受験の合格祈願や選挙での勝利祈願などで活躍する「だるま」は最近マスコットとしてもみかけます。
先日雑貨屋さんでみかけたミッフィーのだるま、可愛かったです…。
ところで、マスコットのだるまには当然最初から目がついていますが、本格的な願掛け用のだるまには目が入っていませんよね。
願を掛けるときに片目を入れて、願いが叶ったらもう片方にも目を入れるのが一般的なようですが、だるまの真っ白な目に自分で目を入れるときは、ちょっと緊張しますね。
もし、間違えて目入れしてしまったらどうするべきなのでしょうか?
願掛けなので、できれば正しい方法を知りたいところですよね。
だるまについて
だるまはかわいらしい見た目のものもありますが、やはり縁起物なので間違った扱いをするのは少し心配ですよね。
そこで、実はあまり知られていない「だるま」について詳しく調べてみました。
だるまって何?
そもそもだるまとは不思議なアイテムですよね。
なぜ手足がないのか?だるまという名前はどこから来たのか?
実は「だるま」とは南インドの王子様として生まれ中国で仏教を布教した僧侶、「達磨大師」を模したものだと言われます。
達磨大師は壁に向かって座禅を九年行ったため手足が腐り無くなってしまったという伝説があり、手足のない形で置物が作られるようになったのだとか。
達磨大師のような強い意志で「大願成就に向かって努力できますように」と願を掛けるというわけですね。
なぜ赤いの?
最近はだるまにも様々な色のものがあるようですね。
小池都知事が国政新党の「希望の党」を立ち上げた際は、選挙でイメージカラーの緑色のだるまが登場しました。
しかし昔からだるまは赤く塗られていて、現在もほとんどのだるまは赤いですよね。
これにはちゃんと意味があって、古代から火や血の色である赤には特別な力が宿り、病気や災いを防ぐ魔よけの効果があると信じられてきたことに由来するようです。
ですから、勝負ごとに関する縁起物であるだるまは赤いのですね。
目入れの意味
だるまの目入れは、単に目玉を描き入れるのではなく、心の目が開眼した、ですとか入魂を表現したものだとされています。
「画竜点睛」や「点睛開眼」という言葉にあるように、目を入れることで魂が入ると考えられていることに由来します。
少し前に、だるまの目入れについて差別だという議論が起こったのをご存知でしょうか。
だるまに目を入れて祈願の成就を祝う風習は「両目があって完全」という偏見意識を育てることに繋がる、と視覚障碍者団体から指摘されたのです。
クレームを気にする選挙事務所からはだるまが姿を消したとか。
しかしだるまに目を入れるという習慣には決して差別的な意味はありません。
願い事をしながら片目を描き入れることを「開眼」、願い事が叶ってもう片方にも目を描き入れることを「満願」と言います。
真っ白な目に黒く目入れすることで「願掛け」の意味を持ちます。
目入れの順番について
だるまの目入れで間違うのはその順番です。
目が白いままのだるまにどうやって目を入れたらいいのか戸惑いますよね。
実はだるまは地域や種類によって目入れの順番が様々なんです。
ここではいくつかの種類をご紹介します。
ちなみに「右目」はだるま自身の「右目」であって、向かって右ではないので注意しましょう。
高崎だるま
群馬県高崎市の高崎だるまは、全国生産8割以上のシェアを誇ります。
高校サッカー選手権の入場行進で、前橋育英高校が小さな高崎だるまを手に掲げながら行進する姿は何だかかわいらしいですよね。
このだるまの目入れは先に左目から。願いが叶ったら右目を入れます。
一般的に左目が先と言われるのは、だるまのほとんどがこの高崎だるまだからでしょう。
また、左目が先という考え方は「阿吽」という言葉からきているとも言われています。
だるまの左目は「阿」であり物事の始まりを、右目は「吽」で物事の終わりを表すとされているのです。
相州だるま
神奈川県平塚市で生産されている相州だるまは豪華な装飾が特徴のだるまで、金色で目入れすることも。
このだるまも最初に左目、願いが叶ったら右目という順番ですが、選挙の勝利祈願に限っては最初に右目、願いが叶ったら左目なのだそう。
選挙でのだるまは当選したら左目を入れるのが一般的と言われるのはこのだるまの特徴からでしょう。
伊豆の達磨寺
静岡県伊豆にある達磨寺では、願掛けの内容によって目入れの仕方が異なります。
商売繁盛、家内安全、健康祈願、学業成就、厄除祈願、交通安全は、最初から両目を入れます。
病気平癒、合格祈願、就職祈願、良縁祈願、選挙当選については、先に右目、願いが叶ったら左目を入れるのだそう。
間違えても大丈夫!
