雑学

電車の座席幅が狭い・・・と不満をもつよりも現状を知りましょう

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通勤や通学、お出掛けに電車を利用する方は、電車の座席に座ってゆっくりすることができますか?

もちろん、車内の込み具合は別の話として、座席に座れたときくらい体を休めたいのに、座ってもなんだか窮屈…。

電車内で座れば身動き取れない感じはありますね。

それでもノートパソコンを開いてしまうサラリーマンや、買ったばかりのクリスピークリームドーナツの箱を開けちゃうおばさまもいるようですが…。

電車の座席の幅ってもう少し何とかならないものなんでしょうか。

どういう基準で作られているの?

今回はそんな不満や疑問について考えてみましょう。

座席のサイズの規定は?

電車の座席幅はなぜ狭いのか?という疑問について考える前に、電車の座席の規格サイズについて調べてみました。

規格ですから何かしらのデータをもとに一人分の座席幅が計算されているはずですよね。

JIS規格

JIS(日本工業規格)では、電車のロングシートの一人当たりの座席幅は43㎝としてあります。

なぜ43㎝に設定されたのかというと、比較的楽な座姿勢がとれてほどよいゆとりのある寸法とされているから。

1979年に日本鉄道車輛工業会が作成した「人間工学データシート」を参考にしたもので、「主として通勤型車両に使用される縦型腰掛の一人当たり座席幅は43㎝が適当である」と記載されているんです。

現状の座席の幅はどれくらい?

座席の幅の規格がわかりました。

それでは現在使用されている電車の座席幅はどのくらいなのでしょうか。

JR山手線を走るE231系の一人当たりのシート幅は45㎝ですが、それより新しいE235系は46㎝と、1㎝ですが広くなりました。

東京メトロで走っている1300系の一人当たりシート幅は03系より3㎝のばして46㎝に。

つまり乗車する電車の規格によって違いがあるのですね。

近年、各社が座席幅の拡張に取り組んでいますので、新しく開発された車両のほうが若干幅が広い傾向があるようです。

1㎝の違いは見た目ではわからないかも知れませんが、実際座ってみると窮屈具合が多少軽減されているのではないでしょうか。

関西の電車の座席幅は少し広い?

関西在住の人が出張や転勤で東京の電車で座席に座ると、なんだか狭い!と感じるのだそう。

東京の電車が関西と比較して混んでいるからだと思う人も多いようですが、実は実際に関西の電車の座席は東京の座席の幅と違うんです。

東京で主に走っている車両の座席幅が45㎝や46㎝なのに対して、阪神電車の座席幅は47㎝もしくは48.5㎝。

これはなぜかというと、車両規格自体の違いが影響しています。

関東では一部私鉄や地下鉄を除いた一般車両は片側4扉なのに対して関西では南海・近鉄を除くと私鉄では片側3扉。

扉の数が少ないのは車両の長さも東京より1mほど短いからです。

車両が短くて済むのはやはり東京と比較して混雑率が低いから。

人口数というよりも、各路線が並行して走っていることなど、工夫によるところが大きいかも知れません。

東京の座席も関西並みに幅を広げればいいじゃないか!と思うかも知れませんが、それができないという現状があるのでしょうね。

座席に必要な幅はいったいどのくらい?

規格はわかりましたが、この規格では正直窮屈に感じる人がいることは事実です。

実際、座席に必要な幅は本来どのくらいなのでしょう?

お尻の大きさに合わせたら?

まずは「座る」ということを考えればお尻の大きさに見合った幅がなければ座れませんよね。

通商産業省生命工学工業技術研究所のよる「設計のための人体寸法データ集」によれば、人間の臀部(お尻)の長さの男女平均は34.8㎝。

男女平均では規格は作れませんので女性より幅が長い男性でデータをとっても、95%の男性の臀部の長さは37.3㎝以内の範囲なのだそう。

ですから、ほとんどの人は43㎝の規格でお尻はおさまるということになりますね。

必要な幅はお尻の幅ではない

お尻がおさまるには十分な規格といえる43㎝ですが、実際並んで座ってみると特別大きな体の人同士でなくても窮屈に感じますよね。

隣の人との距離があまりに近く、お尻はぶつからなくても腕や肩が触れる感覚が「狭い」と思わせます。

つまり窮屈さを感じずに座れる座席の幅は、お尻の長さではなく人間の身体で一番幅が長い「肩」の長さで規格が作られるべきだということ。

それでは人間の肩幅の平均値はどのくらいなのでしょうか。

ここでまた「設計のための人体寸法データ集」を使えば、人間の肩幅の男女平均は43.2㎝。

規格の43㎝ではすでにぎりぎりですね。しかもこれは男女平均値。

男性の平均値はといえば45.6㎝で、しかも肩幅が43㎝以内の人は男性全体の10%にとどまるのだそう。

このデータを見れば現在電車の座席幅は45㎝または46㎝ですから、成人男性にとって非常に窮屈なものだということがわかります。

では座席の規格がどのくらいあればいいのかというと、お尻同様に95%の男性の肩幅がおさまる49.5㎝という数値が導き出されます。

しかも男性の場合スーツを着ているサラリーマンの方も多く、43㎝という規格や現在の座席幅ではとても足りないということがわかります。

なぜ狭いと感じるのか?

