お盆に二個のった炭酸まんじゅう




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炭酸まんじゅうとは何?地方民しか知らない歴史と魅力




みなさん、「炭酸まんじゅう」って知っていますか?

炭酸まんじゅうは一部地域に愛されている郷土菓子のことです。
ですから、炭酸まんじゅうの地方出身でない方にとっては謎だらけだと思います。

そこで、今回は炭酸まんじゅうの名前の由来、古くから親しまれている地域や風習、炭酸まんじゅうの魅力や作り方などをご紹介します!

どうして「炭酸まんじゅう」というのか

スプーンいっぱいの白い粉
知らない人にとっては謎に包まれた「炭酸まんじゅう」…。

まずはこの「炭酸」という名前が気になると思います。

なので、最初に「そもそも何が炭酸なの?」という疑問にお答えしていこうと思います。

炭酸を発砲して膨らむ

炭酸まんじゅうは小麦粉や牛乳、卵などの材料に、膨らし粉として重曹を加えて作るまんじゅうです。

この重曹は熱に反応して発砲する(炭酸を出す)ので、名前が「炭酸まんじゅう」なのだと思われます。

ちなみにこの炭酸まんじゅう、中には小豆のあんが入っています。

お味は蒸しパンのような生地に甘いあんこが入っていて、素朴で懐かしい感じです。

重曹とベーキングパウダーの違い

膨らし粉に重曹を用いるのが特徴の炭酸まんじゅうですが、和菓子には度々重曹が使われます。

洋菓子にはベーキングパウダーが使われますが、ここで重曹とベーキングパウダーの違いについて考えてみます。

ベーキングパウダーを使用した場合、皮の色は白いまま仕上がり、苦みやにおいは残りません。

それにたいして、重曹を使用した場合は皮の色が黄色っぽくなり、独特の苦みやにおいが残ります。

つまり、重曹を使用するよりもベーキングパウダーを使用したほうが、見た目がきれいに仕上がり、味にくせも出なくなるということです。

というのも、ベーキングパウダーは重曹の欠点を補うために作られた膨張剤なんです。

しかし、重曹も入れすぎなければ良い味のアクセントになります。

和菓子特有のあの味わい深さは、もしかしたら重曹によるものかもしれませんね。

炭酸まんじゅうは郷土菓子

田舎のおじいちゃんおばあちゃん
さて、冒頭に炭酸まんじゅうは郷土菓子だとご紹介しましたが、地方で長年愛されてきた炭酸まんじゅうの歴史や風習は胸がほっこりします。

田舎の優しい味わいの炭酸まんじゅうを食べに、地方へ出掛けてみては。

昔懐かしい炭酸まんじゅう

炭酸まんじゅう(田舎まんじゅう)は北埼玉と北関東の家庭で、農作業の合間にご飯の代わりに手軽に食べられるようにと昔から作られてきた郷土菓子です。

また、小麦の収穫や稲の田植えなど、ハレの日のお祝いの料理としても欠かせなかったんだそう。

小麦が多く生産される地域なので、ハレの日は朝まんじゅう、昼うどんなんて家庭も多かったとか。

なんだかほのぼのとした素敵な光景が浮かびますね。

北埼玉や北関東出身の人は、炭酸まんじゅうはおふくろの味という人もいるようです。

道の駅では様々な種類を楽しめます

そんな昔懐かしい炭酸まんじゅう、今では作る人が減り、食べる機会もあまりないようです。

しかし、今では地方の道の駅などで購入することができます。

ちなみに道の駅では、中にみそが入っているものや生地に黒糖を練りこんでいるものなどのおやつ系はもちろん、中のあんが高菜、きんぴら、切り干し大根、野沢菜、ひじき、山菜、椎茸など様々な種類のものもあります。

生地が結構厚めなので、おかず系は確かに合いそうですね♪うーん、お腹が空いてきました。

小豆あんが入った甘いものはおやつによし、おかずあんのものは食事にもなるという炭酸まんじゅう。
とびぬけて目立つ存在ではないものの、その温かい味を求めて道の駅に来たら買って行く人も多いようです。

栃木県北部での風習

夏にお墓参りする子供達
地方で愛される炭酸まんじゅうですが、風習として親しんでいる地域もあります。

栃木県の北部(特に那須地方)には8月1日を「釜の蓋」「釜蓋朔日(かまぶたのついたち)」と呼び、この日に炭酸まんじゅう(釜の蓋まんじゅう)を食べる風習があります。

なぜ8月1日に炭酸まんじゅうを食べるの?

