冠婚葬祭や贈り物に使う水引をご存知でしょうか?
ご祝儀袋などに巻いてあるあの紐の飾りです。どれを買うか飾りのデザインで選んだりするほど大事なポイントになりますよね。
しかし!
封筒にお札を包んだあと、外した水引を戻そうとしたところ…。
元はどの向きだったのかわからなくなった!
と、困った経験をお持ちの方はたくさんいるようです。
そんな、存在感があるのに意外に知らない水引について、正しいマナーも併せてご説明します。
水引の種類
ご祝儀や不祝儀などで目にする水引。
水引には様々な種類があり、場面に応じて使い分ける必要があります。
間違った向きの水引でお渡しすると失礼ですし恥ずかしい思いをしたりするので、まずは水引にはどんな種類と意味があるのかを知っておきましょう!
蝶結び(花結び、リボン結び)
何度でも結びなおすことができるので、何度あっても良い慶事につかいます。
出産や進学など、婚礼関係以外のお祝いや、寸志や御礼などでもフラットに使えるので便利です。
結び切り(真結び、こま結び、本結び)
中央で固く結ばれ、一度結ぶと解くことが困難です。
「繰り返さないように」という意味があり、一度で終わるように、二度とないようにという思いを込めた贈り物に使う水引です。
結婚祝いは二度と結婚式がないように(離婚、再婚がありませんように)という意味で結び切りを使います。間違っても蝶結びの水引を使わないよう、気を付けてくださいね!
快気祝いも、二度と怪我や病気をしませんようにという願いを込めて結び切りです。
また、お悔やみにも使いますので香典袋の水引は結び切りが多いですね。
気を付けるポイントは、慶事は上向きに、弔事の際は下向きに結ぶという点です。
あわじ結び(あわび結び)
結び切りと同様に、一度結ぶと解くことが困難です。
両端を持って引っ張るとさらに固く結ばれることから、「末永くお付き合いしたい」という意味がありますので、結婚祝いでも親族からのものはあわじ結びが使われることが多いですね。
形としては結び切りの一種で、同様に「二度と繰り返してほしくない事」に使用します。
紐の色と結び方の組み合わせ
赤白、蝶結び…結婚祝い以外の慶事全般に使用します。
赤白、結び切り…快気祝いなど一度きりにしたい慶事に使用されます。ちなみにお見舞いには熨斗はつけません。ほとんどの水引は5本一組で組まれていますが、紐が10本以上のものは夫婦水引といって婚礼用です。
- 金銀、蝶結び…神事での祈祷やお祓い等を受け取る際に使用されます。
- 金銀、結び切り…婚礼、または人生で一度だけの慶事(長寿祝いなど)に使用されます。
- 黒白、結び切り…弔事、仏事全般で使用されます。熨斗はつけません。
- 黄白、結び切り…関西、北陸では弔事、仏事全般で使用されます。熨斗はつけません。
デザイン水引で悩んだら
ご祝儀袋や不祝儀袋についている水引や贈り物に結ぶ水引には、贈る相手への気持ちを表す意味が込められているのですね。
さて、本題にはいりますと、外してしまった水引を戻せなくなるのはデザイン水引の場合ですよね。
先ほどまでご紹介してきた水引の一般的な使い方はネットを開くとある程度調べられますし、目上の人にちょっと聞けば教えてくれるものです。
しかし、目上の人も「??」と頭をひねってしまうようなデザイン水引が存在します。
基本を押さえていれば判断できます
水引は結び方・色・向きにさえ気を付ければ失礼はありません。
市販のご祝儀袋や不祝儀袋についていた水引の場合、まず結び方と色は目的に合ったものを選んで買ってきているわけですから問題ありませんよね。
問題は「向き」ということになります。
「戻せなくなった!」という困りごとのほとんどが、この水引の向きに関することです。
しかし、どんなに凝ったデザインの水引でも意味がきちんとあるはずです。
目を凝らしてどの部分が蝶結びになっているのか、どの部分が結び切りの端なのか、よーく観察しましょう。そうすると、「こうだ!」と答えがみえてきます。もし、購入時と違っていたとしても、前述した決まり事がきちんと守られていれば問題ありません。
中にはおかしな向きで販売されているなと感じるものも存在しますので、正しく直してやったくらいの気持ちでいきましょう。
鶴亀デザイン
購入者を戸惑わせるデザイン水引ナンバーワンはご祝儀袋の鶴亀の豪華なデザインのようです。
さて、鶴と亀は元はどの場所に舞い踊っていたのか…。大変複雑な凝ったものがありますので悩みますよね。
基本的にお祝い事の飾りなので鶴亀が上に向かってゆくように水引をかけてください。長い尻尾を結び切りと解釈しないよう、鶴亀のお顔を上に向けてくださいね。
ハートデザイン
結婚のご祝儀袋は華やかなものを使いたいですよね。式場で山のように積まれているご祝儀袋はどれも個性的で本当に幸せにあふれています。
中でも結婚祝いならではのハートがデザインされた水引は多くみかけます。
大きく一つハートが形作られているものはわかりやすいのですが、いくつもハート型が存在している強者もあるんですね。その場合はメインのハートを一つ決めて、それを基準に向きを決定してください。
富士山
おめでたいデザインで富士山というものもあります。
富士山の向きは上向きで間違いようがありませんね。ただ、逆さ富士は縁起が良いものとされているのをご存知でしょうか?