現在、電車の座席幅は男性にとって非常に狭く感じるサイズで作られているということが分かりました。

さらに、電車の座席が窮屈に感じられる理由が他にもあります。

パーソナルスペースについて

人間には、他の動物同様「なわばり」という意識があるのだそう。

それが「パーソナルスペース」と呼ばれるもので、相手によってストレスを感じる距離が変わります。

親しい相手ほどパーソナルスペースが短く、見知らぬ相手だとパーソナルスペースの距離が長いのは何となくわかりますね。

さて、電車の座席において隣の人との距離はというと…肩が触れるか触れないかというとても密接した状態ですよね。

パーソナルスペースの分類のなかで15㎝~45㎝の距離とは「密接距離」に当たり、恋人や家族以外でこれ以上近付くとストレスを感じる距離なのです。

15㎝未満になると肉体関係のある異性や、良い関係の家族以外には入ることができない領域だとか。

なるほど、だから肩が触れないように前のめりに座ったりするほど、見知らぬ人と接触するのはいやなものなんですね。

電車の中で隣の人との距離が近い時はリラックスできませんからスマートフォンを見たり本を読んだりして他のことに集中する傾向がありませんか?

これは、自分のパーソナルスペースに見知らぬ人が入り込んでいるというストレスを紛らわすためだと言われています。

ロングシートの両端が板型に

最近の電車ではロングシートの両端の仕切りがパイプではなくボードに変わりつつあります。

ドア横に立っている人のお尻がシートに座っている人に触れてトラブルの種になるのを防ぐことができますし、大きなボートであればドア横に立っている人の背もたれにもなり便利なので導入されましたが、逆に端に座ってパイプに肘を逃すことができなくなってしまいました。

ボードで仕切られたことによって少しずつスペースが今までより狭くなっているのです。

かつての国鉄車両では、ロングシートの両端に座っている人がパイプの外に肩を逃がすことで全体の窮屈さが解消されていたといいます。

肩を外側に逃がすことで、両端の人がシートの端に最大限体を寄せることができ、隣の人の快適性があがるという効果がありました。

狭さを解消するための工夫

大勢の人を乗せて走る役目の電車で、できるだけ多くの乗客に座ってもらうことはクレーム防止につながります。

しかし座席を増やせば一人当たりの座席幅を削ることになります。

そこで各社は座席幅を広げずに快適さを追求する知恵を絞っています。

JR西日本323系の工夫

関西の電車の座席は東京の電車よりもゆとりを持って作られているとお話ししましたが、狭いという感覚を解消するシートも開発しているんです。

大阪環状線を走る323系には2つの工夫が施されています。

まず座席の幅を47㎝にのばしたこと。49.5㎝には届きませんが、努力してくれていますね。

もう一点はロングシートの両端のボードを斜めに取り付けることで両端に座る人が肘を置いて肩を逃すことができるようになっていることです。

これによって国鉄時代のように全体の窮屈さの解消につながるんですね。

快適性を高める工夫

あまり快適とは言い難いロングシートについて、各メーカーが様々な工夫を凝らしてくれています。

新しい車両に乗ると少しずつシートが変遷を遂げているのがわかりますよね。

中でも三菱重工業の「G-Fit」というシートは座席の幅を広げること以外で快適性を高めるための工夫がされているんです。

まず見た目がスポーツカーのシートを並べたような感じでいかにも快適そうです。

ゆりかもめ7300系や埼玉新都心交通2020系がこのシートを設置していますので体験した方も多いのではないでしょうか。

座席の背もたれが高く左右のサイドを盛り上げた作りでホールド感が高いため、電車が加速や減速をする際に体が振られて隣の人に接触することを回避してくれます。

また、着座姿勢での足引き効果があるため、問題となっている通路への足の投げ出しが抑制されます。

さらに、日立製作所が開発した電車シートは、従来の低く深く腰掛ける姿勢ではなく座面を高くすることで浅く腰掛けるような形状になっています。

これによって立ったり座ったりの動作が楽になり、さらに足の投げ出しも無くなるのだそう。

足の投げ出しは車内の窮屈さを増長させますし、実際に足を投げ出す人が減れば空間ができて乗客が多く乗れるというメリットがありますね。

まとめ

  1. 電車の座席幅は東京では45㎝~46㎝、関西では47㎝~48㎝で、電車の規格によって違いがあります
  2. 電車の座席に必要な幅は肩幅の長さに合わせるべきなので、現状では成人男性にとって窮屈です
  3. 電車の座席幅が肩幅より狭いこと以外にも、狭く感じる理由があります
  4. 座席数を減らさずに快適に座れるよう、各社様々な工夫をしています

電車の座席の幅は現状では男性にとって狭いということがわかりましたが、快適な幅に設定すればおのずと座席に座れる人数が減ってしまうのはわかりますよね。

かつては自分の横に荷物を置いてパーソナルスペースを確保しようとする人や、狭い隙間に無理やり座ろうとする人がいました。

そのため、シートに色分けをして心理効果で一人分の幅を認識させたり、バケットシートのようにくぼみをつけるという工夫がされましたよね。

それでもそれを無視する人がいるので、もはやロングシートに手すりのような形状の仕切りを設けたものも登場しました。

座席に座る人数を減らさずに何とか快適に座れるよう、色々な工夫がされていることにもっと関心を持てば、工夫を無駄にするようなマナー違反は減るのかも知れません。

電車の座席の狭さに「何とかならないの」と不満を感じるかも知れませんが、現状最大限の努力をしてくれていることを乗客の私たちも理解して、これ以上窮屈な空気にならないように協力して快適に移動できるようにしましょう。

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