釜の蓋まんじゅうの言い伝えはいくつかあるのですが、ベースはこちら。

この地方では8月1日は「地獄(あの世)の釜の蓋が開く日」とされています。

地獄からこの世への道のりは遠く、ご先祖様がお盆に間に合うようには釜の蓋が開く初日、8月1日に出発しなければいけません。(つまり、ご先祖様は8月1日に釜の蓋から飛び出し、そこから13日かけて帰って来ます。)

ここから言い伝えの内容は様々になってきます。一部をご紹介します。

  • 8月1日に釜の蓋が開くことを喜び、ご先祖様を迎えるために炭酸まんじゅうを作り、笹の葉を敷いてお供えし、その後みんなで食べるようになった。
  • 炭酸まんじゅうを13個お供えし、ご先祖様が道中1日1個腹ごしらえに食べるため、お迎えする人はまんじゅうを食べてはいけない。
  • ご先祖様がこの世に来る道中迷子にならないように、お墓から家までの道のりに炭酸まんじゅうをいくつかお供えする。

家庭によって認識は様々ですが、どれもお盆に帰って来るご先祖様のため。

どれも面白いですね。三つ目は、お墓や民家周辺に同じような炭酸まんじゅうがたくさん置いてあったら、ご先祖様は混乱しないのでしょうか。アリババと七人の盗賊を思い出してしまいました…(笑)

釜の蓋まんじゅうの文化は根強い!

釜の蓋まんじゅうは栃木県中部では一部の地域でしか知られておらず、南部では全く知られていません。

しかし、北部では今でも7月30日、31日、8月1日あたりになると、那須地方だけでなくその周辺地域の和菓子屋さん、スーパー、道の駅、コンビニまでもたくさんの炭酸まんじゅうが並びます。

インターネットで調べてみたのですが、栃木県北部出身の方が「釜の蓋まんじゅうって栃木限定なの?」と書き込んでおり、同じように栃木県出身の方々が「毎年作ってました。栃木だけだったんですか?!」「栃木を出たら売っていなくて驚いた」「メジャーな饅頭だと思っていました」との声が。

栃木県北部の人たちにとって、8月1日に炭酸まんじゅうをお供えするのは当たり前の習慣のようですね。

非常に局地的ですが、まだまだ廃れそうにない根強い風習です。これからも続いてほしいです!

炭酸まんじゅうは家でも作れる!

曲げわっぱの蒸し器
素朴でおいしい炭酸まんじゅうは、お家でも作ることができます。
ここでは、炭酸まんじゅうの作り方をご紹介します。

地元で食べられてきた炭酸まんじゅうに近いので、郷土料理のページ「郷土料理ものがたり」にあるレシピから引用させていただきました。

食べやすいように、膨らし粉は重曹とベーキングパウダーを使います。

材料

・小麦粉 500g
・重曹 10g
・あん 800g
・砂糖 180g
・ベーキングパウダー 7.5g
・手粉用小麦粉 100g
・牛乳 200㏄
・卵 1個

作り方

  1. 小麦粉をよく振るい、卵をよく溶きほぐします。
  2. 砂糖、牛乳、重曹、ベーキングパウダーを混ぜ合わせ、①の卵と一緒にしておきます。
  3. 小麦粉に②を入れて、かき混ぜます。手粉をふった台の上にのせ、ひとまとめにします。
  4. あんを40gに丸めておきます。(あんはいちじく、おから、ナス、くるみ等でもおいしいです。)
  5. ③の木地を50gの大きさにちぎり、丸めて平らにし、あんを包みます。
  6. 丸めた⑤を蒸気のあがった蒸し器の中に間隔をあけて入れます。こうすると大きく膨らみます。12分~15分ほど蒸して、出来上がりです。長く蒸しすぎると破裂してしまうので注意しましょう。

まとめ

  1. 炭酸まんじゅうは重曹を使用し、炭酸で膨らみます
  2. 炭酸まんじゅうは北埼玉や北関東で愛される郷土菓子です
  3. 栃木県北部では8月1日に炭酸まんじゅうをお供えする風習があります
  4. 炭酸まんじゅうをお家で作ってみましょう

炭酸まんじゅうの名前や地方との繋がり、作り方など炭酸まんじゅうだらけの内容でお伝えしてきました。

見た目も味も地味めな炭酸まんじゅうですが、控えめで温かみがあって、和菓子好きなら絶対に好きになる一品です。

地方で長年愛されてきた炭酸まんじゅう、その味を確かめに一度食べてみては。




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