雑学

漢方薬/副作用で吐き気は起こる?確認しなくていい?




漢方薬を飲んだあといつも吐き気がする。

でも、からだにやさしいはずの漢方薬を飲んだせいで吐き気がするなんて、あまりピンとこないですよね。

しかし実は漢方薬の副作用で多いのは胃腸症状なんです。

漢方薬の副作用について知識がなければ、吐き気を感じたときに、それが副作用かどうか判断にこまるかもしれません。

飲んでいる漢方薬の副作用を知っていれば、症状が出た時に飲用を中止したり、受診が必要かどうかの判断がすぐにできますよね。

その吐き気は漢方薬の副作用なのか、なぜ吐き気がするのか、また、吐き気の対処のしかたをお話していきます。

吐き気が副作用である可能性


漢方薬は副作用がないと思われがちですが、効果がある反面、副作用もあるんです。
もちろん、西洋薬と比較すると副作用は非常に少ないので、副作用回避のために漢方薬を用いることが多いのですが、さまざまな要因で副作用が表れることがあります。
その吐き気が副作用なのかどうか、まずは確認してみましょう。

吐き気が副作用ではない場合も

漢方薬を処方されるときはほとんど粉薬ですから、漢方特有のニオイや苦みによって、慣れていない人には吐き気を感じるほど不快なものです。

飲んだ後しばらくムカムカしたり胸やけの症状を訴える人は珍しくありませんが、次第に慣れてくる可能性もありますし、それは副作用とは違うものです。

漢方には「瞑眩」という考え方があります。瞑眩とは身体が病気を治癒させるときにおこる、一過性の症状をさすのですが、この反射性の吐き気などが瞑眩だと考えられます。

副作用はすぐに作用している可能性も

吐き気がしても「まだ漢方薬の効果が表れていないのだから、副作用もおなじだろう」と吐き気に耐えながら漠然と飲み続けてしまうという人もいますので注意してください。

漢方薬は効果が出るまで時間がかかるので長く飲むことが多いのですが、中には即効性のある漢方薬も存在します。

例えば風邪をひいたときによく飲用する「葛根湯」は西洋薬よりも早く効きます。
副作用については飲み始めて2週間は注意するようにしましょう。

なぜ吐き気がするのかを確認

漢方薬の副作用は、なかにはいっている生薬が何かによって決まります。

漢方薬は複数の生薬を組み合わせることによって、効果が最大限になるように、また、副作用は最小限に抑えるように工夫されています。が、副作用がないわけではありません。

副作用が起きる原因としてまず考えられることを挙げていきます。

含まれている生薬に対してアレルギーを持っている

漢方薬には様々な生薬が含まれています。植物由来の生薬ですから、食べ物と一緒でアレルギーを起こす植物が入っている可能性もあります。

ヨモギやイネ科の植物に対してアレルギーを持っている人がいますよね。それらと同様のことです。

アレルギーを起こすととうぜん吐き気を感じますし、食物アレルギーは危険性が高いので激しい吐き気があるときは病院の受信をしてください。

用法、用量が守られていない

漢方薬の効果が表れるまでの期間は、個人差や漢方薬によって違いはありますが、比較的数週間~数か月が必要とされることが多いです。それで、すぐに効果が表れない焦りからたくさん飲用してしまう人がいます。

また、漢方薬には副作用がないから飲みすぎても大丈夫と思い込んで、大量に飲用してしまう人も。
生薬の摂りすぎは副作用の原因となるので、必ず用法、用量を守って飲用してください。

上記に心当たりがない場合、飲用している漢方薬が合っていない可能性があります。
下記にくわしく説明していきたいと思います。

自分に合った漢方薬を飲んでいますか?


自分に合った漢方薬はなぜかおいしく感じるとか…。

私は一度もおいしいと思ったことはありませんが、たしかに「これは無理だ」と感じる漢方薬もありますので、もしかしたら身体の状態に合っていなかったのかも知れませんね。

という様に、自分に合った漢方薬であれば理由もなく吐き気を感じることは少ないので、今飲んでいる漢方薬が自分に合っているのか確認してみましょう。

「証」に合った漢方薬を飲んでいますか?