だるまの目入れについて詳しく調べてきましたが、もし間違った目入れの仕方をしてしまったら、どうしたらいいでしょう。
「作法が違う!」と怒って願いが叶わなくなる、なんてだるまはそんな意地の悪いことをしませんよ。
だるまは心が広いのです。心が広いので考え方が柔軟です。
その証拠に、地域や種類によって目入れの順番が様々存在していますよね。ということは、どちらから書いても問題ないということですね。
他にも「間違えたらどうしよう」と心配なことがあるので、調べてみましょう。
筆で目入れするほうが良い?
だるまに目を入れる時、選挙事務所の中継などでは大きな毛筆で目入れをしていますよね。
やはりだるまの目入れは筆を使って墨で書くのが正しいのでしょうか?
実はこれも特に「墨でなければいけない」なんて心の狭い決まりごとはありません。
筆ペンでも、サインペンやマジックだって大丈夫。
大切なのは気持ちを込めて目を入れることですから。
筆に慣れていないとうまく書けなかったり、手が震えて目力の足りない弱々しい表情になってしまうことも。
また、墨が垂れ落ちて縁起物のだるまが泣き顔になってしまわないよう、墨汁の量には注意が必要です。
だるまの目には自信をもって力強い目を入れましょう!
目の書き方に決まりはある?
いざ、だるまを目の前にして目入れをしようとすると意外と難しいものです。
というのも、どんな目を描けば格好良くなるのかイメージが沸かないですからね。
正しい描き方はとくに存在しないようなので基本的に自由で良いのですが、だるまの目は白い部分を全て塗りつぶさずに目の縁を白く残すと良いようです。
そのほうが目が生き生きして見えるのだそうで、この描き方を「だるまを生き目にする」と言います。
とはいえ、決まりごとはありませんから例えばニッコリさせてみたり、まつげをつけてみたり、自分の好みでお気に入りの表情にしてあげるのも楽しいですね♪
実際、高崎市には様々な表情のだるまが飾られているようです。
役目が終わったら奉納を
だるまの作法のようなものは結構自由だという事がわかりましたね。
しかし、やはり少し気になるのは役目を終えただるまの扱い方です。
これは知っておいた方が良いかも知れません。
だるまは、お札などと同様にご利益は1年間といわれます。
願い事が叶っても叶わなくても1年間の感謝を込めて右目を入れて供養すると良いでしょう。
供養はだるまを買っただるま市があればその寺に納めるのが一般的ですが、だるま市のない寺でも納めどころがあれば大丈夫でしょう。
ただし、だるまは仏教僧侶の達磨大師が由来ということで、神社は避ける傾向があるようです。
地元のどんど焼きで供養する方法もありますが、だるまの持ち込みを禁止しているどんど焼きがあったり、目が潰れるのでよくないという考え方もあるようなので、主催者に確認してから持ち込んだ方が良さそうです。
ちなみに目入れをするにはやはり大安の日が最も良いのですね。
大安以外では先勝や友引、逆に仏滅や先負の日は避けるようです。
まとめ
- だるまとは達磨大師を模した縁起物で、目入れすることで願掛けの意味を持ちます
- だるまの目入れの順番は、地域や種類、目的によって違いがあります
- だるまの目入れには特に決まりごとがないので間違っても大丈夫!
だるま日本一の高崎では、願いが成就したら次の願掛けには一回り大きなだるまを勧めるのだそう。
残念ながら成就しなかったときは、もう一度同じ大きさのだるまを勧めて再チャレンジなのだとか。
何だか楽しいですね!
今まであまりだるまに馴染みのなかった私ですが、この記事を書いているうちに、今年の自分を応援してくれるだるまさんが一つ欲しくなってきました!