皆さん、読書レポートを書くのは得意ですか?
私は一応読書は好きなのですが、本についてレポートを書け、と言われてもなかなか筆が進みません。
レポートは小中学校でやってきた読書感想文とは違います。
「○○という本を読みました。こういうところに感動しました。」
というような内容では教授に「で?」というリアクションをされてしまいます。
読書レポートは、テーマに対して自分の解釈などをいかに読み手に伝わりやすく書くかが大切です。
難しそうですが、ポイントを押さえて書けば大丈夫ですよ。
今回は、いい読書レポートを書くための秘訣をご紹介します!
レポートを書く本を選びましょう
まずは、課題図書の中から読書レポートが書きやすい本を選びましょう。
せっかく課題図書を一冊読んでも、その本についてレポートが上手く書けなければもう一度別の本を読み直すことになってしまいます。
内容をよくかみ砕いて読むのは大変な作業ですので、本選びもしっかりと行いましょう。
ここでは、読書レポートが書きやすいタイプと、その作品の一例を挙げていきます。
書きやすそうだなと思ったタイプ、面白そうだなと思った作品があればぜひ選んでみてください。
テーマが明確な本
読書レポートを書く際に「問題提起をする」という段階があるのですが、
テーマが明確な作品はこの問題提起をしやすいのでおすすめです。
主な作品としては
○森鷗外の「高瀬舟」(安楽死について)
○小林多喜二の「蟹工船」(資本主義について)
○ダニエル・キイスの「アルジャーノンに花束を」(知能指数と幸福度は比例するのか)など。
これらのテーマは私が作品を読んでみて感じたテーマですが、ほとんどの人が同じようなところに問題点を見つけるのではないでしょうか。
それだけ、わかりやすく問題提起されているという事なんです。
これらの作品のように何かのテーマについて読書レポートを書く場合、
あるテーマに対して様々な考えの人がいますので、論文や様々な人の意見を参考にしながら意見に説得性を持たせるのが良いですよ。
謎が残る本
謎が含まれている作品も問題提起、考察をしやすいのでおすすめです。
例えば谷崎潤一郎の「春琴抄」。
春琴に大怪我を負わせた犯人は誰なのでしょうか。
②佐助をいつまでも自分のそばに置いておきたいと思った春琴の自作自演?
③春琴に恨みを持つ利太郎や弟子、或いは春琴の美貌と琴の腕に嫉妬する誰か?
④黒幕春琴と実行犯佐助の黙契?
このように、「春琴抄」では犯人について様々な考察ができます。
(「単なる事故説」もありますが、この物語に限らず話が広がらない考察は避けた方が良いです。)
独自の考察ができますし、それの裏付けとなる根拠を物語中で探しやすいのでおすすめです。
また、「謎の言葉」だけが残される物語も多く、こちらは犯人特定より少々難易度が上がりますが、
その言葉の意味を自分なりの視点で分析してみるのも面白いです。
言葉の解釈について読書レポートを書くなら夏目漱石の「三四郎」などがおすすめです。
「三四郎」ではヒロインが言う、「迷える子(ストレイシープ)ー解って?」この言葉がキーとなります。
自分でキーワードについて解釈し、レポートを書けたら素晴らしいですよ!
