青空と雪原に雪だるま




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青森山田/藤原選手の出身はなんと⁉︎強い心臓のスーパールーキー




今年も数々の熱戦を繰り広げた全国高校サッカー選手権。

私はサッカーファンとして、毎年年末年始が楽しみで仕方ありません。

Jリーグユースと高校サッカーの力の差は年々縮まり、選手権のレベルの高さには驚かされますし、一発勝負のトーナメント戦はやはり感動しますよね。

今年私が注目し、これからもチェックしたい選手の一人が青森山田高校の17番藤原優大選手です。

同学年の子供がいる私にとって高校サッカーの選手たちは親目線で応援できる存在です。

飄々とした雰囲気からは想像できない、試合での能力の高さに釘付けになりますよ!

選手権屈指の名勝負に決着をつけたスーパー1年生

サッカー競技場サッカー競技場
第97回全国高校サッカー選手権の準々決勝、青森山田(青森)-尚志(福島)の試合は大会屈指の名勝負となり、多くの高校サッカーファンの心を打ったことは記憶に新しいですね。

この名勝負はPK戦までもつれ込みましたが、最後にキッカーをつとめて試合に白黒つけた選手が1年生の藤原選手です。

全国のサッカーファンが藤原選手の顔を覚えたのではないでしょうか。

まずはこの試合のお話から。

途中出場でみせた存在感

埼玉スタジアムで行われた準決勝尚志戦は、尚志のエース染野選手のゴールで幕を開けます。

準々決勝の矢板中央戦同様、先制点を取られた青森山田は何とか10番檀崎選手のPKで追いつきますが、後半染野選手にハットトリックを決められ一時は2-1で奪ったリードを2-3と逆転されてしまいます。

そこでチームが窮地に立たされた状況の80分に投入されたのは1年生の藤原選手でした。

シャドーのポジションに入り、高身長を活かした競り合いと足元の技術を活かしたセカンドボールの回収で、1年生とは思えない働きをみせます。

さらにCBの三國選手を前線にあげるパワープレーを選択した黒田監督は、藤原選手をCBへ移します。

すると今度は三國選手の穴を埋める見事なDFを披露。

残り時間わずかとなった87分とうとう青森山田は土壇場で同点ゴールを決め、ゲームはPK戦へともつれこみました。

5人目のキッカー

PK戦では1人目、3人目、5人目がカギを握るとよく言われます。

PKで並んだ選手の顔ぶれを見て驚いた観客もいたかも知れません。なんと5人目には1年生の藤原選手が並んでいたからです。

しかしチームとしてはいつも5番目を任されていた藤原選手。上級生からも「あいつはうまい」と認めらる実力者だったわけです。

実はこの準決勝の前日、青森山田は接戦を予想してPKの練習に多くの時間を割いています。

PK開始前の円陣で「いいかい、PK戦はサッカーの試合とは別だ。落ち着いて決めるかどうか。それだけだ。深呼吸して!いくぞ!」という声が響きました。

1人目は両校ゴールが決まり、2人目…なんと三國選手がコースを読まれポストの上へ外してしまいます。

しかし、3人目の天笠選手が落ち着いて右隅に決めると尚志3人目の選手のシュートはポストの上へ外れます。

そして尚志の4人目フォファナ・マリック選手のシュートをGK飯田選手がストップしてみせます。

青森山田5人目のゴールが決まれば決勝進出…誰もが固唾を飲んで見つめるスタジアムで藤原選手がGKと対峙しました。

一年生とは思えない落ち着き

藤原選手はもともと「あまり緊張しない」と自分でも言うほど冷静な選手のようです。

最後のキッカーとして登場した藤原選手は「PKには自信がある。ずっと練習でも決めてきたし一年目だからとか一切関係ない」と落ち着いてペナルティスポットにボールを置きます。

主審の笛が聞こえてから円陣で言われた通り数回深呼吸をしていました。

「助走でスタンドが沸いた声が聞こえてちょっとだけ動揺しましたが、踏み込む時にはもう冷静になっていました」と、普段通りゴールを決めてみせ、青森山田は大接戦を制して決勝へ!

実は藤原選手は前日の夜、PKをしっかりイメージしていたのだそう。

それだけではなく、自分がシャドーにはいること、パワープレーでCBにはいることまで想定して準備ができていたというのです。

驚異の落ち着きはこの適応力やしっかり事前の準備ができる能力によるものなんですね。

これが1年生でできるとは本当に驚きしかありません。

藤原選手はどんな選手?

サッカー競技場
埼玉スタジアムの観客の印象に強く残った藤原選手ですが、青森山田ファンの間では驚きでもなんでもないかも知れません。

藤原選手の能力の高さは誰もが認めるもので「タレント軍団」と言われる青森山田の次世代タレント候補であることは間違いないでしょう。

藤原選手はどんな選手なのか、ご紹介していきたいと思います。

年代を代表する選手

藤原選手は青森山田中学の時代、2年時とキャプテンをつとめた3年時に全中制覇を果たしています。

青森山田中学が3連覇を果たした2016年の全中では当時2年生の藤原選手が準々決勝から決勝まで3戦連続のゴールを決める大活躍。

また2017年にはU-17ワールドカップ出場を目指すための、U-15日本代表にも選出されるほどの選手です。

オールマイティー

尚志戦の途中出場でみせた活躍からわかるように、藤原選手は状況に応じてどのポジションでもこなす適応力と頭脳とセンスを持ち合わせています。

本職はボランチの選手ですが、CBやトップ下などセンターポジションであればどこでもこなせるオールマイティーな選手。

小・中学生時はボランチだったので一番得意なポジションはボランチのようですが、高身長を活かした競り合いができるCBでもあり、黒田監督からはシャドーもできると太鼓判を押されています。

