近年、若者に比べてシニア世代は本当に前向きで元気な方が増えましたよね。
65歳以上のシニア世代は、年々心も体も若返り傾向にあるそうで、体力テストの結果はもちろん、知的能力も上昇しているとのこと。
若々しくありたいと望むシニア世代が、様々な努力をしている結果ではないでしょうか。
そもそもむかしは「シニア世代」なんて呼び方も存在しませんでしたよね。65歳以上は「高齢者」あつかいでしたから。
それにともなって性にたいする積極性も20年前のシニア世代と比較すると高くなっているようです。
実はご自身の性について悩みを持っているシニア世代は非常に多く、これはこの世代特有の本当に深い悩みのようです。
ここでは、シニア世代がかかえる性問題について知識を持ち、幸せに生きていくために少しでも解消できる方法をご提案していきたいと思います。
シニア世代の性の悩み
まずは、皆さんがどのような悩みを持っているのかいくつかお話していきたいと思います。
「わかるわかる」と共感したり、「こんな悩みを持っている人もいるんだな」という見方で
「苦しんでいるのは自分だけじゃない」と感じていただけたらと思います。
男性の悩み
- 「いい歳をしてまだ性欲を処理しなけれないけない自分に虚しさを感じる」
- 「性欲を処理しようにも身体がいうことをきかないので薬や風俗にお金を使いすぎてしまった」
- 「高齢の女性にはまったく興味が湧かないのだが、自分は高齢。性生活を楽しむ相手がいない」
- 「妻も高齢になり、私との性行為を苦痛に感じていると告げられた」
- 「妻との性生活をないがしろにしてきたせいか、妻にそっぽを向かれてしまい、現在は後悔している」
男性の悩みはご自身の性欲の行き場を持て余している場合が多いようです。
世にいう「ちょいワルおやじ」も真面目な紳士も実は同様の悩みを持っているようですね。
女性の悩み
対して女性の悩みでよく聞く声を挙げてみます。
あえて前述の男性の悩みと対比させた順番で書きますので、ギャップを感じていただけたらと思います。
- 「シニア世代になってすっかり性に対する興味を失って女性らしさが取り戻せない」
- 「主人はまだ性欲があるようで、性欲処理に浪費しているのが不快」
- 「主人から歳をとって体型もかわった私とは性行為できないと宣言され、傷ついている」
- 「私は性行為ではなく、こころの繋がりを求めているのに主人は身体の繋がりばかり求めてくる」
- 「今まで散々若い女性と遊んできた主人が急に性行為を求めてきても絶対にその気になれない」
女性は男性よりも性欲減退が早いようですが、やはり出産・子育てが大きく影響しているのでしょう。
逆に子育てがひと段落して女性としての自分を取り戻したいと思った時にはとても人様に見せられるような身体ではないので、傷つきたくないから諦めている。という声も多いようです。
シニア世代が抱える性のトラブル
いつまでも若く元気でいたいという意識の高いシニア世代が増えたことで、実は若者に多かった性トラブルがシニア世代にも増えています。
シニア世代の性トラブルは「いい歳をして」と思われるのを恐れてあまり表に出ないようですが、実は大変多く発生しています。
最近はニュースでも頻繁に目にするようになりました。テレビで見て印象に残っている事件もいくつかあるのではないでしょうか。
シニア世代の不倫
不倫は20代~40代くらいに多いイメージですが、シニア世代にも不倫トラブルが起きています。
配偶者との性生活がうまくいかない反動で不倫に走るケースが多いようですが、これは若い世代でもシニア世代でも動機は一緒なのではないでしょうか。
女性の場合、閉経したあとであれば妊娠の不安もないから、という要素もあるようです。
