建築や土木の仕事をされて間もない方、日々専門用語が飛び交う現場でわからないことだらけではありませんか?
例えば工事で使用する材料を発注する際、アスファルトを何t発注すれば良いのか計算方法を知らないと困ってしまいますね。
そもそもアスファルト合材を発注する際、アスファルトの比重を知らなければ何t発注すべきか割り出せないということはご存知でしょうか。
実はアスファルト合材によって比重が違いますので、使用するアスファルト合材の比重を知らなければ発注に誤差が出てしまいます。
そこで、比重の基準値と計算方法、使用するアスファルト合材のt数を割り出す方法を調べてみました。
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比重と密度は同じこと?
そもそも比重を計算するとき、密度を使いますが「比重と密度って同じなんじゃない?」という疑問を持ちませんか?
わかりやすい使い分けとして比重には単位がなくて密度には単位がある、と解釈しがちですがなぜなのか理解されているでしょうか?
比重の計算方法をご説明する上で、密度も使いますのではじめに確認しておきましょう。
密度と比重の違い
密度とは、体積当たりの質量のことをいいます。ですから、単位があるんですね。
いっぽう比重とは、基準となる物質の密度を1としたとき、その物質の密度がいくつになるのかを比で表したものです。ちなみに基準となる物質とは水です。
比重の計算式は【目的物の密度÷基準物の密度】となりますので単位が同じもの同士の割り算となるので比重には単位がないんですね。
わかりやすく言うと、アスファルトの比重2.35という表現は、アスファルトは水の2.35倍の密度がある、ということですね。
比重・密度どちらでもOK?
実は、アスファルトに関しては比重と密度がごちゃ混ぜで使われがちのようです。
正直、アスファルトに関しては「アスファルト合材密度」は「比重」に置き換えても良いので表記が統一されていないのかも知れません。
ただし、アスファルトの比重を使うのはアスファルト合材を何t発注すればよいか?というように単位が必要な場面ですよね。
アスファルト合材の使用t数は、舗装厚(m)×舗装面積(㎡)×アスファルト合材密度(t/㎥)で求められるのでやはり比重ではなく単位のある密度で表記されることになります。
単位のない比重の方がわかりやすいため比重表記もなくならないのでしょうね。
アスファルトの比重を知るには
アスファルト合材の密度は土木工事積算基準書によると、車道に用いる密粒度アスコンで2.35t/㎥となっていますが、共通仕様書には記載されていません。
積算の2.35t/㎥は数量を算出するための換算係数であり、あくまで目安です。
土木工事共通仕様書には基準密度を監督員の承認を得なければならない、とあります。
ですから、プラントで配合設計を行って基準密度を決めなくてはいけません。
まずはアスファルトの基準密度を知りましょう
アスファルトの比重は一般的に2.35t/㎥ですが、これは密粒を使用する場合です。
密粒の場合、面積×厚み×2.35でほぼ計算通りの数量になりますが、ポーラスアスファルトや透水性アスファルトの場合、密度を変える必要があります。
密度はプラントからもらう材料承認などの基準密度を参考にします。
プラントによって違いはありますが、大体の基準密度を調べてみましょう。
- 粗粒 約2.4
- 透水性アスファルト 2.1
- 排水性アスファルト、ポーラスアスファルト 2.0
- アスファルトモルタル、トペカ 2.2
- 細粒 2.32
の係数で計算してみましょう。
あくまで目安ですし、使用する骨材によっても基準密度が変わってきますので出荷プラントに確認するのが一番です。
基準密度から密度を割り出す
まず、密粒の場合で計算してみます。
材料承認の基準密度が締固め度100%の密度2.4だとすると、実際の現場は98%くらいで締まったとして計算方法は【2.4×98%】となり、密度は約2.35が妥当です。
次に、ポーラスアスファルトや透水性アスファルトで計算してみます。
ポーラスアスファルトは基準密度が2.00くらいなので計算式は【2.00×98%】となり、約1.96
透水性アスファルトですと基準密度が2.15くらいで【2.15×98%】の計算をして約2.10が密度ということになります。
このように基準密度がわかれば密度=比重を割り出すことができますね。
比重を使って必要なt数を割り出すには
使用するアスファルト合材の比重がわかったところで、使用するアスファルト合材のt数を割り出してみましょう。
実際に計算してみると、使用する材料によって大きく違いが生じるので適当に発注しては大変なことになるとわかります。
使用する合材によって大きくt数が変わります
舗装厚が5cmで舗装面積200㎡の場合、何tのアスファルト合材を発注すれば良いのか計算してみましょう。厚さの単位をmに直すのを忘れずに。
- 密粒の場合、比重は2.35で【0.05×200×2.35】となり、必要なアスファルト合材は約23.5t
- 排水性アスファルトの場合、比重が1.96で【0.05×200×1.96】となり、必要なアスファルト合材は約19.6t
となります。さらに転圧減量として1.07程度を掛けて割り増ししたほうが良いでしょう。
もちろん、実際の必要量は路盤の状態にもよります。
それにしても、範囲が同じでも使用する合材の比重が違うだけで必要なt数に大きな差が出ますね!
もし排水性アスファルトを使用するのに、比重を密粒と同じ2.35で計算して発注したら大きな損害となります。
密度がわかればアプリが使える!
上記の計算方法で注文するアスファルト合材の重さが割り出せましたね。
ところが、これを一瞬で計算してくれるアプリがあるのをご存知でしたか?!
4つの項目を入力すするだけで必要なアスファルト合材の重量を教えてくれるんです。
入力する項目は「面積」「舗装厚」「締固め後密度」「補正係数(割増)」の4つですから、上記の計算方法と同様ですね。
ただし、やはり密度は正しく入力しなければいけないので前述したように締固め後の密度は求めておく必要があるということです。
まとめ
- アスファルトにおいて密度と比重は混同して使われますが同じ意味です
- アスファルトの比重は基準密度から割り出します
- アスファルトの使用t数を求める式は面積×舗装厚×密度×補正係数
アスファルトの比重については、基準密度や締固め度をしっかり確認することが大事です。
そこの確認を怠ると大きな工事であればあるほどアスファルト合材の発注に誤差が広がることになりますよね。
また、あくまで机上の計算で割り出す数値ですので、現場に報告・相談をしっかり行い、状態等をよく確認したうえで発注量を決定するのが賢明です。
予定通り工事を行うことができるかどうかは正しく緻密な計算にかかっていますので、面倒だと思わずに計算しましょう!
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