ウインタースポーツの花形とも言える「フィギュアスケート」。
フィギュアスケートが好きな方にとって、秋、冬はとても楽しい時期になるでしょう。
ところが、大会を見ていると・・・
- 「あれ?よさそうに見えたけど・・・何か点数低くない?」
- 「ミスあったけど得点高くない!?」
- 「転倒していないのに1点減点?」
などなど・・・採点で不思議に思うことはたまにありますよね。
今回は、フィギュアスケートの採点の仕組みについて紹介していきます。
フィギュアスケートの採点方法
フィギュアスケートは、技術と美しさを競う競技。
点数は、「技術点」「演技構成点」と2つに分かれています。
技術点とはなにか
技術点とは、ジャンプやスピン等の技術の点数です。
技術点は、技の基礎点に「GOE」という出来栄え点が加算されることがあり、出来が良ければ最大5点加算され、出来が悪ければ最大5点減算されます。
メモ
2018-2019シーズン(フィギュアスケートのシーズンは、7月1日~翌年6月30日です)からGOEはプラス5点からマイナス5点の11段階評価に変更になり、その前まではプラス3点からマイナス3点という7段階評価でした。
演技構成点とはなにか
演技構成点は、
- プログラムは自然な流れで行われているか
- 音楽に合った動きができているか
- 振り付けで感情等をうまく表現できているか
という点数です。
荒川静香さんや羽生結弦選手が行っていたイナバウアーや、宇野昌磨選手がよく行っているクリムキンイーグル(足を開いてひざを曲げ、リンクのスレスレまで体を反らす技)は、その技単体では得点になりません。
これらをプログラムの中で技と技の繋ぎとして取り入れることにより、演技構成点に反映されます。
では次に、思ったよりも点数が伸びた、また伸びなかった理由を説明します。
思ったよりも点数が低い正当な理由
一見良さそうに見えたのに
- あまり点数が伸びていない
- 転倒していないのになぜか減点されている
ということがよくあります。
これらの理由を説明します。
大半の理由は●●不足
思ったより点数が伸びない理由は、大半はジャンプの回転不足です。
例えば、基礎点が9.5点の4回転トウループを飛んだとします。
もし、ここで4分の1以上回転が足りていないと回転不足とみなされ、出来栄え点が2~3点マイナスされ、7.5~8.5点になってしまいます。
一見、目立ったミスがなくジャンプが決まったかに見えても、回転不足が多いとあまり点数は伸びません。
ノーミスなのに減点の理由は競技時間
また、転倒などのミスもしていないのに減点があることもたまにあります。
実は、転倒以外にも減点の対象となる行為があり、最も多いのは「タイムオーバー」。
ショートプログラムでは2分50秒以内、フリースケーティングでは4分プラスマイナス10秒で演技を行わなければなりませんが、これは音楽が流れている時間ではなく、選手が動いている時間です。
音楽が止まっても、選手が動いていたら演技終了となりません。
この決められた時間を越えてしまうと、1点減点となります。
また、名前を呼ばれてから30秒以内に演技を始めなければいけないというルールがあります。
演技を始めるまで30秒を越えてしまうと、「レイトスタート」という減点対象行為となり、1点減点されます。
●●が落ちると減点
他にも、衣装の飾りが取れてリンクの上に落ちた、というのも1点減点になります。
2016年の全日本選手権で、白岩優奈選手がショートプログラムでスピンの際、靴のブレード部分を持ったところ、衣装の手袋がブレードに引っかかって手袋が脱げて落ちてしまったというアクシデントがありました。
白岩選手はショートプログラムで17位と大幅に出遅れてしまいましたが、フリースケーティングで巻き返し、最終的に6位に入りました。
ソチオリンピックの浅田真央さんのようだったので、かなり印象に残っています。
もちろん演技の中断も減点対象
また、靴紐が切れた、演技中にコンディションが悪くなった、と演技を中断した時も減点されます。
2016年グランプリシリーズのロシア大会で、ユリア・リプニツカヤさんがフリースケーティングの演技中に左足が痙攣し、演技を中断したことがありました。
