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剣道三段の筆記試験/ここは絶対出る‼︎押さえておきたいポイント




剣道三段の昇段審査を受けることになった方。

受審資格の年数のことを考えれば、長く稽古を積んできたと思います。

ここまで余裕を持って昇段審査に挑んできた方も、少し不安が出てくるのではないでしょうか。

しかし、三段の筆記試験の内容は、二段の範囲をきちんと勉強していれば、新しく覚えることはそんなに多くはありません。

出題される問題は各都道府県によって異なりますが、ここでは全体的に出題率が高かった問題をご紹介します。

緊張しすぎず、丁寧に勉強していきましょう。

絶対に押さえておきたい重要問題

剣道の面
まずは、三段の学科試験に高確率で出題される問題からご紹介します。

どれも難しいことではないので、まずはここから勉強を始めましょう。

剣道の理念・剣道修練の心構え

まずは、初段や二段の筆記試験でも出題される剣道の理念と剣道修練の心構えです。

三段を受審する方は今でも覚えていると思いますが、一応ここで再確認しておきましょう。

○剣道の理念
剣道は剣の理法の修練による人間形成の道である
○剣道修練の心構え
剣道を正しく真剣に学び
心身を錬磨して
旺盛なる気力を養い
剣道の特性を通じて礼節をとうとび
信義を重んじ
誠を尽くして
常に自己の修養に努め
以て国家社会を愛して広く人類の平和繁栄に寄与せんとするものである

これらは二つあわせて必ず覚えておきましょう。

重要語句を記入する穴埋め方式で出題されることが多いので、それぞれの語句(特に漢字)を間違えないように正確に覚えることをお勧めします。

「打突の機会」を列挙せよ

二段の試験でも出題される問題です。復習するつもりで覚えましょう。

打突の機会には次のようなものがあります。

  • 出ばな(出頭、起こり頭)相手が攻めに出るところ、または打突の動作を起こそうとした瞬間
  • 相手が引くところ
    相手が攻め負けて、備えなしに後退したり横に移動するところ
  • 技の尽きたところ
    呼吸を整えるため打突をやめた瞬間、または技から次の技へ移ろうとする切れ目
  • 受け止めたところ
    自分が打突し、相手が受け止めて安心した瞬間
  • 身体または心の居ついたところ
    相手が気勢をなくしたり、迷ったりして身体の動きを失ったところ
  • 虚が生じたところ
    相手の気力が充実していないで、気の抜けたところ
  • 心に四戒が生じたところ
    相手の態度に疑い迷いの心が生じたところ
  • 息を深く吸うところ
    相手が息を吸い、動作が止まったところ

普段の稽古や試合の中で無意識に見極めていることですが、言葉にするとなると難しいのではないでしょうか。

学科試験の問題ですが、実践向きでもあるのでしっかりと覚えておきましょう。

「残心」について説明せよ

剣道に欠かせない残心。剣道だけでなく、他の武道や茶道でも使われる言葉です。

残心とは、たとえ打突が不十分であっても、油断をせず次の変化に対応できるように身構え、心構えを怠らないことです。

普段からよく耳にしますが、言葉にして説明するのはなかなか難しいと思うので、自分なりにポイントを掴んで説明できるようにしておきましょう。

「有効打突」について説明せよ

皆さんご存知の通り、有効打突の条件は

充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残身あるものとする。

とされています。(剣道試合・審判規則第12条)

言わば気剣体の一致です。

「気剣体の一致について説明せよ」の問いにもこれを応用することができます。

この文章を丸々暗記して穴埋め方式で答える場合もありますが、作文方式で出題されやすい問題でもあるので、自分の言葉で説明できるよう、大切なポイントを押さえておきましょう。

  • 充実した気勢…発声、攻めの姿勢など、打突に気をのせること。
  • 正しい姿勢…打突の際に体勢が崩れていないこと。
  • 竹刀の打突部…弦の反対側、物打を中心とした刃部。
  • 打突部位…面は正面及び左右面(こめかみ部以上)、小手は中段の構えの右小手及び中段以外の構えの時の左右小手、胴は左右胴、突きは突き垂。
  • 正しい刃筋…打突の方向と刃が同じ方向になるように振ること。竹刀を刀に見立てた時、刃の方向に合わせて刀を振らないとものを切ることができません。
  • 残心…先ほど説明した「残心について」を参考にしてください。

出題されやすい問題

ノートに鉛筆で書き込む2
続いては、そこそこ出題される問題たちです。

中には二段の試験に出題されるものも多くあるので、復習も兼ねて確認しておきましょう。

「切り返しの効果」を列挙せよ

稽古の度に必ず行う切り返し。

三段ともなれば、何のために切り返しを行うのかを考えながら、ポイントを掴んで竹刀を振っていると思います。それらを記述すればOKです。

決まった正解は無いので、的外れなことを書かなければ大丈夫。

例を挙げるとすれば、

  • 正しい体さばきと竹刀操作(正しい刃筋、打ち方)が修得できる
  • 手の内の感覚を掴み、冴えた打突ができるようになる
  • 呼吸法を習得でき、肺活量が増大する
  • 筋力、精神力が強化される
  • 正しい間合いを修得できる
  • 気剣体一致の打突を修得できる