とはいえ水引で富士山を逆さにするのはお祝い事の水引としては良いものではありませんので念のため。
動物その他
何をデザインした水引なのか深く考えずに購入して、水引を外してしまってからいざ「これは何をデザインしたものだろう!?」と首をひねる場合もありますね。
そんな時は上にしてみたり下にしてみたり、家族に「これはなに?」と意見を求めるなり、色々試行錯誤して答えを導いてみてください。
実際、よーく見たら動物だった!とか袋のデザインから推察するに馬車だった!なんてトリッキーなテーマの水引がたくさんあるので面白いですね。
伝統を守りながら進化する水引
昔ながらの伝統は守りつつ、最近は大変お洒落な水引がたくさん販売されていますね。
コンビニでも手軽に買えるほどデザイン水引は浸透してきました。
ここでは最近のお洒落な水引の使い方についてお話していきたいと思います。
失礼がなければ水引の向きはあまり気にしなくても…という私のフランクな意見は、これらの水引の自由な使い方を知れば納得いただけるのではと思います。
水引の用途はリボンと同じ
水引は贈り物にも使われますよね。オシャレなデザインの水引がかけられた贈り物はとても素敵ですし、いただいた側は相手の思いやりを感じる事でしょう。
それは、プレゼントにかけるリボンと同じ用途だと思いませんか?
ただ、水引に関しては失礼のないものを選べば良いというだけです。
ご祝儀袋や不祝儀袋で使う場合も同様で、あまりこだわることなく、自分が「素敵だな」「喜んでもらいたいな」という気持ちで水引をかければそれで良いのではないでしょうか。
華道で水引を使うときも
フラワーアレンジメントや日本伝統の華道でも水引が自由に使われている場面をよく目にします。
ぐるりと花器の周りを囲ったり、結んだものを飾りにしたり、水引を枝に見立てて活けてみたり。
ただし、そこはやはり水引ですからお祝いに贈る花に銀色黒色の水引は使用しないなどの気遣いはしっかりされているのが日本人らしいです。
水引はもっと自由に表現するためのアイテムとして、伝統を大切にしながら進化しているんですね。
お洒落雑貨として
水引デザイナーさんの発信する新しい水引はどれも驚くような発想のものばかりです。
イヤリングなどのアクセサリーにしてみたり、ストラップにしてみたり、素敵な和の小物としてデザインされているものがあります。
箸置きや、ワイングラスを飾る水引、中には芸術作品として掛け軸にしてインテリアの用途に進化しているものも。
贈り物として最適なので、ぜひお祝い事の贈り物を選ぶときにチェックしてみてください。
水引ならではの凛とした美しさと和の可愛らしさを持っていて、何よりお祝いの気持ちを伝えるのにベストだと思います。
まとめ
- 水引の種類や意味を知りましょう
- 戻せなくなった水引は失礼のないようにかけなおせば大丈夫
- お洒落に進化する水引雑貨はプレゼントに最適
水引には日本人ならではの贈る相手への思いやりが込められています。
気持ちを大切に…と考えれば、水引がどの向きだったかをあまり細かく考えずに、失礼のないようにかけなおすことができるのではないでしょうか?
どうしてもわからなかったり・気になるときには、購入した袋の品番をみてネットで調べてみると画像が載っていることもありますよ。
品番もわからないときはやはり、周囲の年配者や知識人に相談してみると失礼のないようにかけなおしてくれると思います。
素敵な水引をみて、贈られた方が笑顔になってくれるといいですね!