの成長を一番に願っているのはご両親でしょうから、楽しい夕食の話題になってくれたら嬉しいですね。
小さい頃の行事の思い出は、保育園時代そのものの思い出になります。
先生方が一生懸命考えて楽しんだ出し物は、大人になってもずっと記憶に残ることと思います。
今回ご紹介した出し物をヒントにしていただけたら嬉しいです。
準備は大変だと思いますが、子どもたちと思い切り楽しむ一日になりますように!