武道の段位をもっている人物は、強くて礼儀正しいイメージがつきますよね。「剣道二段をもっています!」なんて面接で言えたら好印象ではないでしょうか。
今回は剣道の段位を取る際の試験の内容や、どれくらい難しいのかについてお話していきたいと思いますが、今現在あなたの剣道の段位についての印象はどのようなものでしょうか?
これから子供が剣道を始めるにあたって段位を取らせたいと考えている親御さんですとか、現在、学生剣道に励んでいてこの先段位を取りたいと希望している方のご参考になれば幸いです。
読み進めていくとちょっと意外だったり、驚くような情報もあるのではないでしょうか。
わたしは学生時代、剣道をかじっていた身で、段位も持っています。自らの経験や、関わった先生方の話も交えながら、わかりやすくお話していきたいと思います。
【初段~三段】
初段 剣道の基本を修習し、技倆良なる者
「一級受有後3か月以上修業、満13歳以上の者」が受審資格。中学2年生からが基本です。
審査内容は実技、日本剣道形、学科。5人の審査員によって審査されます。
実技試験は基本打ちや30秒ほどの立ち合い稽古。
初段審査では高度な技術は求められませんから、大きな声を出す、しっかりと攻める、まっすぐ打ち込む、残心をとるといった基本を意識すれば大丈夫です。
形は、太刀の形七本のうちから三本が課題となります。
- 左上段 対 右上段 (面抜き面)
- 正眼 対 正眼 (籠手抜き籠手)
- 下段 対 下段 (突き返し突き)
- 八相 対 脇構 (突き返し面)
- 左上段 対 正眼 (面擦り上げ面)
- 正眼 対 下段 (籠手擦り上げ籠手)
- 正眼 対 正眼 (抜き胴)
どれが出題されるかは地域によって異なりますが、一本目、二本目、五本目が多いです。
筆記試験では、地域によって様々ですが「竹刀の各部の名称を書け」「正しい打突について書け」「剣道の『礼』について書け」等が多く出題されますよ。
学校の試験に比べれば断然簡単ですので、全く勉強しないという様な事をしない限り、心配無用です。
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二段 剣道の基本を修得し、技倆良好なる者
「初段受有後1年以上修業した者」が受審資格。
審査内容は実技、日本剣道形、学科。初段と同じく5人の審査員によって審査されます。
実技試験は初段と同様ですが、基本が「完璧に」身についているかを見られますよ。
形は、太刀の形七本のうちから五本が課題。これも地域によってどの形をやるかは異なりますので、事前に確認してください。七本目の抜き銅がカッコよかった記憶があります。
筆記試験では「気合について説明せよ」「中断の構えの特徴について書け」「剣道で礼儀を大切にするのはなぜか」などが問われますよ。
合格率は約6~7割ほど。合格率は地方によって違いますが、不合格者がちらほらと出てきます。
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三段 剣道の基本を修錬し、技倆優なる者
「二段受有後2年以上修業した者」が受審資格。
審査内容は実技、日本剣道形、学科。5人の審査員によって審査されます。
実技試験の内容は立ち合い稽古が基本です。初段、二段までは一本にならなくても正しくまっすぐ打てばいいのですが、三段からは有効打突がカギになってきそうです。
形は太刀の形七本すべてが課題となります。覚えるのが大変ですね…。
筆記試験では「試合に臨む心構えを述べよ」「抜き技について説明せよ」「残心について説明せよ」などが問われます。
合格率は4~5割くらい。綺麗な剣道をしている人は、大体高校生のうちに三段を取ります。
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【四段~五段】
四段 剣道の基本と応用を修熟し、技倆優良なる者
「三段受有後3年以上修業した者」が受審資格。
審査内容は実技、日本剣道形、学科。6人の審査員によって審査されます。
実技試験はどれだけ相手を引き出し、優位に立てるかがポイントです。
形は、太刀の形七本と小太刀の形三本が課題となります。
- 左上段 対 小太刀
- 下段 対 小太刀
- 正眼 対 下段
太刀の形七本にこの三本が加わりますので、三段までと比べて一気に高度になってきます。
筆記試験では「機会について考えを述べよ」「応じ技について説明せよ」「剣道修行の心得を述べよ」などが問われます。
合格率は約3~4割ほど。四段を持っていると、大学まで剣道を続けたのだな、という感じです。
五段 剣道の基本と応用に錬熟し、技倆秀なる者
「四段受有後4年以上修業した者」が受審資格。
審査内容は実技、日本剣道形、学科。6人の審査員によって審査されます。
