団体戦のオーダー編成で中堅に選ばれた方。中堅にどんなイメージをお持ちですか?
やはり中堅と言えば真っ先に「強い」というイメージが出てくると思います。「捨て大」があっても「捨て中」はないですしね。
ですから中堅というポジションのプレッシャーは結構重いと思います。
しかし、中堅の役割は何?どう戦ってくればいいの?と思っても、なかなか先鋒や大将のように簡単にイメージは湧かないと思います。
なので、今回は中堅に向いている選手、中堅の役割、そして中堅の試合運びをご紹介します!
中堅はどんな人が向いているの?
チームによって様々な選手がいますが、不思議と全国的に「このポジションはこういう人が多い」というのが決まっているので、各ポジションの性格や剣風を知っておくと試合をしやすくなります。
ですので、まずは中堅に向いているのはどのような選手なのかをご紹介します。
体格の良い選手
中堅の選手の剣風は様々です。
ガンガン打ってくる選手もいれば、おしくらまんじゅうで引き分け狙いの選手もいます。
ただ、どちらにも共通して言えることは体格が良いという事です。
ガンガン打ってくる選手はのっぽで細いか、背が高くてがっしりしているかで、ドカンと体当たりをして打ってくる選手が多いように感じます。(私のイメージですが、このタイプの中堅男子は顔が四角い感じ。)
おしくらまんじゅうタイプの選手は…簡単に言えば、すこし丸い感じでしょうか。それでも、ただ太っているのではなくてやはり身長はある印象です。
どのチームでもやはり中堅には「安定感」を求めます。剣道や性格に限らずです。
なので自然と中堅には体格の良い選手が揃うのでしょう。
女子の場合は中堅だからと言って「相手が超デカい!」という事はありませんが、男子の場合は冗談抜きで超デカい奴と当たります。体格差があると怪我の恐れもありますので、あまりにも小柄な選手は起用されないことが多いです。
人格の優れた選手
中堅はチームの要ですから、結構な責任がかかります。
先鋒、次鋒のように「チームの流れ」や「後ろに繋ぐこと」を意識しなければいけませんし、自分の試合でチームの勝敗が決する場合もあるので大将と同じ意識で試合をしなければならない時もあります。
勝たなければ厳しいというシーンが多いポジションの割に相手は強い選手が多いですし、中堅は先鋒・大将と共に「三本柱」とも呼ばれますので、何とも言えない独特の責任やプレッシャーがつきます。
これらに耐えられる精神力が必要ですし、チームのみんなから信頼された人物でなければいけません。
ですので、一般的に中堅には上級生が置かれることが多いです。
安定感のある選手
先ほどもお話した通り、
- 中堅はガンガン打ってくる攻め剣タイプ(三本柱、または後ろ3つで固めるチーム)、
- おしくらまんじゅうタイプ(強い中堅を押さえる引き分け要員)、
- 特にこれといった特徴が無いタイプ(他のチームメイトが各ポジションに当てはまる中、そこそこの強さで中堅になった感じ)
などチームによって様々な剣道の選手が起用されます。
しかしどのタイプであっても、中堅の剣道はやはり「安定感」がポイントになります。
しっかりと構えて、無駄打ちをしない。ポカっと一本食らうようなミスが無い。返し技や応じ技ができて、いざという時に一本取りに行ける。
こういった攻守ともにバランスのとれた選手が理想です。
チームの要・中堅の役割とは?