「証」とは、漢方薬を飲む人の体質や状態をタイプ別にしたもので、それぞれの「証」に合った漢方薬を飲まなければ効果を得られませんし、副作用のリスクも発生してしまいます。

証には大きく分けて2種類あり、

  • 「実証」…元々身体が丈夫で体格が良い人。比較的体力のある人。
  • 「虚証」…元々あまり身体が丈夫ではなく虚弱体質で痩せている人。元気がない人。

証は医師や漢方薬を取り扱う薬局などで見立ててもらうのが一番ですが、実は医師の中には「証の見立て」の知識に乏しい人もいます。合わない漢方薬を処方されることもあるので、専門医に一度見立ててもらうことをおすすめします。

市販の漢方薬を飲んでいる場合

自分で市販の漢方薬を購入して飲んでいる場合は、漢方薬のパッケージに対象者の記載がされていますので、よく読んで自分の証に合っているのか確認してください。

市販の漢方薬には「実証」「虚証」の他に「中間証」という区分を設けているものもありますが、中間証用の漢方薬はあまり問題がなさそうです。

気を付けていただきたいのは、もし虚証の人が実証用の強い漢方薬を飲んでいたとしたら副作用が出やすくなりますし、体調が悪化することもありますので、中止することをおすすめします。
逆に、虚証に用いられる漢方薬を実証の人が飲用しても問題はありませんが、虚証用の漢方薬では効果が得られないと思います。

飲んでいた漢方薬が証と合っていなかったら

しかし、飲んでいる漢方薬が自分の証に合っていなかったとしてもがっかりするのは早いですよ。
例えば、不眠改善のために黄連解毒湯を飲用していたとします。

黄連解毒湯の証は実証向けなのですが、自分が虚証であったとき、虚証向きで不眠に効果のある「加味逍遙散」に変更すれば良いですね。

という様に、漢方薬には本当に何種類も組み合わせがありますので、改善したい症状と自分の証がマッチする漢方薬を見つけることができます。

吐き気の副作用を回避する工夫

食前ではなく食後に飲む

漢方薬は、吸収を良くするために食前または食感に飲むように指導されますが、胃腸の弱い方が胃腸が空の状態で飲用するとダメージを受けてしまう可能性もあります。

食前に飲むよりも吸収が弱く効果が薄れるかも知れませんが、長く飲用を続けることで取り戻すことができますので、吐き気を感じたら無理に食前にこだわらず、食後に飲用してみても良いのではないでしょうか。

胸やけを抑える飲み物

吐き気や胸やけを抑える市販薬もありますが、良く効く市販薬は飲みすぎると激痛と激しい吐き気を催しますので、市販薬で吐き気を抑えることはおすすめしません。

手っ取り早く対処できる方法でおすすめしたいのが、生姜やミントです。

生姜湯やミントティーは吐き気を抑える効果がありますので、胸やけ程度でしたら試してみる価値はあります。
また、胃腸が弱い方は牛乳を飲んでから漢方薬を飲用すると、牛乳が胃の粘膜を保護してくれるのでダメージを少なくすることができますよ。

副作用に吐き気が含まれる生薬


それぞれの生薬は様々な副作用を持っていますが、ここでは吐き気の副作用を持っている生薬で代表的なものを挙げていきます。

吐き気の副作用にあまり重篤なものはないのですが、飲み始め時などは吐き気を感じることがありますので、飲んでいる漢方薬に下記の生薬が含まれていないかチェックしてみてください。

麻黄

越婢加朮湯、葛根湯、麻黄附子細辛湯などに含まれる生薬です。
喘息や気管支炎を予防したり、風邪の症状を緩和するために用いられる生薬です。
また、むくみを改善する効果もあり、体内の余分な水分を排出する利尿作用があります。

地黄

芎帰膠艾湯、三物黄芩湯、八味丸などに含まれる生薬です。
白内障や腰痛、排尿困難から糖尿病、全身倦怠感まで広く体調不良改善に用いられる生薬です。
また、貧血にも効果があり「造血の王様」と呼ばれています。

石膏

白虎加人参湯、越婢加朮湯、消風散などに含まれる生薬です。
チョークや豆腐の凝固剤として馴染み深い、真っ白い石のような生薬です。
気管支炎による咳の改善や、アトピーなどの皮膚炎、発熱による喉の炎症に用いられます。
他の生薬との併用には注意が必要です。

まとめ

  1. 吐き気が副作用かどうか確認しましょう
  2. なぜその漢方薬に副作用が起きているのか確認しましょう
  3. 自分に合った漢方薬を飲用しているか確認しましょう
  4. 吐き気の副作用を回避する工夫をしてみましょう
  5. 飲用している漢方薬が吐き気の副作用を持っていないか確認しましょう

東洋医学に基づいて処方される漢方薬はかなり種類もあり、それぞれ効能も副作用も多岐にわたります。

素人判断よりも専門家に見立ててもらうのが一番ですが、病気の症状以外でも漢方薬で改善をはかりたい不調はたくさんありますよね。

薬局には豊富な数のメーカーから本当に何種類も漢方薬が販売されていて、一体どれを飲用すれば良いのか迷ってしまいます。

せっかく飲み始めたのに吐き気がするのではがっかりしてしまいます。
しかし、複雑だからこそ自分に合った組み合わせの漢方薬を飲用すると大変身体に良いのではないでしょうか。

吐き気は副作用だから仕方ないと思わずに、丁寧に対処して自分の症状を改善してくれるぴったりの漢方薬を選んで正しく飲用するようにしましょう。




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