ちなみに、武者小路実篤の「友情」や三島由紀夫の「潮騒」などは単純に読みやすくて良いのですが、いつの間にか書いているうちに「読書感想文」になってしまいやすいです。
読書レポートは主に、本を読んだ感想ではなく自分自身の分析や解釈がメインなので気を付けましょう。
読みやすい読書レポートを目指しましょう
せっかく読書レポートを作成するのですから、読み手にとってよみやすいものにしたいですよね。
ここでは、読書レポートを書く前に確認しておきたい注意事項をご紹介します。
提出を求める側から指示があれば確認しておきましょう
文字数や「ですます調で書け」、「である調で書け」などですね。
書き方が厳しく指定されている場合は、テンプレートや過去のものがあればその形を参考にしながら注意して書く必要があります。
その本について正しい理解を得ておきましょう
課題図書に決まったテーマがあり、そのテーマについて書かなければならない場合、
テーマについて正しく理解していなければなりませんし、
その本の著者は本を通して何を伝えたいのかを理解していなければなりません。
これらには著者の立場やなぜこの本を書くに至ったのか、その時の時代背景なども含まれます。
もしもこれから書く読書レポートの基本となる考えを間違って理解していた場合、レポートが全て台無しになってしまいます。
自分の偏った考えだけで書き進めないよう注意しましょう。
オリジナルを意識しましょう
レポートの内容がいくら詳しいものであっても、当り前の事実だけを述べられては読み手は何も感じられません。
表面的な事実だけを書き連ねるのではなく、書き手の解釈や分析、独自の視点から読み解かれて初めて読書レポートとなります。
自分の視点で本を読み解くには、他の意見や解釈の仕方、または一般的な考えなどの幅広い知識が必要です。反論なども想定しながら、細かく書いていきましょう。
教授は沢山の学生のレポートを読んでいますから、他の学生と同じような堅苦しい内容のレポートだと飽きてきます。
課題図書が多いならまだしも、少ない数から選ぶ場合他の学生と被りがちな考察などは評価が低くなりがちです。
独自の解釈や分析の仕方で、「そんな考えもあったのか」と教授をうならせることができたら素晴らしいですよ!
読書レポートの書き方例
①書き出しを書いてみましょう
では早速読書レポートに取り掛かりましょう。
まずは本の表題名をはっきりと記載し、小説の場合、物語のあらすじを記載していきます。
自分の意見を交えずに簡潔にまとめましょう。
これには、
②あらすじを記載してさらにその物語の重要なポイントを強調して書く
と2つの方法があります。
②の場合、読者を惹きつけるポイントはどこなのか、正しく選んで書かなければなりません。
もしもレポートの読者がそのポイントに魅力を感じなければ、その読書レポートは序盤から失敗してしまいます。
また、ここではあらすじが長くなりすぎないように注意しましょう。
1、2行くらいがベストです。
「レポート」とはそのままの意味だと「報告書」の事ですが、読書レポートは単なる報告書になってはいけません。
本に書いてあることを書き写すだけになってしまいます。
あらすじの次の段階からが大切。本を読んだ人の考えた結果が表れていることが必要なんですね。
みんなが文字数稼ぎのために長々とあらすじを書いていては他の学生と被ってしまいます。
教授の方も、課題図書については何度も目にしているでしょうから「こんなことは分かっているんだ」と飛ばしてしまうでしょう。
②問題提起をしましょう
自分なりの課題を設定し、課題のテーマを説明し、問題提起を行います。
- 「羅生門」の「生きるためには悪事を働いてもいいのか」
- 「春琴抄」の「春琴に大怪我を負わせた犯人は誰か」
- 「三四郎」の「『ストレイシープ』とはどんな意味を持っているのか」
などですね。
「羅生門」のように、登場人物が下人と老婆くらいの少なさならわかりやすいのですが、さらに長編になると登場人物も多くなりますし、それぞれの思考や行動によって様々な展開が繰り広げられます。
物語の中で一貫して同じ環境でないこともしばしばです。
このような本についてレポートを書く際におすすめするのが、一章や一部分について深く掘り下げて考察することです。
もちろん全体の内容について記述しても良いのですが、長編などの場合は全てについて考察を書こうとするとそれぞれの内容が希薄になり、上っ面をなぞったようなレポートになってしまいます。
そのようなレポートも他の学生と被りやすく、教員の目に留まりませんのでぜひ一部を深く掘り下げて考察するのをおすすめします。
