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青森山田10番を背負う檀崎竜孔選手!!/意思を貫きつかみ取ったJリーガーへの道




高校サッカーファンのみなさん、応援している学校や選手はいますか?

個のテクニックが光るJリーグユースの選手とくらべて、高体連のチームはどこか粗削りでそれぞれにプレースタイルがあり、魅力的ですよね。

しかも最近はJリーグユースに引けを取らないような強豪校も出てきました。

地元の学校だから、サッカーのスタイルが好きだからなど…いろいろ理由はあると思いますが、なかでも好きな選手の存在は、応援熱が高まる要因です!

日本文理の長身GK相澤ピーター・コアミ選手や、高校3年時にセレッソ大阪のユースチームから長崎総科大付に転校した鈴木冬一選手など、今年の選手権も楽しみな選手がたくさんいますね。

今回は、注目選手の中からぜひ知っていただきたい選手…青森山田高校の檀崎竜孔(だんざき りく)選手についてまとめました!

アンダー世代の代表に選ばれ、全中や選手権での連覇など…華々しい活躍の裏にある静かな苦悩と努力を知っていただけたら、彼の最後の選手権を何倍も楽しみにできるのではないでしょうか。

来季(2019年)からJリーガーに

サッカーのキックオフ
北海道コンサドーレ札幌は、2018年9月18日、青森山田高校から檀崎竜孔選手の加入が決定したと発表しました。公式サイト

コンサドーレ札幌のクラブ関係者も「クラブのレギュラーにとどまらず、A代表のメンバーに選ばれるように育てたい」というほどの年代屈指のアタッカー。変幻自在のドリブルでゴールに絡むプレーが特徴のMFです。

しかし、9月にJリーグ加入発表というと、全国トップレベルの選手としてはかなりおそい時期。

この決定は、エリートのイメージを持った檀崎選手からは想像できないような、苦悩のすえにつかみ取った夢の切符だと言えます。

同級生たちの進路が決まるなか…

プロ注目の選手ですと、早い選手は2年生の時点、おそくても夏ごろにJリーグ入りが決定することがほとんどです。

青森山田出身でJリーガーになった先輩たちの中には、熱心にスカウトの方から通い詰めて誘われた選手もいます。

なにしろ檀崎選手は、高校1年時からプロ入りが確実視されていたような選手です。

しかし3年時に入ってから、Jスカウトのリストには上がっていても具体的な動きをみせるクラブはなく、一向にプロの話が出てきませんでした。

青森山田のトップ選手であれば3年生になると次々と進路が決まって行くなか、エースの檀崎選手の進路がなかなか決まらないことに、周囲もかなり心配したようです。

プロからの誘いがゼロという現実に、高校生の彼の心はどんなにか焦っただろうと思います。

練習参加も不発に

普通は5月や6月の時点で、Jクラブからの練習参加の誘いがなければ、大学進学を決める時期になります。プロからの誘いが来ない一方で強豪大学からの誘いも来ていましたが、檀崎選手は高卒でプロになることにこだわります。

そんな中、7月、J1のセレッソ大阪から檀崎選手に練習参加の誘いがありました。

Jリーグ下部組織も含めた、U-18の日本一を争う高円宮杯プレミアリーグにおいて、その時点で今季8ゴール目を決めて順調だった檀崎選手。

並々ならぬ気合でセレッソの練習に参加したはずですが、「インターハイ後に決断します」というクラブからの回答でした。

ところがインターハイは2回戦敗退。檀崎選手自身も不発に終わってしまいます。

セレッソ大阪からその後断りの連絡を受け、青森山田の黒田監督から大学進学の提案をされたそう。

それでも絶対に高卒でプロにと決めていた檀崎選手は
「チャンスが残されている限り挑戦させてください。次がラストチャンスでも良いので僕にチャンスをください」
と、お願いしたそうです。

ラストチャンス

インターハイ後、仙台へ帰省していた檀崎選手のもとに黒田監督から電話が入ります。

コンサドーレ札幌からの練習参加への誘いに「プロになるチャンスを与えてくれた」という感謝と同時に最後だと思って全てを出し切る覚悟を決めます。

8月下旬に札幌を訪れた檀崎選手は精一杯のプレーでコンサドーレ札幌への加入を掴み取ることになります。

チームの雰囲気、ペトロヴィッチ監督のサッカー・環境についても、すべてにおいて「ここでやりたい」と思える場所だった…と話しているように、やっと自分の夢を叶える場所を見つけてほっとしていることでしょう。