などです。

単純な動作の中にも、様々な要素が含まれているのですね。

切り返しについては目的や必要性、注意点なども問われることがあります。普段の稽古から意識してみましょう。

「打ち込み稽古と掛り稽古の違い」について説明せよ

これも三段の試験によく出題される問題です。

それぞれどのような稽古なのかは皆さんご存知かと思いますが、何を狙って行うか、どんな効果が期待されるかなどの違いを必ず記述しましょう。

  • 打ち込み稽古
    打ち込む側が、元立ちの与える打突部位を捉えて、打突の基本的な内容に留意しながら繰り返し打ち込んでいく。打突の基本的な技術を体得する稽古法。
  • 掛り稽古
    掛かる側が、積極的に相手を攻め崩して打突の機会をつくり、短時間のうちに気力、体力の限りを尽くし「しかけていく技」を用いて打ち込む。技術と心肺機能の向上を図り、気力や体力を練り上げる稽古法。

「打ち込み稽古の注意点について説明せよ」

「掛り稽古で得られる効果について説明せよ」

というような問いも出されているので、これを基本に記述してみましょう。

「正しい鍔迫り合い」について説明せよ

鍔迫り合いとは、相手を攻撃したり、相手が攻撃してきたときに、間合いが接近して鍔と鍔が競り合った状態をいいます。

自分の竹刀を少し右斜めにして手元を下げ、下腹に力を入れて自分の身体の中心を確実に保つようにし、お互いの鍔と鍔が競り合う中で、手元の変化や体制の崩れから打突の機会を作ります。

鍔迫り合いの状態だけでなく、鍔迫り合いをしながら攻撃の意思があるという事を記述しましょう。

また、鍔迫り合いの注意点についても問われることがあるので、ここも押さえておきましょう。
鍔迫り合いの注意点は以下の通りです。

  • 手元を下げ、下腹に力を入れて腰を十分に伸ばす。
  • 首をまっすぐに保って、相手と丈比べをする気持ちで相対し、身体が前傾しないようにする。
  • お互いの鍔と鍔が競り合うようにする。
  • 相手の方に竹刀をかけたり、刃部を身体にかけたりしない。
  • 必要以上に力んだり、気を抜いて休んだりしない。
  • 積極的に技を出すか、分かれるようにする。

「目付け」について説明せよ

剣道では「眼(目)」は単に物理的にものを見るだけでなく、洞察力の意味もあります。

調べてみると目付けにも色々あるようですが、やはり有名なのはこの二つ。

  • 遠山の目付け相手の目を見つめると共に、遠い山を望むように相手の全体をおおらかに見、弱点を見極める目付け。相手の一点をじっと凝視するのではなく、相手の爪先から頭のてっぺんまでを冷静に見ます。
  • 観見の目付け「観る目=心の目、洞察力」と「見る目=ものの表面に現れる現象を見る目」を持つこと。物理的に相手の動きを捉えるだけでなく、気の働きを養い、物事の内側に秘められた本質を見抜くことが大切です。

相手の竹刀の先や打突部をじっと見ていては、相手に悟られるだけでなく、自分の動きも鈍くなります。

正しい目付けを心がけていきたいですね。

「三殺法」について説明せよ

相手を制するための手立てとして、相手の剣、技、気の三つを封じることを言います。

こちらも二・三段試験によく出題されるので、押さえておきましょう。

  • 剣を殺す乗る、なやす、払う、まくなどして相手の剣の動きを制すること
  • 技を殺す先手先手と攻め、相手に技を仕掛ける余裕を与えないこと
  • 気を殺す気力で相手を圧倒し、相手が攻撃しようとする機会を制すること

