かわいい方言ランキングの中でも上位に位置する熊本弁ですが、単語についてはわからないものも多いと思います。
今回はそんな熊本弁の中で「ありがとう」を始めとした単語を見ていきます。
一部で使われる熊本弁の「ありがとう」
熊本弁で「ありがとう」を表現する言葉に「だんだん」という言葉があります。
「だんだん」は、「ありがとう」と「さようなら」の意味を表す単語です。
ただし、熊本県全体で使われるわけではなく、球磨地方に限られて使われるもので、なおかつ熊本弁の中でも古い表現になります。
実際に「だんだん」を使う場合は、「だんだん」のみで使われる事はなく、何らかの文章の中に入って使われます。
例を挙げると、
「色々してくれてありがとう」は「色々だんだんなー」
という風に語尾を伴って使われることが多いものになります。
この「だんだん」に関しては、島根県、鳥取県、愛媛県でも同じ意味で使われているものになります。
その他の熊本弁の表現
熊本弁の方言は九州地方の方言と共通している部分が多いものになっています。
ここでは熊本弁で使われる表現の一部を紹介していきます。
~たい
標準語的には「です、だよ」などの通常の語尾に使われるものになります。
例文:「それはいよかんです」→「それはいよかんたい」
~ばい
「たい」と同じく語尾に付くもので、「~しよう、~だぞ」などの勧誘や断定の強調としての意味があります。
例文:「それじゃあ行こう」→「それじゃあ行くばい」
~けん
これも語尾に付くもので、「~から、~よ」などの自分の行動を相手に伝える意味があります。
例文:「わたしがんばるから」→「わたしがんばるけん」
~よる
語尾に付いて「~している」などの現在していることを表す単語です。
例文:「なにをしてるの?」→「なんばしよっと?」
~にゃー
猫の鳴き真似ではなく「~じゃない」などの否定の意味として使われます。
例文:「中に誰もいないよ」→「中に誰もいにゃーよ」
~と
語尾に付いて「~なの、~の」などの何かを尋ねる時に使われる方言です。
例文:「いつ会えるの?」→「いつ会えると?」
いっちょん
「少しも、全然」などの物事について一つもない状態の表す時に使う単語です。
例文:「このカレーは全然辛くないから食べよう」
→「このカレーはいっちょん辛くないけん食べるばい」
がまだす
「働く、精を出す」の意味がある単語です。
例文:「お隣さんは田植えに精が出るなぁ」→「お隣さんは合う絵にがまだしてるなぁ」
さいより
「とりあえず」を意味する単語です。
例文:「とりあえずビールで」→「さいよりビールね」
せからしか
「うるさい」を意味する単語です。
例文:「うるさいことを言わないで」→「せからしかこつば言わんといて」
たいぎゃ・たいが・たご
「とても、かなり」などの物事を強調する時に使う単語です。
例文:「このカレーはとても辛いです」→「このカレーはたいぎゃ辛いたい」
ねんかかる
「寄り掛かる、もたれる」を意味する単語です。
例文:「寄り掛かっていい?」→「ねんかかってよか?」
ばってん
「しかし、だから」などの接続詞として使われる単語です。
例文:「明日はお祭りらしい。しかし、私は仕事だ」
→「明日はお祭りらしい。ばってん、私は仕事たい」
ほんなこつ
「本当のこと」などの意味を持つ単語です。
例文:「その話は本当なの?」→「その話はほんなこつね?」
むしゃんよか
「かっこいい、様子がいい」などの意味を持つ単語です。漢字で表記すると「武者ん良か」と書くことができ、格好をつけている人を「武者者(むしゃもん)」と呼ぶことがあります。
例文:「あの店員さん、とてもかっこよかった……」
→「あの店員さん、たいがむしゃんよかった……」
まとめ
今回は熊本弁についてまとめていきました。
方言で地域をアピールすることはよくありますが、実際に全て使われているかどうかでいうと、「ありがとう」の意味ではない方のだんだんと廃れ始めているものもあります。
完全になくならないようにするためにもいろんな方言を知って伝えていくことが大切なのかもしれません。