家庭裁判の範囲で解決できる問題であれば、他の世代にもよくある話ではありますが、シニア世代にとって長年信頼してきた配偶者の裏切りは相当なダメージです。
中には刑事事件に発展する事例も少なくありません。
性病
不倫や歓楽街での性行為で性病を移されたという相談も増加しています。
性病のひとつ梅毒の感染者数を調査したところ、20代男性の感染者数を60代男性の感染者数が上回ったという結果もあるほどです。
性病の感染が原因で不倫がわかってしまうというケースもあるようで、避妊の必要がないと安易に性行為に及ぶとこのようなトラブルが起きてしまいます。
出会い系トラブル
インターネットを使いこなすシニア世代がたくさんいる一方で、未成年と同様にトラブルに巻き込まれる問題も起きています。
- 女の子と連絡を取って会いに行った途端、背後からチンピラのおにいちゃんが登場してぼこぼこにされて金品を奪われるという俗にいう「おやじ狩り」
- 女子高生と会って性行為に及ぼうとした瞬間、怖いお兄さんがでてきて金品を要求されたり、長期間高額な現金をゆすられたり、という「つつもたせ」
特に相手が未成年であった場合、重大な事件になってしまいます。
シニア世代はご自身の立場があり、性犯罪に巻き込まれたことを周囲や警察にはとてもじゃないけど相談できない!という事情があり、事件が大きくなってどうしようもできなくなってから発覚する事例が多いようです。
搾取する側もそこを心得ていて、うまく利用されてしまう可能性があります。
性犯罪の類
70代や80代の男性が強制わいせつで逮捕されたり、中には強姦事件も。
下半身露出ですとか下着泥棒のような何だか物悲しくなるようなニュースも耳にします。
シニア世代ですから、中には「こんな人が性犯罪を!?」と驚くような立場の方も含まれていることがありますね。
ご自身の立場を理解していないはずはないので、それでもなお犯罪に走ってしまうほど抑えきれない感情だったのでしょうか。
もちろん、犯罪を犯す人は他の要因を持っているでしょうから皆をひとくくりにしてお話はできませんが、抑圧された欲求が積もり積もって大きな事件を起こしてしまうこともあります。
上手にシニア世代の性と向き合うには
シニア世代が性欲を継続していることによる悩みやトラブルは様々あって、多くの方々が直面している問題のようです。
いくつになっても配偶者と仲良く性生活を送れたらそれが一番で大変幸せなことですね。
しかし、なかなかそんな境遇には恵まれないのが現実です。
かといって、ずっと悶々と悩み続けるのは苦しいですし、さきほど挙げたようなトラブルが起きてからでは大変です。
ここでは「じゃあどうしたらいい!?」という葛藤に対処する考え方の転換のご提案をしていきます。
「ソフレ」という考えかた
最近流行の「ソフレ」という言葉をご存知でしょうか。
ソフレとは「添い寝フレンド」の略で、肉体関係はなくても一緒に寄り添って眠る間柄のことを表現しています。
なるほど、シニア世代夫婦がもう性欲もなくなって一緒に眠るだけの関係に…と思いましたか?
実は驚くべきことにこの「ソフレ」は若者から発生したものなんです。
「男女が一緒に寝ていて何もないなんてありえない!」と驚くシニア世代が多いと思いますが、若者がソフレに求めているものは性欲の解消ではなく「心の安らぎ」や「信頼・安心感」。
お互いに恋愛感情がないことで成立する関係で、気が合う異性と一緒に眠ることで、一人では眠れない寂しさを埋めたり、誰かが横にいるという安心感を得られるんだそうです。
他人に干渉し過ぎない若者ならではの考え方ですね。
しかし、シニア世代を主人公にしたドラマ「やすらぎの郷」でソフレが登場したのをご存知でしょうか?