中堅は5人の中でちょうど真ん中のポジションなので、先鋒や大将のように目立つことはありませんが、とても重要なポジションです。(重要だからこそ強い選手が多いのです。)
ここでは、そんなチームの要である中堅の役割をご紹介したいと思います。
早ければ決着をつけられる
剣道の団体戦は、3勝すればチームの勝利が決まります。
つまり、先・次が勝ってきた場合、中堅も勝てばそこでチームの勝利は確定します。
ここぞという時に勝負を決められたら良いですね。
反対に先・次が負けてきた場合、中堅も負けるとその時点でチームの負けが決定してしまうので、意地でも勝ちにいかなければいけません。
引き分けでも厳しいです。絶対に勝つこと。
3番手というのは、最速でチームの勝敗が決まるポジションということを忘れてはいけません。
前半と後半の繋ぎ役
中堅はチームの真ん中にいる訳ですから、試合の前半・後半の繋ぎ役という事になります。
先・次が仕事をこなし前半で良い流れができていたら、中堅もその流れを後半に繋げなくてはなりません。勝つか、引き分けるかですね。
こういった時にしっかりと構えて一本取りに行ける選手が理想です。
反対に先・次が負ける、引き分けるなどして良くない流れを持ってきたら、中堅は一本取って悪い流れを断ち切らなくてはなりません。
ここで中堅もずるずると負けてしまったり引き分けたりすると、後半での巻き返しはかなり厳しくなります。
前半の良い流れを繋ぐことも大切ですが、悪い流れを断ち切ることはもっと大切です。
私は長く副将を務めてきたのですが、前半2人の戦績が良くなかった場合、落ち着かなければと分かっていてもやはり焦りましたし、相当なストレスがかかりました。
しかし、中堅が勝ってきたら不安な気持ちが消えて「自分も勝ってこれるぞ」となれます。
やはり中堅の役割はここにあると思います。
「負けてごめんなさい」「なんで負けてくるんだよ」「私が勝たなきゃやばい」という張り詰めた負の空気を一瞬で変える力が中堅にはあります。
後半の二人がより余裕を持って試合することができるように、「後ろに繋ぐぞ」という意識が大切です。
シーン別、中堅の戦い方
中堅は前に2人が戦っているので、様々なパターンで試合がまわってきます。
ですので、各シーンに応じて攻め方を変えたりすることも必要になってきます。
ここでは、中堅にまわってくるときの様々なシーンと、中堅がすべき戦い方をご紹介します。
中堅の方はぜひ参考にしてください。
2勝でまわってきた場合
先・次の役割は、とにかく一本取りに行くこと。そして、勝つこと。
前半2人が無事にその役目を果たしてくれた場合は、あとは中堅が勝負を決めるのみ。
「ここで決めるぞ」という気持ちで取りに行き、前3人で勝負を決められたらチームの雰囲気は最高です。
しかし、中堅は強い選手が多いのも事実。
相手からしたら「負けたら終わり」な訳ですから、何が何でも勝ちに来ると思います。
そういった気迫の格上選手相手に引き分けることができたら、これもまた中堅の役割である「良い流れを繋ぐ」ことに成功したと言えるでしょう。
胸を張って副将にまわして欲しいと思います。
1勝1分でまわってきた場合
先・次どちらかが分けてきた場合は、中堅は勝って2勝1分けにし、後ろに繋げたいところです。1勝だけで副将にまわすのは心もとないですから。
例え勝てなかったとしても、最低で引き分け。
中堅が引き分ければチームは1勝2分。まだチームは優勢ですし悪くないのですが、中堅が負けてしまうと1勝1分1敗。
こうなると一気に「やばいぞ」という空気がチームに流れ始めますし、相手チームは「これはいけるんじゃないか」と希望を持ち始めます。
せっかく前半が勝ってきてくれても、それを活かすか殺すかは中堅次第。
副将と大将に少しでも有利な状態でまわせるように試合をしましょう。
2分でまわってきた場合
この場合中堅は「チームが負けている訳じゃないし、俺も引き分けよう」なんてのんきなことを言っている場合ではありません。
先・次は勝ってくることが仕事ですから、前半2人が引き分けてきた場合、完全にチームの流れは良くない方向へ向かっていると言っていいでしょう。(相手チームが先攻タイプだった場合は別ですが。)
ですから、中堅は勝ちにいかなければいけません。ここで負けるのはもちろん、ずるずると引き分けに持ち込むのも良くありません。
ここでピシッと勝って後ろにまわすのがベストです。
1分1敗、もしくは2敗でまわってきた場合
1分1敗の場合に中堅が引き分けたら後半2人は戦いにくくなりますし、中堅が負けたら副将は引き分けにもできません。
さらに、2敗の場合に中堅が引き分けたら後半2人は絶対に勝たなくてはいけなくなりますし、本数によってはさらに厳しい状況になります。
そして、2敗の場合に中堅が負けてしまうとその時点でチームの負けが決定します。
前半2人がそれぞれの仕事ができなかった場合、試合を終えた先・次は申し訳なさそうな表情をしているわ、試合を控える副・大はやばいぞと顔が引きつっているわで畳の空気は最悪です。(顧問の先生の機嫌が悪かったりもして…。)
なので、ここは絶対に勝たなくてはいけません。
先ほどもお話した通り、悪い流れで順番がまわってくるのはプレッシャーがかかりますが、この流れを断ち切るのが中堅の大切な役割です。
こういう時に中堅が勝ってこれたらカッコいいですよ!
まとめ
- 中堅には安定感が求められます
- 中堅には、前半と後半を上手く繋げる役割があります
- 中堅は、後半に余裕ができるように試合をしなければなりません
中堅に向いているタイプと役割、戦い方をご紹介してきました。
チームにとって欠かせない存在である中堅。
努力が目立ちにくい割にプレシャーがかかるポジションですので大変ですが、だからこそやりがいがあるのだと思います。
強い選手が置かれることが多いですから、中堅であることに誇りを持って頑張ってください!