剣道の団体戦は、各ポジションに役割があって面白いですよね。
その中でも特に花形なのが先鋒!
私は個人的に先鋒が一番カッコいいと思っています。
何故かというと…攻め剣でエンターテイナー、試合内容が面白いからです。
待ち剣の私にとって、自分に無いものを持っている、憧れの存在です!
そんな先鋒ですが、具体的にはどのような役割があるのでしょうか。そして、先鋒に向いているのはどういうタイプの選手なのでしょうか。
純粋に先鋒のことを知りたい方はもちろん、いきなり先鋒に抜てきされて困っている選手には、ぜひ読んで参考にしてほしいです。
先鋒の役割は?
剣道の団体戦は、全員が勝たなくてもチームとしての勝利を掴むことができます。
ですから一人一人が自分の役割を全うすることが大切です。
では、先鋒の役割とは何でしょうか。
団体戦において先鋒に求められることは次の3つです。
- チームの流れを作る
- 一本取りに行く
- 相手チームにインパクトを与える
これらを踏まえて、先鋒らしい、理想的な試合運びをご紹介します。
チームを盛り上げるために
先鋒は一番最初に戦うので、チームに勢いをつけていい流れを作る存在。
いい流れを作るというのは、必ずしも試合に勝つことだけではありません。
迫力のある打突や連続技で、勢いのある試合運びをすることが大切です。
どのチームも先鋒は強い選手が置かれていますから、押さえたい、引き分けたいという場面もあるかと思いますが、先鋒は「一本取ってきてやるんだ!」という気持ちが大切です。
先鋒戦でおしくらまんじゅうは殆どあり得ません。
先鋒が守りの剣道というのはちょっと格好悪いです。
そのような試合が一発目で繰り広げられると、何となくチームの士気が下がります。
とにかく一本取りに行く。
自ら掛かる「先」の技、または掛かる相手を想定して自らの勝を取る「先々の先」の技を使って戦う。
畳で応援するチームメイトに勇気を与える試合ができたら、立派な先鋒です。
後ろに託すために
先鋒の前に試合をするポジションはありません。自分が戦ったら、あとは仲間の試合を見守るのみ。
ですからチームの状況を考慮して、一本だけ取りに行くだの引き分けで守るだのと考える必要はありません。チームを有利な方向へ引っ張るために、少しでも多くポイントを稼いでおく事が大切です。
もちろん勝つのが理想ですが、一本取られても常に取り返しに行くような諦めない剣道をすることです。
一本取られた後に怖気づき、守りに入って二本目を取られるのが最悪のパターンです。
焦って相手のペースに飲まれていると、その後もチームは相手チームに飲まれがちになってしまいます。
正々堂々、一本取るぞ、という気持ちで相手に掛かって行きましょう。
迫力が大事
一番最初に出てくる先鋒は、相手チーム全体を威嚇するくらいの勢いが必要です。
迫力が大事、と言っても体格が大きいとかそういうことではありません。
声が大きいくて威勢がいい、踏み込みの音が鮮やか、一本一本の打突音がキリっとしているなどというところで迫力を出します。
「あの先鋒小さいな」と思わせておいて、さぁ試合が始まったという時にいきなり相手チームの先鋒の第一声の迫力が凄かったら、その後に試合を控える次鋒や中堅もビビりますよね。
先鋒に向いているタイプは?
顧問の先生やコーチ、チームのキャプテンなどがオーダー編成をする際、どのような選手が先鋒に置かれやすいのでしょうか。
先ほどお話した先鋒の試合運びをするのに向いている剣風や性格などをご紹介します。
先鋒は運動神経が良いタイプ
チームによるので一概には言えませんが、先鋒はチームでもっとも運動神経の良い選手が起用されやすいです。
剣道を続けていくうちに根性や平常心、試合運びなど様々な事を覚えて強くなっていきますが、それらがまだ積み重なっていない、剣道を始めたての頃から上手な子っていますよね。
センスが良く、呑み込みが早い。
そういう選手は早いうちから試合の勝利経験を積み、だれよりも「剣道って楽しい♪」と思うのが早いです。自信もつきます。
そして、もっと試合で勝ちたい、という向上心を持って研究を重ね、新しい技にも次々と挑戦していきます。
こういう選手は剣道の仕方も性格も、先鋒に向いています。
先鋒に向いている剣風
先鋒は足捌きの上手な、いわゆる動き回れる選手を置くことが多いです。
実際、多くのチームの先鋒はよく動く選手が置かれています。
足捌きが上手で動き回れると、相手の先を取ったり、相手の技をかわしてから素早く自分の技を繰り出すことができます。
つまりじっと立っているよりも「攻め」の剣道になるので、先鋒に向いているのです。
また、様々な技を繰り出せる選手も向いています。
