皆さんは「オムニバス」と聞くと何を思い出すでしょうか?
映画やCDのアルバム、あるいは小説にこの言葉が付いていたことを思い出せるかもしれません。
そして、思い出した作品を考えると、なんとなく「オムニバス」の意味も予想できるかと思います。
ただ、今回はそのなんとなくわかる単語の「オムニバス」がどういうものであるかをしっかり知るための記事になっています。
しっかりわかるとまた作品を見る目が変わるかもしれませんよ?
オムニバスの意味/英語と日本語で微妙に違う
英語での「オムニバス(omnibus)」は「一冊本の大選集、オムニバス版、乗合自動車、バス」という意味があります。
乗り物的な意味は日本ではあまり聞きません。
しかし、元々のラテン語としての「オムニバス」は「すべての人のため」の意味があり、そこから「集合馬車」という意味も付け足されました。
さらには、「オムニバス」の「バス」は自動車の乗り物としての「バス」の語源になったのです。
そして、現代でよく使われるオムニバス版としての意味では
「映画や演劇やドラマなどで、独立した短い話をいくつか集めて一つの作品にしたもの」
として使われています。
この独立した短い話は、共通したテーマに沿って集められるもので、短編が多くなっています。
また、現代では広義的な意味で様々なジャンルの芸術についてまとめられたものは何でも「オムニバス」と付けるようになりました。
それを見た上で、日本での「オムニバス」が使われているものを見ると、映画やドラマもそうですが、一番よく見るのは、年代を決めて集められたオムニバスCD、オムニバスアルバムが挙げられます。
しかし、日本以外で見ると、音楽でテーマに沿って集めたものは「コンピレーション」という言葉を使うのがほとんどです。
日本でもコンピレーションアルバムという言葉を使うことはありますが、「オムニバス」を音楽に対して使うのは日本だけの言葉の使い方なのです。
これが英語と日本語における「オムニバス」の微妙な違いになります。
オムニバスの類似語―作品集を指す用語―
「オムニバス」は作品を集めたものではありますが、どちらかといえば映画やドラマなどの映像作品に対して使うものになっています。
では、その他の作品に対しては何と表現するのが適しているのでしょうか。
オムニバスの類似語/コンピレーション
音楽作品の場合は、先ほど紹介したように「コンピレーション」を使います。
「コンピレーション(compilation )」は英語の意味として「編集、編集物」という意味があり、英単語としてはCD以外にも「the compilation of an encyclopedia (百科事典の編集)」のように書物に使うこともできます。
オムニバスの類似語/アンソロジー
文学作品の場合は「アンソロジー」という言葉が使われます。
「アンソロジー( anthology)」には詩集や詞華集といった意味があり、俳句や短歌のみならず、小説や漫画に対してもこの言葉が使われます。
日本でもアンソロジーコミックという単語を耳にした事がある人がいるでしょう。
「アンソロジー」は「オムニバス」の代わりに広義的な意味で映画や歌曲、絵画などのまとめられた作品に対して使うことがあります。
反対に、作者が単独である場合の短編集の場合は「オムニバス」が使われることがあります。
オムニバスの類似語/アラカルト
また、日本では小説や漫画において「アラカルト」とう表現を用いることがあります。
「アラカルト(a la carte)」はフランス語でメニューを見て好みのものを一品料理として注文するという意味。
日本語的には一品料理やお好み料理としての意味もありますが、そこから転じて小説や漫画の短編集という意味になっています。
ただ、これも日本語での「オムニバス」と同じく日本特有の使い方で、他の国ではあまり見られないものになっています。
オムニバスとは…まとめ
今回の記事をまとめると、
- 「オムニバス」は独立した芸実作品を1つにまとめたものという意味
- 音楽に対して「オムニバス」を使うのは日本特有の表現
- 集めるものによって様々な呼称が使われている
の3つになります。
「オムニバス」を含めて、日本では様々な外来語が意味がわかっていることが当たり前のように使われています。
全部を元の意味から理解するのは難しいと思いますが、
今回はこれらの意味だけでも覚えて、今度作品を買う時に、どういう意味で使われているか考えてから買うと面白いかもしれません。