実技試験は構えた状態で攻めることが重要。そこから機会を見つけて打ちます。ですから、有効打突にならない無駄打ちはできるだけ避けた方が良いです。
形は、太刀の形七本と小太刀の形三本が課題となります。四段と同じですね。
筆記試験では「止心について述べよ」「先の技について説明せよ」「剣道と礼儀の関係を述べよ」などが問われます。
合格率は約2~3割ほど。先生と呼ばれる人は、大体五段以上です。
【六段~八段】
六段 剣道の精義に錬達し、技倆優秀なる者
「五段受有後5年以上修業した者」が受審資格。
ここからは全日本剣道連盟による審査となります。会場まで遠い場合もあるので大変です。年齢によって受審会場が分かれます。(もっとも若い受審者が集まる第一会場は、全日本選手権に出ているような有名な選手が多いそうです)
審査内容は実技と日本剣道形。実技は6人、形は3人の審査員によって審査されます。
実技試験ではやはり有効打突は取っておきたいところです。それも1、2本で充分ですからあとは打たれすぎないこと。あまり打たれすぎていると審査員の方の印象に残ってしまいます。
形は四・五段と同じく太刀の形七本と小太刀の形三本が課題ですが、さらに高度なレベルが求められるようになります。
合格率は約1割ほど。わたしの顧問の先生は若くして六段を持っていましたが、遠征が大変そうでした。
七段 剣道の精義に熟達し、技倆秀逸なる者
「六段受有後6年以上修業した者」が受審資格。
審査内容は実技と日本剣道形。六段と同じく実技は6人、形は3人の審査員によって審査されます。
実技試験は…私が偉そうに言える事ではないのですが、これまでの審査よりもずっと厳しくなるので、ただ強いだけではなく美しさや品なども求められると思います。
形はこちらも太刀の形七本と小太刀の形三本が課題となります。
合格率は1割を切ることもあり、8~10%くらいです。狭き門ですね!
七段ともなれば、アマチュアでは最高峰です。
八段 剣道の奥義に通暁、成熟し、技倆円熟なる者
「七段受有後10年以上修業し、満46歳以上の者」が受審資格。
審査内容は二段階の実技と日本剣道形。形は3人の審査員がつきます。
第一次実技は6人、第二次実技は9人の審査員によって審査されます。一次に受かっても二次が待ち構えているのですね…。
形は太刀の形七本と小太刀の形三本が課題となります。
合格率は1%を切ります。これは司法試験の合格率よりも低く、剣道八段は日本最難関の試験と呼ばれることもあるそうです…!
わたしが尊敬していた五、六十代くらいの教室の先生は、厳しくありながらも温厚で心構えも素晴らしく、とても美しい剣道をするのですがこの八段の壁に阻まれていました。
地方への遠征費と受審費がかかりますので、奥さんに止められやむを得ず諦めたそう…。
剣道八段は、経験者にとっては神様のような存在です。
剣道の段位を取るためにはどれくらいの費用がかかるのか
武道の昇段審査を受けたことがない人は驚くかも知れませんが、昇段審査にはお金がかかります。受審費と合格した時の登録費ですね。
わたしは高校の時から昇段審査の催促を断ってきました。日程が試験期間や模試と被るというのもあったのですが、やはり一番の理由は金銭面の問題。
この時の費用は地方によって変わりますが、大体初段の受審料は3000円、五段では8000円ほど。さらに上の段にいくと2万円ほどかかる場合もあります。
審査に合格すると登録料も必要で、初段で5000円、五段では1万円ほど。さらに上の段では2万円~5万円ほどかかります。
高いと感じる人も多いと思いますが、わたしのようにのんびりとではなく、真面目に剣道を続けている人であれば、多少お金がかかってもより上の段を取りたいのではないでしょうか。
他の武道や囲碁などと比べると比較的良心的な金額です。また、大会や審査の運営、普及活動による費用や人件費は必要ですので、剣道の受審費や登録費は妥当な金額だと思いますよ。
まとめ
- 初段~三段は高校生でも取得でき、基本が大切
- 四段~六段は基本はもちろん応用の習得が必要
- 五段~八段を取るには長期間が必要で品位を備えるべき
- 剣道は昇段のたびに受審費と登録料が必要
段位別に試験の内容や注意点をお話してきました。
この記事を読んだあと、剣道の段位についての印象は変わりましたでしょうか?意外とすぐ取れそうな段位もあれば、これはなかなか大変だな、と覚悟を決める必要のある高段位もありますね。
いずれにせよ、長く一生懸命に稽古することが、段位への道だと感じます。わたしは数年間でしたが、剣道でなければ身に付かなかったことをたくさん学びました。
剣道は精神に重きをおいた武道ですから、昇段するたびに人間性も伴っていく必要があります。
そして段位を目標に、長く剣道を続けていただけたら幸いです。
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