コーチやジャッジと相談したものの、棄権が認められず、結局演技を再開しました。
結果、ショートプログラムでトップ3に入っていたリプニツカヤ選手は、6点も減点され、最下位になってしまいました。
私もテレビで見ていて少し泣いてしまいました。
さて、少々長くなり、私の個人的な感想も挟んでしまいましたが、正当な理由で減点されるのは大体こういった内容です。
思ったよりも点数が高い正当な理由
ジャンプで転倒があったものの意外と得点高かったな・・・ということもありますよね。
その理由を説明します。
宇野昌磨選手の例
例として、2016年グランプリシリーズのアメリカ大会の男子ショートプログラムを挙げましょう。
宇野昌磨選手は、コンビネーションジャンプで転倒がありました。
宇野選手の得点は89.15点で、暫定1位でした。
そのあとに最終滑走で演技を行ったアメリカのアダム・リッポン選手がパーフェクトの演技を見せ、観客を大いに沸かせました。
(この時確か歓声どころか悲鳴をあげているような観客が多く、ものすごくうるさかった記憶があります。笑)
これ、宇野選手抜かれるのでは・・・?と思いました。
しかし、リッポン選手の得点は87.32点で、2位でした。
これはなぜでしょうか。
正解は、リッポン選手が4回転ジャンプをプログラムに入れていなかったからです。
4回転ジャンプがないと、ジャンプの基礎点も下がりますからね。
宇野選手は4回転ジャンプをプログラムに入れていたため、その分の基礎点が高かったため、転倒しても1位だったのです。
やはり4回転ジャンプはかなりの得点源なのですね・・・。
(2018-2019シーズンのルール改正でジャンプの基礎点が下がってしまいましたが・・・。)
ところが、2017年の世界選手権の男子ショートプログラムで、アメリカのジェイソン・ブラウン選手が4回転ジャンプなしで93.10点を記録しました。
ブラウン選手は表現力にとても長けている選手です。
ですので、演技構成点でガッツリ点数を稼いだのですね。
転倒しても減点を抑えられる?
また、仮に転倒してしまったとしても、きちんと回転ができていれば、減点は少なく済みます。
転倒よりも、4回転の予定がトリプルになってしまった、トリプルの予定がダブルになってしまった・・・という方が点数が下がり、とても痛いのです。
転倒して、しかも回転が減ってしまったとなると、それはもう悲惨ですね。
フィギュアスケートで実際にあった不正採点
しかし、採点の際に審判員が不正をしているということもあります。
最近では、中国の女性の審判員が平昌オリンピックで中国のボーヤン・ジン選手に過剰に技術点、演技点を与えた、という不正が発覚しました。
その審判員は2年間の資格停止処分、2022年の北京オリンピックの審判資格剥奪の処分を受けました。
また、バンクーバーオリンピックのキム・ヨナさんVS浅田真央さんの対決が記憶に残っているという方、多いのではないでしょうか。
その際も、採点がおかしいと騒動になりましたよね。
片足を180度上げて滑走する技をスパイラルと言いますが、浅田真央さんはきちんと180度足をあげて安定した滑りをしました。
キム・ヨナさんは完全な素人が見てもわかるくらいに180度足が上がっておらず、滑走もかなりぐらついていました。
また、スピンでビールマンスピンという技があります。
この技は、片足を後ろに高くあげて、手で靴のブレードをつかんで回転します。
このときに頭を上げている脚に近づけるようにしなければなりません。
浅田真央さんはきちんと脚に頭が近づいていましたが、キム・ヨナさんは近づいていませんでした。
しかし、なぜかキム・ヨナさんの方が得点が高かったのです。
浅田真央さんが本当にかわいそうでしたね。
(技の説明を文章でしてもわかりにくいと思うので、実際の技が見たいという方は、各自検索していただけるとありがたいです・・・。)
まとめ
今回はフィギュアスケートの採点について紹介しました。
どのように採点しているのだろう?と思った方はこちらを参考にしていただけると幸いです。
そして、現在はあらゆるものが機械化され、AIも開発されているので、フィギュアスケートの採点も早く機械化して、不正がなくなってほしいですね。