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剣道二段の筆記試験/出題されやすい問題を徹底解説‼︎【決定版】




剣道二段の昇段審査を受けることになった方。

二段の受審資格は「初段合格後1年以上経過」なので、皆さん一度初段の筆記試験を通っていると思います。

しかし、二段の合格率は6~7割ほど。

合格率は地方によって異なりますが、不合格になる可能性も少しだけ出てくるのが恐いですよね。

都道府県によっては昇段審査の前に問題が配られ、回答を原稿用紙に書いて昇段審査の会場に持っていくといった形もありますが、私が受審した際は会場で用紙が配られて、みんな剣道着のまま床に座って記入していました。会場で一発本番だと緊張しますよね。

心配性で、昇段審査に限らず試験範囲はすべてカンペキにしておきたいタイプの方もいると思いますので、皆さんが安心して試験にのぞめるよう、お手伝いしたいと思います。

今回は各地方の過去問題の中から特に出題率が高かったものを、剣道経験者の私がご紹介します。

問題は各都道府県によって異なるのでこれが全てではありませんが、参考までにどうぞ。

剣道二段筆記試験/絶対覚えるべきポイント!

ノートをもちニッコリ笑う女子学生

まずは、二段の筆記試験に高確率で出題される問題から。

どれも試験以前に剣士として覚えておきたいことなので、しっかりと勉強しておきましょう。

剣道の理念

まずは、初段の筆記試験でも出題される剣道の理念です。
剣道の理念はこちら。

剣道は剣の理法の修練による人間形成の道である

初段審査の際に勉強したと思うので、皆さんまだ覚えていると思います。

二段審査でも、この後ご紹介する「剣道修練の心構え」と合わせ技で出題されることが多いので、忘れたという人はまた覚え直しておきましょう。

剣道修練の心構え

続いては二段から出題される剣道修練の心構えです。

剣道修練の心構えはこちら。

剣道を正しく真剣に学び
心身を錬磨して
旺盛なる気力を養い
剣道の特性を通じて礼節をとうとび
信義を重んじ
誠を尽くして
常に自己の修養に努め
以て国家社会を愛して広く人類の平和繁栄に寄与せんとするものである

これは必ず出るといってもいいほど出題確率が高いので、「剣道の理念」と併せて必ず覚えておきましょう。

重要語句を記入する穴埋め方式で出題されることが多いので、それぞれの語句を間違えないように正確に覚えることをお勧めします。

「切り返しの効果」について列挙せよ

皆さんが普段から行っている切り返しの効果についてです。

特に正解などはなく、的外れなことを書いていなければOKだと思います。

例を挙げるとすれば、

  • 正しい刃筋と打ち方、手の内の修得
  • 呼吸法の習得、肺活量の増大
  • 筋力の強化、精神力の強化
  • 間合いの会得
  • 気剣体一致の打突の修得

などです。

普段から分かっていることだと思うので、丸々暗記するのではなく大事なポイントを掴んでおきましょう。

また、切り返しについては目的や必要性なども問われることがあります。普段の稽古から意識してみましょう。

「打突の機会」を列挙せよ

打つべき機会(打突の好機)には次のようなものがあります。

    • 出ばな(出頭、起こり頭)

相手が攻めに出るところ、または打突の動作を起こそうとした瞬間

    • 相手が引くところ

相手が攻め負けて、備えなしに後退したり横に移動するところ

    • 技の尽きたところ

呼吸を整えるため打突をやめた瞬間、または技から次の技へ移ろうとする切れ目

    • 受け止めたところ

自分が打突し、相手が受け止めて安心した瞬間

    • 身体または心の居ついたところ

相手が気勢をなくしたり、迷ったりして身体の動きを失ったところ

    • 虚が生じたところ

相手の気力が充実していないで、気の抜けたところ

    • 心に四戒が生じたところ

相手の態度に疑い迷いの心が生じたところ

    • 息を深く吸うところ

相手が息を吸い、動作が止まったところ

普段「ここを狙おう」と思っていても、いざ言葉にするとなると難しいのではないでしょうか。
普段の稽古や試合にも役に立つことなので、しっかりと覚えておきましょう。

剣道二段筆記試験/出題率高めの問題

単語帳
続いては各都道府県で特に出題率が高かった問題をピックアップしてご紹介します。
どれも普段の稽古にも生かせることなので、勉強しておきましょう。

「五つの構え」を列挙せよ

剣道や薙刀には五つの構え(五行の構え、五方の構え)と言われるものがあります。
中段と上段以外はあまり目にすることがありませんが、全て日本剣道形に出てくるものです。