もしかしたらコンサドーレに入るために神様がここまで辛抱させてきたのかも知れませんね。

注目を集めた中学時代

サッカー、コーナーキックの瞬間
檀崎選手がプロになると決意していたのはなんと中学1年生の時。

プロになるために故郷の仙台を離れて青森の中学へ入学を決めた度胸にただ驚きます。
全中優勝連覇の10番キャプテンとして中学時代から注目される存在となります。

まさに順風満帆のタレント選手でした。

青森山田中学へ入学を決意

檀崎選手はベガルタ仙台のジュニアチームでプレーしていた頃から頭角を現していましたので、そのままジュニアユースへの昇格が決まっていたそうです。

しかし6年生の時に全中で優勝した青森山田中を見て、慣れ親しんだ仙台を離れて一人青森山田中学校の門を叩くことを決めました。

高校サッカーへの憧れや同じ東北の青森山田への憧れ、さらに寮生活や全国一の豪雪都市青森という厳しい環境に身を置いて人間として成長し、必ず中学で結果を残して高校で名をあげたいと考えた上での決断。

どうでしょう、中学1年生がこの決断…。それだけサッカーに対して情熱があり夢があったということでしょうね。

12歳や13歳で親元を離れる度胸や覚悟は並大抵のものではないでしょう。

中学時代

青森山田のサッカーは中学からすでに全国レベルです。
今年度の全中では惜しくも準優勝でしたが、過去連覇を何度も成し遂げている強豪中学です。

檀崎選手は中学2年時3年時に全中連覇を経験しています。

3年時にはキャプテンで得点王という大きなインパクトと結果を残し、全国にその名を轟かせます。
この時点ですでにスカウト注目の選手となり、プロへの道は順調にスタートを切りました。

栄光とプレッシャーとの闘い

サッカー用のグラウンドに取り残されたサッカーボール
大注目のタレントとして高校へ進学した檀崎選手は、高校でもやはりエースとして活躍しますが、彼の場合サッカー選手としての華やかな戦歴とは逆に、静かで凄まじい努力を感じます。

夢を叶えることは、どんなに才能があって恵まれた環境があっても…簡単に手に入るものではなく、苦悩と努力によってつかみ取るものなんですね。

1年時に全国制覇を経験

檀崎選手が1年生の時、チームは高円宮杯プレミアリーグ制覇と選手権制覇という2冠を達成します。

檀崎選手は1年生ながら先輩たちとピッチに立ち、高円宮杯を戦っていきます。

この年の3年生は実は青森山田中の全中連覇を1度途切れさせた「谷間の世代」と呼ばれ、皆で悔しさを晴らすため固く団結したチームができていました。

このチームでただ一人、1年生でプレーすることがどれほど凄い事か。

そんな中、12月に先発した試合で左ひざを8針縫う怪我を負います。しかし選手権を控えていたため抜糸せずに合宿へ。さらに12月27日に再度負傷。さらに5針縫うことになってしまいました。

先発メンバーに入っていたのに選手権を前にしての負傷。悔しくて傷口を見て涙が出てきたのだそう。

リハビリをしながら前を向き、年末には身体を動かせるようにまでなった檀崎選手は選手権でも途中交代でピッチに立ちます。

そして前橋育英との決勝戦でも、後半途中からピッチに呼ばれ、全国制覇の瞬間を味わうことができたのです。

最初のシーズンは、1年生ながら流石のインパクトを与えることに成功します。

2年生でダブルエースナンバーを背負うも…

青森山田にとって7番と10番はダブルエースナンバーとされてきた番号ですが、2冠世代の10番高橋選手が2年時に7番をつけてから、2年時につける7番は来期の10番という意味を持つようになりました。

2年時に檀崎選手は新10番の郷家選手からその7番を受け継ぎます。

檀崎選手はそのとき「もう甘えられない」と思ったのだそう。

前年、郷家選手が高橋選手から7番を受け継いだときと同じプレッシャーを感じて檀崎選手は2年時をスタートさせることになります。

しかし2冠を成し遂げた3年生が引退した青森山田はチーム編成に苦労し、新チームで挑んだ東北新人大会では準優勝に終わってしまいます。

全国制覇を経験した3年生はキャプテンの小山内選手と10番の郷家選手の二人だけ。

2年生には檀崎選手以外にもバスケス・バイロン選手や三國ケネディエブス選手、小松選手など有望な選手が揃っていましたが、正木コーチに「小山内と郷家以外は誰が主軸なのかまったく見えない」と言われてしまいます。

同級生の中でただ一人全国制覇のピッチでプレーした経験を持ち、7番を受け継いだ檀崎選手は当然中心選手としてチームを引っ張る立場のはずが、主軸としての活躍ができませんでした。

彼の特徴である切れ味鋭いドリブルからの突破が相手チームの対策によって消されてしまったのです。しかし縦へのドリブル突破にこだわった檀崎選手は工夫して切り開いていく努力を怠ってしまいます。

大事な就職活動の一年と意識していた2年時はインパクトを残すことができず、檀崎選手にとって不本意なものに終わりました。

その年、選手権は3回戦敗退。必死になって追ってきた選手権連覇の夢が消えて、懸命に守ってきた10番を後輩に引き継ぐ郷家選手に対して、檀崎選手は何を思ったでしょうか。