さらにPKが得意という驚くべき選手なのです。

唯一の1年生

青森山田高校サッカー部の部員は140名超。
プレミアリーグを主戦場とするトップチームに名を連ねるのは大変なことなんです。

ところが藤原選手は1年生ながらトップチームに、しかも選手権でベンチ入りして出場機会を与えられています。

しかも3回戦の大津高校戦では57分からピッチに呼ばれ、ゴール前へ走りこんで青森山田の勝利を決定づける3点目のゴールをあげます。

試合登録20人のうち唯一の1年生で青森県内出身のスーパールーキーは華々しく選手権デビューを果たしたのです。

青森県出身の選手が活躍すること

雪原にボールを加えて走る芝犬
青森山田高校サッカー部には、このチームに憧れて全国から選手が集まってきます。

都会のJリーグ下部組織に所属していたようなサッカーエリートが続々と入学してきます。

青森山田には青森山田中学出身の選手が多くいますが、これもまた山田のサッカーに憧れて中学入学時にやってきた全国の精鋭たち。

その中で藤原選手のような青森県出身選手がトップチームに入ることがどれだけ大変か想像に難くないと思います。

青森県弘前市出身

そうです、藤原選手はなんと青森県弘前市出身。

青森県出身選手は一昨年の優勝メンバーにも数名いて、高橋選手や嵯峨選手、小山選手など。
しかし今回の優勝メンバーで青森県出身選手は藤原選手のみです。

藤原選手が小学生の時に所属していたのは弘前市のサッカークラブ「リベロ津軽SC」。

リベロ津軽SCは何度も青森県代表になっている強豪クラブで、一昨年選手権決勝で青森山田の5点目のゴールを決めた佐々木快選手の出身クラブでもあります。

藤原選手はじめ先輩たちの活躍はクラブの子供たちに大きな夢を与えていることでしょう。

憧れは柴崎選手

青森山田で1年生からトップチームで活躍し、選手権に出場してきた選手と言えばやはり現日本代表で活躍する柴崎岳選手ですね。

彼はなんと1年生から10番というエースナンバーを背負っていたのですから驚きです。

柴崎選手を擁した青森山田は選手権で初の決勝戦へ進みましたが、決勝で涙をのみました。

現日本代表の柴崎選手は青森のサッカー少年に夢と希望を与えた憧れの存在で、藤原選手もその例に漏れません。

柴崎選手のように青森山田で活躍してプロに行って活躍して代表に呼ばれたい。

藤原選手が「同じ県民として同じ道を歩ませてもらっている大先輩。たくさん学びたい」と話すように偉大な先輩を多数輩出している青森山田の中でも、県内出身選手にとって柴崎選手は特別な存在なんですね。

青森のサッカー少年に夢を

青森山田サッカー部の活躍は一時期、県内の公立高校への同情となって批判の的になっていました。

しかし今はそのような批判をする人は少なくなりました。

青森の地にいて、全国の頂点を目指すことができ、レベルの高いサッカーを感じることができることはプラスでしかありません。

もしこのようなチームが青森になければ都会のサッカー少年たちの活躍を指をくわえて見ているだけだったのではと思います。

青森の才能あるサッカー少年たちに、青森出身選手として道筋を見せることで「自分もできる!」と夢を持ってサッカーをしてもらうために、藤原選手のような県内出身選手が憧れの存在になることは貴重なことではないでしょうか。

まとめ

  1. 藤原選手は選手権でサッカーファンの印象に強く残るプレーを見せたスーパー1年生
  2. 藤原選手はセンターポジションならどこでもこなせる、年代を代表する選手
  3. 藤原選手のような青森出身の選手の活躍がサッカー少年に夢を与えている

今回の選手権で全5試合でピッチに立ち、印象を残した藤原選手ですが優勝の瞬間は実感がわかなかったのだそう。

「周りを見たら本当にたくさんのお客さんがいて、この中で自分がプレーしたかと思うと、凄いなというか…」という16歳らしいコメントは、いかに集中して必死で戦っていたかを表していますよね。

それはやはり、試合に出られなかった3年生に対して「変なプレーはできなかった」という重い責任を背負っていたからなのでしょう。

優勝メンバーのほとんどが抜けた新チームは選手権優勝からわずか2週間、まずは東北新人大会優勝のタイトルを掴みました。

この大会では新チームのエース武田選手が高校選抜候補の合宿に参加していたため不在でしたが、唯一選手権優勝の瞬間を知っている藤原選手が中心となり、準決勝では選手権の再戦となった尚志高校との対戦も制しました。

東北新人戦では三國選手から引き継いだ5番をつけてディフェンスリーダーとして活躍した藤原選手。

しかし選手権で背負った17番は、10番エースの檀崎選手が1年時選手権でつけていた番号。

次世代エースが残りの2年間でどのような成長を遂げるのか、これからどんなドラマが待っているのか本当に楽しみです。




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