中段の構え

「正眼の構え」「水の構え」とも言われる攻防自在の構え。

この構えから他のすべての構えに移行することができ、五つの構えの中心になっています。

この構えを基本とすることで、試合中の様々な状況の変化に対して咄嗟に対応できます。

攻防共に隙が少ないので、剣道の基本として教えられます。

上段の構え

「天の構え」「火の構え」とも言われる最も攻撃的な構え。

諸手左(右)上段と片手左(右)上段があります。

竹刀を頭上に取り、正面から堂々と相手を威圧する気持ちで構えます。

この構えを取っている場合、相手を斬るのに必要な動作は剣を振り下ろすことだけなので、最速の行動ができます。

また、最もリーチを生かすことができる構えでもありす。

半面、構えている間は面以外の部分が空いており、防御には向いていません。

下段の構え

「地の構え」「土の構え」とも言われる防御の構え。

剣先を水平より少し下げ、自己を守り相手をよく見て構えます。

機敏に動けないため、攻撃には向きません。

八相の構え

「陰の構え」「木の構え」とも言われ、自分から先に攻撃せず、相手の出方によって攻撃に変わります。

諸手左上段の構えからそのまま右こぶしを右肩のあたりまでおろし、左こぶしはほぼ正中線上にし、身体にそえて構えます。イメージとしては野球のバッティングフォームに似ています。

刀を持つ上で余計な力を消耗しないように工夫されていますが、現代ではあまり見かけません。

脇構え

「陽の構え」「金の構え」とも言われ、竹刀を長くも短くも使い分けることができます。

右足を後ろへ引いて左半身となり、刀を右脇に取り剣先を後ろに下げて構えます。

相手から見て自身の急所が集まる正中線を正面から外し、自身の刀を相手に知らせないように構え、相手の出方によって攻撃に変わります。

現代は竹刀の長さや打突部位が定められているので、あまり用いられません。

作文方式で「中段の構えの特徴について書け」と出題されるのもよく見かけます。
各構えの名称だけでなく、その構えがどんな格好なのか、どのような特徴があるのかを掴んでおきたいところです。

「目付け」について説明せよ

目付けとは、相手に対した時の目のつけどころを言い、次のようなものがあります。

遠山の目付け

相手の目を見つめると共に、遠くにある山を見るように相手の全体を見て、どこに弱点があるかを見極める見つけのことです。

どこか一点を凝視するのではなく、相手の爪先から頭のてっぺんまで全てを冷静に見ることが大切なんですね。

観見の目付け

心の目すなわち気の働きを養い、物事の内側に秘められた本質を深く見る目と、物の表面に現れた、いわば現象を見極める目付けのことです。

「観る」目と「見る」目を使い、身体の動きと心の動き、どちらも見極めるということです。

どちらの言葉も稽古中に、先生やコーチから一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

物理的な意味よりも、相手を冷静に見据えるという精神的な意味が大きいように思います。

知っている言葉でも、突然「目付けについて説明しろ」と言われてもどう答えればいいのかわからないと思います。今一度正しい意味を理解しておきたいですね。

「三殺法」について説明せよ

相手を制するための手立てとして、相手の剣、技、気の三つを封じることを言います。

    1. 剣を殺す

乗る、なやす、払う、まくなどして相手の剣の動きを制すること

    1. 技を殺す

先手先手と攻め、相手に技を仕掛ける余裕を与えないこと

    1. 気を殺す

気力で相手を圧倒し、相手が攻撃しようとする機会を制すること

どれもとても大切なことですね。
それぞれの言葉と意味をきちんと理解しておきましょう。

「三つの間合い」を挙げ、それぞれ簡単に説明せよ

間合いについても普段から稽古で使う言葉だと思いますが、今一度確認しておきましょう。

    • 一足一刀の間合

攻めにも守りにも強い基本の間合い。

一歩出れば相手を打突でき、一歩退けば相手の打突を避けることができる距離です。

    • 近間

一足一刀の間合いより近い間合い。

自分の打突が容易に届くかわりに、相手の打突も容易に届く距離です。

    • 遠間

一足一刀の間合いより遠い間合い。

お互いの打突が打ち込んでも届かない距離です。

相手の打突を避けるには良いですが、自分から打突することは難しいです。

稽古内容や相手によって間合いは変わりますよね。

例えば、連続技が得意な選手が相手の場合、多くの人は遠間を保つのではないでしょうか。

そういったそれぞれの間合いが持つ特徴ゆえの使い方も覚えておきたいですね。

剣道二段筆記試験/覚えておきたい基本事項

ノートを取る黒いポロシャツの男性
続いては、出題率が高かった問題の根っこについてご紹介します。

各都道府県によって出題方法は異なりますが、一問一答で答えを丸暗記するよりも、それらの問題の元を知ることが大切です。

ここでは技と稽古の種類について説明します。

技の種類について

まずは剣道の技についてです。

練習する技の種類の多さは学校などによって異なりますが、あまり多くの技を使わない人は特に覚えておきたいところです。

自分が普段使う技から聞き慣れない技まであると思いますが、目を通しておきましょう。

面しかけ技

・払い面 ・引き面 ・かつぎ面 ・2、3段打ちの技(小手面、面面、突き面など) ・片手面(左右面) ・上段から面

面応じ技

・面すり上げ面 ・小手すり上げ面 ・面返し面 ・面抜き面 ・小手抜き面 ・胴打ち落とし面

小手しかけ技

・出小手 ・払い小手 ・引き小手 ・かつぎ小手 ・上段から小手 ・2、3段打ちの小手(面小手など)