主将として臨んだインターハイで敗退

評価を落としてしまった2年時を取り返すべく、最後の一年で何が何でも結果を残す。最後のチャンスまで全身全霊を尽くす。

檀崎選手にとって3年時の一年間こそがラストチャンスとなりました。

自分の甘さで離れてしまったスカウトたちの目をもう一度自分に向けて見せる。そんな覚悟の一年間。

選手権後、新チームで檀崎選手は10番を受け継ぎ、さらにキャプテンを任されます。

しかし夏のインターハイでは2回戦敗退を喫します。青森山田以外にも市立船橋、前橋育英といった高校屈指の名門校が2回戦で敗退、東福岡も3回戦で姿を消すという波乱の大会となりました。

プロのスカウトの目に高体連の選手たちはどううつったのでしょうか…。

しかし檀崎選手は「高2の一年間を後悔するよりこれからを全力で」と懸命にプレミアリーグでゴールを量産し、チームを牽引していきます。

インターハイ敗退後のSBS杯ではU18日本代表に選出され、やはり高校トップクラスの実力を発揮してみせます。

そして、コンサドーレ札幌からの誘いをつかみ取るのです。

全国制覇を手土産に札幌へ!

サッカー競技場に残されたサッカーボール
現在、クラブユースチームを含めたU18チームで争う高円宮杯プレミアリーグEASTにおいて、檀崎選手は2位以下に大きく差をつけて得点ランキングトップを独走中。

10番にふさわしい活躍を見せている檀崎選手は、昨シーズンから見違えるように輝きを取り戻したようにみえます。

あきらめたり開き直ったりせずに、自分の意思を貫いて努力する人間力が培われていたからこそ、最後の最後にJクラブの内定を勝ち取ることができたのでしょう。

青森山田中学に入ると決めた時の「人間として成長して」という目標をぶれずに持ち続けた結果ですね!

青森山田の10番とは

どの学校でもエースナンバーを背負うことは大変なプレッシャーですが、青森山田でもエースナンバーの10番には活躍以上のものが求められます。

2冠世代の10番高橋選手は「決めるべきところで決められるのが青森山田の10番」
つづく郷家選手は「一番点を取って、一番ボールに触らなければいけない番号」

...と話すように、凄まじいプレッシャーを感じることがわかります。

檀崎選手もまた10番の役目を果たすため、静かに努力してきました。

点を取るだけではなく、大事な場面で必ずゴールを決めてきた先輩たちのように。また、さらにそれ以上の活躍をしなければ評価はされないという意識を持っています。

目指すのはプロでの活躍

檀崎選手は常にプロでの活躍を意識しています。

得点ランキングトップを走っていても浮かれる様子はなく「もっとやらなければプロには行けない」と危機感を持っている様子。

もともと謙虚で控えめな性格ですが、謙遜ではなく本気で結果に納得していないのはやはり先輩たちの存在が大きいようです。

郷家選手がヴィッセル神戸のルーキー1年目で活躍する姿を目の当たりにして、懸命に先輩の背中を追っているように見えます。

青森山田の10番でキャプテンといえば、日本代表の柴崎岳選手と同じなんです。物静かで努力家なところも似ていますね。

青森山田の黒田監督は常々「サッカー人生は高校で終わりではない」と指導していますので、その先を見据えているのでしょう。

まとめ

  1. 檀崎選手のJリーグ入りはなかなか決まりませんでした
  2. 中学時代は華々しい戦歴で順調にプロにアピール
  3. 1年生ながら結果を出した1年時と結果を残せなかった2年時
  4. 檀崎選手は青森山田のプライドを胸にJリーグで活躍できる選手を目指しています

コンサドーレ札幌からの評価を掴み取った檀崎選手は、まずは2冠の先輩と同じように高円宮杯プレミアリーグを制覇すること、そして集大成として選手権の制覇を狙います!

現在チームの勢いは2冠世代のそれとよく似ています。

1年生の時にみた選手権制覇の景色について檀崎選手は「中学年代とは全然違った。もう一度この雰囲気を味わいたい」と語っていましたので必ず選手権での活躍を手土産にJリーガーとして津軽海峡を越えるのでしょうね。

そして、東京オリンピックで日本代表として活躍する姿を楽しみにしましょう!

追記(2018.11.18)

青森山田高校サッカー部が県大会で22連覇を達成されました!!
ほんとうにおめでとうございます ( ・ㅂ・)و ̑̑

決勝戦では檀崎選手が値千金の決勝ゴールを決める大活躍!!
そのまえの週の練習で、太ももを痛めていたとのことですから、信じられませんね…!

次は全国…のまえにプレミアで鹿島ユースと大一番。
檀崎選手のますますの活躍に期待が高まります!!

\檀崎選手の活躍や写真も!!/
青森山田高校サッカー部公式サイトはこちら!

北海道コンサドーレ札幌の公式サイトもチェック!

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