一つの技に一辺倒だと「この学校はこう来るか」とすぐに読まれることも。
チームの一番最初に、さまざまな技を見せることで、「この後はどんな選手が控えているんだろう」という、先鋒らしい新鮮味があります。
先鋒に向いている性格
先鋒には、明るい性格でチームのムードメーカー的存在が向いています。
ここで、私が中学生の時に男子チームの先鋒をしていた先輩の話をさせてください。
彼は、私が今まで見てきたどの先鋒よりも先鋒らしく、まさしく先鋒の鏡でした。
強くなりたいという向上心は人一倍強く、大会でカッコいい技を見たらすぐに真似をして、研究しながら自分のものにしていました。(余計なことをするなとよく先生に怒られていましたが。)
試合に臨む気合も十分で、いつも自信満々に二本勝ち宣言をし、毎回宣言通りに見事に二本取ってきていました。
常に攻めて色々な技を出すので試合内容が華やかでしたし、見ていて元気をもらるような感じです。
小さくて坊主頭でお調子者、という明るいキャラクターも先鋒向きでした。
喧嘩っ早いことや勉強をしないことなどでよく先生から注意を受けていましたが、それくらい元気で余裕のある人が先鋒に向いているのではないかと思います。
先鋒の役目を果たせるか…自信がない!という方へ
ここまで、先鋒の役割や先鋒に向いているタイプについてお話してきましたが、先鋒というキラキラしたイメージに不安を抱える先鋒さんも多いのではないでしょうか。
ここではそんな、先鋒として戦うことに不安を感じている選手に向けてアドバイスをさせていただきます。
少しでも自信を持って試合ができるように、皆さんの背中を押せたらいいなと思います。
先鋒に抜擢されて不安なあなたへ
先ほどお話した先鋒の役割を知って、「そんな試合できないよ〜!」と思った方もいるかも知れません。
しかし、先生やコーチがあなたを先鋒に選んだのには、きっと何らかの理由があるはずです。
自分では気が付いていないかもしれませんが、打突がしっかりとしているのかも知れませんし、動きが良いのかも知れません。
もし一年生で先鋒に抜擢され、この先も長く先鋒をやりそうな雰囲気だったら、これから先鋒としてやっていくぞ、と腹を括りましょう。
試合を重ねていく毎に「ここが良かった」「こうすれば良かった」と自分で考え、そのうち先鋒にふさわしい剣道ができるようになるので、心配は無用です。
いつもは違うポジションなのに、先鋒に選ばれたあなたへ
私も先鋒として戦ったことが一度だけあります。
先鋒の選手が練習試合に出られなくなり、その時だけ彼女の代理で先鋒をしました。
いつものやり方(構えて相手の出鼻を狙う戦法)で試合しましたが、相手は間髪入れずに打ってくるので思うように試合ができませんでした。
しかし別のポジションを経験することで、いつものポジションで試合をしていると気づかない、他の大切なことが見えてきます。
ですからこれも稽古の一環、勉強するつもりで素直に先鋒にぶつかって行きましょう。
もしかしたら、チーム再編成のための試験かも知れません。
上手く試合運びができたら、これから先鋒として戦っていくことになるかもしれませんよ。
あえていおう。先鋒はカッコいいぞ!!!
剣風はもちろん、自信家だったり負けず嫌いだったりと性格まで先鋒向きな人間もいます。
しかし先鋒に選ばれた人のなかには、大人しめの性格で先鋒向きでない選手もいると思います。
私が今まで所属してきたチーム(女子)の先鋒も、みんな動ける攻め剣という理由で先鋒に抜擢されていました。しかし性格はおしとやかで、先鋒というポジションにプレッシャーを感じているようでした。
ですが、そのプレッシャーに打ち勝っていい試合ができてこそ、達成感が得られます。
性格的に先鋒に向いていない、と落ち込む事はありません。
プレッシャーがあるからこそ先鋒はカッコいいのです。あなたはその先鋒なのです。
普段は大人しい性格であっても、先鋒として試合に臨む時だけは「俺は斬り込み隊長だ!」「私は先鋒なんだ!」という誇りと自信を持って、思いっきり試合をしてきてほしいです。
まとめ
- 先鋒の役割は、ポジティブな試合運びでチームに得点と良い流れを送ること!
- 向上心があって明るく、動きの良い子が先鋒に向いています
- 先鋒になったら、思い切って試合をしてきましょう!
先鋒の役割や向いているタイプ、そして先鋒に不安を抱える方へのアドバイスをお話してきました。
一本取りに行くことが仕事の先鋒。
他のポジションとは違った特徴があるので唯一無二の存在です。
先鋒はカッコいいですから、自信を持って正々堂々と先鋒らしい剣道をしてほしい!
剣道に詳しくない方も、先鋒戦は動きがあって面白いのでぜひ観戦してみてくださいね。