三段ともなれば覚えておきたい言葉です。意味も併せてきちんと理解しておきましょう。

覚えておきたい基本事項

ノート、ペン、単語帳
続いては、様々な形で出題される問題の根っこの部分、基本についてご紹介します。

問題は各都道府県によって異なるため、全ての問題に対応するのは難しいですが、基本事項の重要ポイントを押さえておけば安心です。

間合い

決して出題率は高くありませんが、油断できない問題です。

間合いとは、相手と相対したときの双方の

  1. 距離
  2. 構え、竹刀操作、心の動きなどの関係
  3. 技術、体力、精神力等の違い

など、互いの関係のすべてを含めたもののことをいいます。

「間合い」といえば互いの距離というイメージですが、竹刀操作や心の動き、精神など様々なものが関係しているという事も忘れずに記述しましょう。

また、「3つの間合い」というのもあるので、こちらも確認しておきましょう。

    1. 一足一刀の間合

攻めにも守りにも強い基本の間合い。
一歩出れば相手を打突でき、一歩退けば相手の打突を避けることができる距離です。

    1. 近間

一足一刀の間合いより近い間合い。
自分の打突が容易に届くかわりに、相手の打突も容易に届く距離です。

    1. 遠間

一足一刀の間合いより遠い間合い。

お互いの打突が打ち込んでも届かない距離です。

相手の打突を避けるには良いですが、自分から打突することは難しいです。

稽古内容や相手によって間合いは変わります。

例えば、連続技が得意な選手が相手の場合、多くの人は遠間を保つのではないでしょうか。

そういったそれぞれの間合いが持つ特徴ゆえの使い方も覚えておきたいですね。

技の種類

続いては剣道の技について。ここでは技の種類を挙げていきます。

  • ○面しかけ技
    ・払い面 ・引き面 ・かつぎ面 ・2、3段打ちの技(小手面、面面、突き面など) ・片手面(左右面) ・上段から面
  • ○面応じ技
    ・面すり上げ面 ・小手すり上げ面 ・面返し面 ・面抜き面 ・小手抜き面 ・胴打ち落とし面
  • ○小手しかけ技
    ・出小手 ・払い小手 ・引き小手 ・かつぎ小手 ・上段から小手 ・2、3段打ちの小手(面小手など)
  • ○小手応じ技
    ・小手すり上げ小手 ・小手返し小手 ・小手抜き小手
  • ○胴しかけ技
    ・払い胴 ・引き胴 ・かつぎ胴 ・2、3段打ちの胴(小手胴、面胴、小手面胴など)
  • ○胴応じ技
    ・胴すり上げ胴 ・面返し胴 ・面抜き胴

技については

「出ばな技を5つ列挙せよ」
「しかけ技を5つ列挙せよ」
「応じ技の名称を5つ挙げて説明せよ」

など様々な方式で問われます。

どのような技があるのか、名称と併せて内容も覚えておきましょう。

反則行為

「剣道の試合において反則1回となる禁止行為を5つ書け」というような形で出題されます。

ここまで剣道を続けてきた皆さんなら分かると思いますが、今一度確認しておきましょう。

  • 相手に足を掛ける、又は払う。
  • 相手を不当に場外に出す。
  • 試合中場外に出る。
  • 自分の竹刀を落とす。
  • 不当な中止要請をする。
  • 相手に手を掛ける、又は抱き込む。
  • 相手の竹刀を握る、又は自分の竹刀の刃部を握る。
  • 相手の竹刀を抱える。
  • 相手の肩に故意に竹刀をかける。
  • 倒れた時に相手の攻撃に対応することなく、うつ伏せになる。
  • 故意に時間を空費する。
  • 不当な鍔迫り合い及び打突をする。

「場外に出る」「竹刀を落とす」「時間空費」「不当な鍔迫り合い」などは普段の試合でもよく見かけますが、それ以外はなかなか出てこないのではないでしょうか。

5つ目がすっと出てくるようにしておきたいですね。

作文

原稿用紙と鉛筆
最後に、作文問題です。

一問一答でなく、ここで悩む方も多いと思いますが、今までの稽古の中で学んできたことを自分の言葉で書けば大丈夫なので、安心してください。

ここでは、出題されやすい二問をご紹介します。

試合の目的・効果について説明せよ

三段でよく出題される問題です。剣道連盟の模範解答には、

試合とは、日頃の稽古で習得した技術、気力、体力、態度などを十分に発揮し、勝敗の競い合いを通して、日頃の稽古内容を検証し、今後の稽古の方向性を探求することである。

とあります。丸々暗記しなくても、読み砕けばどういうことか分かると思います。

今までどのような気持ちで試合に挑んできたか、試合をどのように活かしてきたかを考えて、自分なりに説明してみましょう。

剣道で養われると思われる精神的な面について説明せよ

これについては、模範解答は存在しません。

「こういう問題がよく出ている」という事を把握して、自分で備えておくしかないです。
と言っても、難しいことではありません。

あなたが剣道を通して、「根性がついた」「礼儀正しくなった」など、精神的に鍛えられたな、成長したな、と思うことを真面目に記述すれば大丈夫です。

まとめ

  1. 出題確率が高い問題は、必ず覚えておきましょう
  2. 二段で出題される問題も復習しておきましょう
  3. 派生問題が多いものは、それらの基礎となる知識を得ておきましょう
  4. 自分の経験を生かして作文を書いてみましょう

三段ともなれば、剣道経験者から見ても「おぉ!」という感じですね。

私は高校に入ってから昇段の意欲がなくなったので、三段を取るまで剣道を続けるというのはそう簡単なことではないと思っています。

三段を受審するまで稽古を積んできたんだ、という自信をもって、リラックスして審査に挑んでください。

無事合格できますように、頑張ってください!

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