小手応じ技

・小手すり上げ小手 ・小手返し小手 ・小手抜き小手

胴しかけ技

・払い胴 ・引き胴 ・かつぎ胴 ・2、3段打ちの胴(小手胴、面胴、小手面胴など)

胴応じ技

・胴すり上げ胴 ・面返し胴 ・面抜き胴

技については「面技を5つ列挙せよ」「しかけ技を5つ列挙せよ」「技の名称を5つ挙げて説明せよ」など様々な方式で問われます。

どのような技があるのか、名称と併せて内容も覚えておきましょう。

稽古の種類について

続いては皆さんが普段行っている稽古の種類についてです。

各稽古が持つ特徴などを今一度確認しましょう。

    • 基本稽古

勝敗にとらわれず、剣道の基本的動作や基本となる技を習得する稽古。

    • 約束稽古

主として初心者が行う稽古法であり、打つ側と打たせる側との間に約束をして基本的な打突の稽古をする方法。

    • 打ち込み稽古

指導者(元立ち)の与える打突の機会をとらえて打ち込んで、打突の基本的な技術を体得する稽古。

    • 掛り稽古

自分より上手な相手に対して正しい間合から気合を入れて、相手に打たれようが一切かまわず体力、気力の続く限りできるだけ技を多く出して打ちかかっていく稽古。
自分の身体、気力、技量の素地を作ることを目的として打ちかかります。

    • 互角稽古

技量、修行の度合いの同じ程度の者が、互いに鍛えあう目的でする稽古。

    • 総合稽古(地稽古)

一般的に最も多く行われる稽古で、その内容は幅広く、上級者、下級者いずれとも自由に行う稽古。

    • 試合稽古

勝機を知る目的をもって試合要領で行い、試合勘を養成する稽古。

    • 引き立て稽古

初心者や下位者に打突の方法、正しい基礎を指導する稽古。

    • 特別稽古

寒稽古、暑中稽古など特に寒い時、暑い時などを選んで激しく行う稽古。

これらのうちから「打ち込み稽古の効果について説明せよ」「掛り稽古の効果について説明せよ」「試合稽古の目的について説明せよ」「寒稽古の目的について説明せよ」というように出題されます。

どの稽古について何を問われても良いように、各稽古の特徴をきちんと押さえておきましょう。

剣道二段筆記試験/作文

原稿用紙と鉛筆
最後に作文についてです。

作文は都道府県によって事前に問題が分かっている場合がありますが、問題が分かっていてもどう書いたらいいのか分からないという方も多いと思います。

作文はあくまで自分の言葉で書くものなので正解はありませんが、ヒントをご紹介したいと思います。

剣道修行の目的について

これはなかなか壮大な問題で、どう書いていいか悩むと思います。

そもそも自分は何のために剣道をしているのだろう?なんて二段の時点で考える人は少ないと思いますし…。

なので、参考までにこれらの言葉を使って組み立ててみるのはいかがでしょうか。

  • 心を磨くこと
  • 身体を練り鍛えること
  • 技を修得すること
  • 礼儀、作法を修得すること
  • 信義を重んじる人間を形成すること

あまりに的外れなことを書かなければ大丈夫だと思うので、自分の言葉で上手く表現してみてくださいね。

剣道で「礼儀を大切にする理由」について述べなさい

これについては自分が思うことを書いてみましょう。

例えば、

剣道を修練する上で、お互いに心を練り、
技を磨くための良き協力者として、
相手の人格を尊重して常に感謝の念を持ち、
礼儀正しくすることが、剣道にとって極めて大切なことである。

こんな感じでしょうか。普段稽古をしていても分かると思いますが、お互いに稽古をして気づくこともありますし、試合をして反省することもありますよね。

剣道は相手の存在なしに自分の成長はできません。

稽古の相手をしてくれる存在を敬うことは、自分の剣道の上達のために必要不可欠なんですね。

まとめ

  1. 出題確率が高い問題は、必ず覚えておきましょう
  2. 二段の問題は普段の稽古にも役に立つので、細かく勉強しましょう
  3. 問題の基礎となる知識を得ておきましょう
  4. ポイントを掴んで、自分の言葉で作文を書けるようにしましょう

剣道二段の筆記試験についてご紹介してきました。

どれもとびぬけて難しいわけではありません。普段の稽古の心構えです。

たまたま二段に受かるのではなく、正真正銘の剣道二段になれるように、心身ともに磨いて審査に挑んでくださいね。

無事合格しますように、頑張ってください!

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