皆さんは「東京特許許可局」を噛まずに言う事はできますか?
練習して読めるようになっている人もいるかもしれませんが、基本的には言いづらい言葉ですよね。
では、どうしてこの言葉が言いづらいか、その理由がわかりますか?
今回はそんな早口言葉を含む、噛みやすい言葉について、その理由を探っていきます。
そもそも言葉を噛むっておかしい?
「セリフを噛む」という表現は普通に聞くと何の間違いもないように聞こえます。
しかし、本来「噛む」という言葉には、滑舌が悪い事やセリフを言い間違えるという意味はありません。
これは、演劇や舞台でセリフが言えずに舌を噛むという言葉から派生して意味付けされたものであると考えられています。
まず、滑舌という言葉が演劇や舞台など業界用語であり、それがアナウンサーや芸人に広まって、一般にも浸透していった言葉です。
そして、この言葉を「噛む」も同じように広まったものになります。
現代では誰でも違和感を覚えない言葉になっていますが、元は業界用語としてあったものなのです。
噛みやすい言葉の条件とは?
早口言葉や噛みやすい単語には、滑舌の良しあしに関わらず噛みやすい条件が揃っています。
その条件を確認していきましょう。
同じ音や同じ種類の音が連続すること
早口言葉の「なまむぎ、なまごめ、なまたまご」のように「なま」が連続しつつ、単語の最後の方に「ぎ」や「ご」の「ガ行」が付いています。
そして、「なま」・「む」の「ナ行」・「マ行」と「ガ行」は同じ「鼻音」の発音でもあります。
つまり、この言葉は全て同じような発音をしなければならない単語の羅列なのです。
このように近い間隔で同じ音や同じ種類の音があり、それを続けて言う場合、人は言いづらさを感じてしまいます。
舌の動きが頻繁に前後するもの
人が言葉を発音する時、必ず舌も動くことになります。
早口言葉の「隣の竹やぶに竹立てかけたのは誰だ」の中にある「たけたてかけた」という言葉の並びは、「た」や「て」は舌を前にして発音し、「け」や「か」は舌を後ろにして発音します。
そこから見ると、舌の動きは「前・後・前・前・後・後・前」になるので、舌の動きが非常に忙しくなります。舌の動きがややこしくなっても人は言いづらさを感じます。
拗音が頻繁に出ているもの
「拗音(ようおん)」とは「キャ、キュ、キョ」のよう発音を指します。
早口言葉の「とうきょうとっきょきょかきょく」を見ると、拗音がたくさん入っているのがわかります。
拗音を発音する場合、唇の動きによって発音するので、「きょかきょく」の部分になると舌と唇の動きを頻繁に変えなければならないので、言いづらくなっています。
この3つのが大まかな早口言葉や単語の言いづらさの原因になっています。
全体を見るとわかりますが、唇や舌の動きが大きく違うと噛んだり言い間違ったりすることがわかりますね。
実際に聞く噛みやすい・言いづらい言葉たち
早口言葉はそういった発声のお仕事でしか使わないかもしれませんが、日常生活の中にも口にすると噛みやすくなるほか、言いづらい言葉はたくさん溢れています。
きゃりーぱみゅぱみゅ
芸能ニュースでもアナウンサーが言うのに苦戦しているのが見受けられます。
「ぱみゅぱみゅ」の部分は拗音であり、連続で繰り返されているので言いづらいのです。
ロロノア・ゾロ
漫画『ワンピース』のキャラクターのフルネームです。
「ロロノア」は同じ音が連続して、駄目押しに「ゾロ」でも「ロ」が出てきてとても言いづらいですが、あまりフルネームで呼ばれるものはないです。
卒業証明書授与
学生の時に生徒会などの役割で言わなければならなかった人もいると思います。
「しょうしょじゅよ」の部分が拗音が混ざってなおかつ同じような音の連続でとても言いづらい言葉になっています。
肩たたき機
今時はマッサージチェアと呼ぶ方が多いかもしれませんが、「かたたたきき」と同じ音の連続で言いづらい単語です。
手術中
医療ドラマのセリフでよく聞きますが、現実でも「手術」の単語は口にする機会はあると思います。
「しゅじゅつちゅう」で見ると拗音と同じ音の連続になっています。
全体的に見ると、舌の動きが頻繁になるものは見られませんでした。これは単語のみを切り取っているので、文章になると発生する可能性があります。
まとめ
今回は噛む言葉についてまとめていきました。皆さんも口に出して読みながらやっていると舌や口が疲れたと思います。
実際に噛みそうな単語を言う時は、それこそ「肩たたき」を「マッサージ」のように置き換えて言っているので、あまり感じないことかもしれませんが、口を動かすと意外と疲れるものなのです。
そして、このような口の性質として噛む言葉をすらすら言えるアナウンサーや声優は、実はすごいことをやっているだと思いました。