これから剣道を始めようと思っている方、もしくは剣道を始めたばかりという方。
やはり未知の競技ですから、
という不安があると思います。
そこで、今回は
- 「剣道は難しいのか」
- 「剣道をするにあたって運動神経は重要な要素なのか」
という疑問と
- 「剣道初心者が心掛けるべきこと」
についてお話します。
やっぱり剣道は難しい?
伝統ある武道である剣道。
その動きや用語も特殊で、
というイメージがあると思います。
しかし剣道は「難しい」を越えた先にある「精神面を鍛える」ことの方が大変です。
精神面の問題とはどういうことなのか、お話して行こうと思います。
最初は戸惑うかも
剣道を始めたての頃は「何これ難しい」と頭が軽くパニックになります。
今までしたことのない動き、今まで使うことのなかった筋肉。
基本の動きを体に覚えさせるまでは、上手くできた時のイメージを持ちながら何度も練習しなければいけません。
そして、今まで出したことのない奇声。
先輩たちが稽古している道場の隅で「めーん」と叫ぶのは恥ずかしいですが、先輩たち含め、剣道をしている人ならだれでも通ってきた道です。
こんな感じで、最初のうちは難しさや恥ずかしさと戦いながら基本練習をしていきます。
剣道着を着る前の練習と言えばすり足と踏み込みなので足の皮がむけますし、素振りの回数も多く掌の皮もむけるので正直メンタルもやられます。
しかしこの期間は案外短いもので、学校や道場によりますが、私の場合は剣道を始めて一ヶ月くらいで大会に出ました。
ここさえ耐えればあまり「難しい!」と激しく思うことはありません。
慣れてくると、難しいというより辛い
「慣れてくる」というのはここでは剣道が上手くなる、強くなるという事ではなく、「形ができてくる」という意味です。
つまり、ある程度すり足や踏み込み、(有効打突でなくても)基本打ちができて、普通に先輩方の試合稽古に混じれるというレベルです。
「一見剣道ができている」レベルになると、明らかにできていない訳ではないので、熱心に注意したりアドバイスする先輩も少なくなってきます。
ここまで来ると、下手したら有効打突も打てないレベルで「出来ない、難しい」という焦りは無くなり、向上心の無い子はマンネリ化してきます。
そこで芽生えてくるのが、「剣道だるい」という気持ち。
剣道は「難しい」というよりも「辛い」競技です。
特に稽古は長いと辛いですし、掛かり稽古なんかは本当にきついです。
いかに「辛い」稽古を乗り切って、さらに強くなれるかが重要なポイントですよ。
「難しい」と思いながら続けられたら良い
ある程度剣道の形ができてからも、
という向上心があれば、
それを研究する過程で「難しいな」と思いながら新しいものを吸収していきます。
反対に、辛い稽古、だるい剣道の練習において「難しい」と少しも思えなくなったらそこで成長は止まってしまいます。
ある程度剣道の形ができるようになってから「辛い」「だるい」しか思えなくなると…
これは「消化稽古」、もしくは「消化試合」をしている証です。
さらなる高みを目指そうという向上心が無く「現状維持」を続けていれば、新たな課題に挑むことが無いからです。
剣道がマンネリ化することなく「難しい」と「辛い」に耐えながら成長し続けるのが理想です。
運動神経は重要?
…と考えているあなた。
剣道を始めるにあたって、運動神経は関係あるのか気になりますよね。
そこで、剣道には運動神経が重要なのかどうかをお話したいと思います。
運動神経が良いに越したことはない
剣道は瞬発力が大事な武道です。
それ故に、見学に来て先輩方を見た時に「カッコいい」と思うのです。
ですから、やはり運動神経の良い子は上達が早い。
後輩に剣道を教えている時によく感じました。
運動神経の差は、剣道を始めてすぐにジャージですり足を練習する時点ですでに感じます。
踏み込みなんかもそうです。
運動神経の良い子はすぐにできるようになりますが、そうでない子は頑張って練習してもすぐには上達しません。
それに手の動きがつくと、運動神経の良くない子はさらにパニックになります。
ある程度剣道ができるようになってからも、運動神経の良い子は新しい技をどんどん会得していきますが、そうでない子はもう少し時間がかかります。
というように、こちらが数年かかって会得した技でも、運動神経の良い子なら教えればすぐに身に付けます。
最初のうちは、一年や二年の差なんてあっという間に埋まります。
しかし、剣道で運動神経が通用するのは中学生くらいまで。
スタートダッシュが上手くいくのは良い事ですが、重要なのはそこからどう頑張るかです。
大きくなってくると「コツコツ努力派」の子が芽を出してきますので、努力が無いと運動神経の良さだけでは勝てなくなってきます。
続けることが大切
運動神経が良くない子は、思うように勝てなかったり稽古で先生に怒られたりで、同級生と比べて焦りが出てくると思います。
そして剣道に嫌気が差してきて、いつも通りに竹刀で打たれただけで「痛い」と悲しくなってきたり、稽古のきつさに耐えられなくなってきます。
しかし、それも学生のうちです。そこを乗り越えなくてはいけません。
反対に運動神経が良い子でも、剣道を長く続けることは大変です。
先輩方を見て「カッコいい」と思って剣道を始め、自分もそれなりにカッコいい剣道ができるようになってきた時に「さらに高みを目指したい」という子もいますが、この頃から剣道に飽きてくる子もいます。
防具が臭い。
そもそもサッカーとかバスケットボールの方がカッコいい。
稽古するよりも遊びたい。
剣道は実用性が皆無。