「やすらぎの郷」は倉本聰さんが脚本。俳優に石坂浩二や浅丘ルリ子、加賀まりこらシニア世代がたくさん出演する大人気ドラマでしたが、みな生き生きとしたシニア世代で、本当に圧倒されました。
そのパワフルな中にもシニア世代ならではの苦悩や葛藤が盛り込まれていて本当に素敵なドラマでしたね。
その中で、元シャンソン歌手のしのぶ(有馬稲子85歳)のソフレとして元ピアニストの貝田(藤木孝77歳)が登場します。
シニア世代のソフレは若者のそれとは多少意味合いが違ってくるでしょう。
体力的だったり能力的に肉体関係が難しくなってしまっても、一緒に寝る行為で心の安定をはかることができます。パートナーとの肌の触れ合いやぬくもりを大事にしていけるのです。
先に書きましたシニア世代の性の悩みについて触れますと、女性は特に精神的つながりのために肉体関係を求めることがわかります。
性行為にこだわることをやめて「ソフレ」という新しい男女関係に移行してみてはいかがでしょうか。
シニア世代だからこそのプライドを忘れないで
「ソフレ」の考え方で対処する方法は女性の性の悩みにしっくりときますね。
ところが男性はなかなかそれができないという本当に苦しい葛藤が。
男性として終わってしまうという現実を本能が拒否しているのですから、自分ではどうにもできない!と叫びたくなる気持ちはわかります。
しかし…。
若い頃は本能が強く、それを抑えるための知恵も経験も足りませんから、理性が本能に負けることも若さゆえ、と周囲も多少の理解を示してくれるかも知れません。
ですが、シニア世代に「若さゆえ」は通用しません。シニア世代自信が強く意識している通り、世間からは「いい歳をして」という反応が少なくないことは事実。
性欲があることが問題なのではなく、性欲を上手にコントロールできないことに問題があるのではないでしょうか。
性の悩みにばかり縛られてこだわるより、趣味を見つけて他に没頭することを始めたり、トラブルにならない程度の息抜きを上手に利用したり、賢く立ち回りましょう。
例えば人間の三大欲求のうちのひとつ「食欲」は性欲をコントロールすることが知られています。好きなものを食べてお腹いっぱいになると性欲が治まる、というように性欲は制御不能な欲求ではないということを知ってください。
死ぬまで性と向き合う
この先、自分はずっとこの性欲と付き合っていくのか、もういい加減性欲が無くなってくれれば楽なのに…。そう思っているシニア世代の方もいるかも知れません。
または「死ぬまで性欲を持って元気でいたい!」という方も中にはいるかも知れません。
ここでシニア世代が健康な心身を失ったあとの性について少しお話してみたいと思います。
性欲の強い認知症の方
特別養護老人ホームに勤務している私は、認知症の入所者さんの性について最初の頃驚き、深く考えさせられました。
というのも、中には夜になると真っ裸になって徘徊するおじいちゃんや、若い男性職員をベッドに誘うおばあちゃんがいるんですよね。
最初はそのおじいちゃんやおばあちゃんの性格なのだろうと思っていました。
ところが、おじいちゃんは若い頃まじめな公務員、おばあちゃんはご主人一筋の良き妻だったと聞いて「若い頃我慢していた性欲を発散しているのかしら」と思ったんです。
しかし、一人一人の若い頃の話と現在の様子を比較すると、認知症になる前の人格が必ずしも影響するわけではないんだなと感じます。
性に関しても同様で、訪ねてくるご家族にはあまり話せないような言動があったりして、本当に人間て不思議だなと思います。
死ぬまで性欲があって当たり前
認知症になった方は様々な感覚が失われていく中で、自分の幼少期や若かりし頃の記憶は驚くほど鮮明に持っています。
それでも自分の脳を制御する能力がなくなって、泣いたり怒ったり自分の感情のまま振る舞うようになるんですね。
人当たりの良かった女性が、認知症を患ってから大声で他人を罵るようになったりもします。
しかしそれは、本来人間なら誰でも持っている感情を、若い頃は理性でしっかり抑えてきたから「人当たりが良かった」わけで…そのタガが外れてしまっただけ。
性欲も人間誰しも持っているもので決して恥ずかしい事ではないのですが、生きていくうえで困ったことが起こらないように理性でコントロールしているのです。
認知症の方を見ていると「本来人間てこうだよね」と感じる毎日です。
シニア世代の性問題…まとめ
- シニア世代の性の悩みは男女で違いがあるようです
- シニア世代だから起こる性トラブルを知りましょう
- 考え方を切り替えて性の悩みと上手に向き合いましょう
- 人間には皆死ぬまで性欲があって当たり前
若輩者の私がシニア世代の性についてお話をさせていただきましたが、口で言うのは簡単だ、経験してみなければわからない!と指摘されるかも知れません。
しかし、どの世代にも性欲に左右される人とそうでない人がいます。
せっかく長年生きてきて酸いも甘いも、成功も失敗もあまたの経験を積んできたのですから、自分を守る術を知りましょう。
厳しい事を言うようですが、ひたすら「性欲があるから仕方ない」と悩んでいても解決にはなりません。
経験や知恵を使って冷静になって、コントロールの効かない若者とは違うところを見せてやりましょう!