また、一部分を掘り下げて書く場合はそこを掘り下げようと思った理由も記述するようにしましょう。
③自分の意見を提示し、展開してみましょう
先ほど挙げた問題について「賛成か否か」を記述します。
冒頭にお話しした「犯人特定」や「言葉の心理の追求」に関して書いている場合、自分の考えをここで記述しましょう。
自論展開の際の注意点①当たり前なことを書かない
自分の意見について述べる場合に気を付けたいのが、当り前のことだけを書いてしまうことです。
- 「人は正しい事をしなければいけない」
- 「優しさが大切」
など誰もが書けそうな当たり前の事だけで終わってしまうと読み手は「はぁ…。」としか思えません。
自論展開の際の注意点②感情論で書かない
また、自分の感情ばかりを書くのも良くありません。
- 「感動して涙が出た。」
- 「素晴らしいと思う。」
など感情が多く入るとまるで「読書感想文」のようになってしまいまいます。
解釈の中に多少の感情が入るのは良いですが、感情がレポートの中心になってしまわないように注意しましょう。
自論展開の際の注意点④その根拠をまとめよう
次に、自分の意見の根拠を述べます。
- 物語中の文章
- 論文の引用
- 他者の意見、一般的に言われている意見
- その時の時代背景、歴史の流れ
- 著者の生い立ち、経験、他の著書との比較
- 自分自身が経験した出来事
など、意見の根拠となる材料は沢山あります。
特に、自分自身の経験を織り交ぜることは非常にオススメ。
本の評論やレビューなどの丸写しは読んでいる側はすぐにわかりますし気分が悪いですから、自分の経験を入れることは大切です。
自分の意見が平凡だな、と感じる方は意見の展開部分でオリジナリティを出しましょう。
また、「私はこうだと思う」「こうあるべきだ」と一方的に自分の主張ばかりを押し付けると読み手は不快な気持ちになりますので気を付けましょう。
反論を考慮して、なぜその意見が正しいのかを裏付ける理由を記述しなければなりません。
例え面白い分析をしても根拠のないものであっては単なる偏見になってしまいます。
説得力のある根拠(事実)があってこそ仮説の面白さが増し、読み手を引きつけるのです。
この3項目めが読書レポートの中心となります。
全体の7、8割くらいを自分の意見とその展開に使いましょう。
④最後に自分なりの結論を書きましょう
レポートを書き進めていくうちに、何を伝えようとしているのか分からないような、ぼんやりとしたレポートになることがあります。
ですからもう一度全体を要約・整理し、最後の結論をはっきりとさせましょう。
細かい説明はせずに、結論として、自分の意見をまとめることが大切です。
また、その本が自分に与えた影響などを書くのも良いでしょう。
結論を書き終えたら最後に書き終えた読書レポートを何度か読み返し、残念なレポートになっていないかチェックしましょう。
テーマからそれていないか確認しましょう
まずはこれです。私もこうして記事を書いていますが、書いているうちにだんだん最初のテーマからそれてしまうことが多々あります。
最初のテーマからそれていないか、全体をざっと読み返してみましょう。
バランスは良いか確認しましょう
レポートをざっと読み返す作業をする時に、これも意識してほしいと思います。
あらすじばかりになっていないか、文章量が偏りすぎていないか。
先ほども説明したとおり、項目3の「自分の意見を提示し、自分の解釈を根拠を交えながら記述する」のが読書レポートの最も大切なところであり、この部分が少ない場合読書レポートとしての内容は薄くなってしまいます。
自分のレポートはしっかりとした中身があるか確認しましょう。
まとめ
- 読書レポートを書きやすい本を選びましょう
- 読書レポートを書く前に注意点を確認しておきましょう
- 読書レポート書き方例①書き出しは簡潔にまとめましょう
- 読書レポート書き方例②自分なりの視点で問題提起しましょう
- 読書レポート書き方例③自分の意見に説得力を持たせましょう
- 読書レポート書き方例④結論は簡潔にはっきりと出しましょう
読書レポートの書き方についてお話してきました。
できるだけ具体的にご紹介したので、それに沿って書いていただければと思います。
読書レポートを書くにはじっくりと内容を読まなくてはいけないので、普通に本を読んだ時には無かった発見があるかもしれません。
課題は面倒ですが、本の面白さに触れるいい機会になればと思います。
それではレポート作成、頑張ってください!
素敵な読書レポートができますように。
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