さらに女子の場合、プロポーションを維持しようと思ったら筋肉はつけたくありません。
実際、「遊びたい」「剣道はカッコ悪い」という理由で、せっかく運動神経が良くて剣道が強かったのに、辞めてしまった先輩がいました。
毎日稽古に励んでいた時は良かったのですが、退部した後は非行に走ったようで、その後彼がどうなったのかは分かりません。
運動神経が良い子でも、集中力や忍耐心が無ければあっという間に成長が止まるか、剣道を辞めることになります。
剣道は上達の遅い競技ですので、反対に運動神経が良くない子でもコツコツと続けていれば強くなれますし、早熟の子にいずれ勝てるようになります。
勝てるようになるためには、真面目に稽古を続けることです。
運動神経の良くない息子の話
私の息子は幼稚園の時から7年間空手を続けてきたのですが、
中学校に空手部が無かったので武道つながりという事で剣道部に入部しました。
彼は運動神経が良くなかったのでなかなか上達せず、団体メンバーに入っても引き分け要員、そして3年生の時には剣道経験者の1年生が入部し、ポジションを奪われました。
本人は不満を漏らしませんでしたが、心の中ではとても悔しかったのではないかと思います。
しかし高校進学後も剣道部に所属し、休むことなく誰よりも真面目に稽古を続け、最後の高総体では個人で県ベスト16に残りました。
高校生にもなると県外から特待で強い選手がたくさん来ますし、その中で彼はもちろん全くの無名選手ですから、ベスト16なんて想定外です。
同じ中学校の父兄から沢山のお祝いの言葉を貰い、高校のチームメイトからも祝福され、彼は6年間の剣道生活を終えました。
真面目に毎日稽古を積むだけの地味な剣道生活でしたが、剣道部の仲間たちと沢山楽しい思い出を作ったようですし、忍耐や努力の大切さを学べたのではないかと思います。
剣道は勝ち負け以前に、礼儀を重んじ、精神を鍛えるものです。
華やかな記録を沢山持っていてもいなくても、剣道から何を学ぶことができるかは本人次第です。
運動神経が無くてもやる価値はあります。
剣道初心者が心掛けるべき事
最後に、これから剣道を始める方や剣道初心者の方へ、剣道初心者が心掛けるべきことをお話したいと思います。
技の説明や具体的な練習法などは省きますが、どれも非常に大切なことですのでぜひ目を通してくださいね。
挨拶、返事をする
剣道のことがよくわからなくてもスポーツ全般、挨拶や返事が大切なのはわかると思います。
ましてや剣道は武道。
礼に始まり礼に終わるので、挨拶や返事を欠かしてはいけません。
少しでも傲慢な気持ちがあると剣道は上達できませんので、武道の根本的なところはきちんと押さえておきましょう。
素直でいること
剣道初心者は、先生や先輩の存在無しでは何もできません。
先生や先輩にアドバイスを貰ったり、指示を受けた際には「はい」と気持のいい返事を心掛けましょう。
上手くできなくても、言われた通りに実践しようとする気持ちが大切です。
後輩が素直で頑張り屋さんだと、教える側としては教え甲斐があるというもの。
また、試合後など時間がある時に先輩からアドバイスを貰ったら「ありがとうございます」と伝えましょう。
吸収が早くて将来有望な子も良いのですが…
先輩側としては上手で生意気な子よりも、多少下手でも素直な子の方が
という気持ちになります。
ですから普段から素直で礼儀正しくいる事で、自然と先輩と仲良くなることができます。
先輩と仲良くなると、自分で開拓した技の事や今までしてきた試合の話、そこから派生して試合の心構えなど、普段の稽古では聞けないアドバイスも貰えるようになります。
同輩同士でくっついている子よりも、先輩と仲の良い子の方が確実に上達が早いです。
自主練をする
道場での稽古や学校での部活動の時間には限りがあります。
- 少しでも早く普通の稽古に混ざって先輩と剣を交えたい!
- 大会に出たい!
と思ったら、絶対にみんなで集まっている時の練習だけでは足りません。
のんびりマイペースで剣道を、と思っている方は別ですが、
強くなりたかったら「初心者である分、先輩方よりも多く練習をしなければいけない」という心構えが大切です。
- うまく踏み込みができない→ふくらはぎのバネが足りない→走り込みをする
- 竹刀の振りが遅い→竹刀を持ち帰って素振りをする
- 右手打ちだと注意された→片手素振りをする
など、道場でなくても自分一人でできることは沢山あります。
どうしても防具を着けて稽古がしたかったら、休日に稽古に付き合ってくれる子を探して、地元の体育館などを借りて稽古をするのもアリです。
活動時間外に稽古を積み、やる気のある子同士で上達していくのは素晴らしい事です。
方法はたくさんあります!
今自分に必要なものは何かを考えて、創意工夫をし、自主練をしましょう。
まとめ
- 剣道は難しいというより辛い競技。辛さを乗り越えることが重要です
- 運動神経は良いに越したことはありませんが、その先の成長は努力次第です
- 剣道初心者の方は、素直で礼儀正しくいるようにしましょう
剣道は難しいのか、運動神経は関係あるのか、剣道初心者が心掛けるべきことは何かをお話してきました。
剣道は慣れれば決して難しいものではないのですが、その先の努力や忍耐、礼儀を重んじる心が大切です。
それはやはりどの武道でも同じことであり、一定以上に強くなるためには心も強くなければなりません。
私は精神面の問題で剣道を途中で辞めてしまったので、ぜひこれから剣道を始める皆さんには、剣道を長期プランで考えて、少しでも長く楽しんでいただけたらと思います。