雑学

金属の音が苦手‼︎不快に感じる原因とは⁉︎【意外】




あなたは金属音は平気ですか?苦手ですか?

例えば、グラタンや鍋焼きうどんが入ったアルミのお皿。
韓国料理店の食器とお箸、ナイフとフォーク、バイキングの際にバットとトングが触れ合う音。
買い物の際に小銭が触れ合う音、電車が止まるときのブレーキ音…。

金属音が苦手な方は、文字だけでもゾゾッ…としたかもしれません。申し訳ありません。

金属類はあちらこちらにありますし、苦手な人も少ないので理解されず、外食先ではやむを得ず金属製の食器を使ったりと金属音に悩まされている方が多いと思います。

ですので、先ほど挙げた例に「分かる!」と共感した方はぜひこの記事を参考にしてほしいと思います。

なぜ音を不快に感じるのか

うさぎ
金属に限らず不快に感じる音、皆さんにもきっとあると思います。
想像するだけで嫌な気持ちになると思いますが、例えば

  • 黒板を爪で引っ掻く音
  • 風船や発泡スチロールが擦れる音
  • マーカーのキュッキュッという音
  • ブランコのキーキー音

どの音が苦手かは人によりますが、大体の人はこの中にどれか一つは苦手な音があるのではないでしょうか。私はベタですがやはり黒板の音が駄目です。その他擦れる系の音は平気ですね。

では、なぜこれらの音は不快に感じるのでしょうか。まずはそこからお話したいと思います。

不快音と扁桃体

皆さん黒板を引っ掻いた時や何かが擦れる時の「キィーッ」という高い音が苦手だと思いますが、黒板やガラス、ビニールなどに嫌な思い出ってありますか?

小さい頃に黒板の下敷きに!なんてトンデモ体験が無い限り、大抵の人は物心ついたときから何故か苦手になっていた、という感じではないでしょうか。

自分の体験と関係のない事になぜ反応するのか。それには脳の扁桃体(へんとうたい)という部分が関係しています。

扁桃体は動物が進化する過程で体験してきたことが蓄積されていくので、自分自身が体験したことでなくても、いわゆる「ご先祖様」の経験にも反応するのです。

我々が不快に感じる高い音は、人間が進化していく過程に存在した人間を襲う捕食者の鳴き声や、人間の祖先(サル)が危険を感じた時に発する警告の声に似ています。

そのため、人間の本能に関わる原始的な部分である扁桃体が「危険だ!」というストレスを感じて反応するという訳です。

人間の本能がこの音を拒絶している訳ですから、扁桃体の反応に文化は関係ありません。

つまり、黒板を引っ掻く音は万国共通の不快な音という事になります。

こういった文化に関係無い体の反応を痕跡反応と呼び、この痕跡反応への対策は存在しません。
不快な音を聞いた時点で偏桃体は自然に反応してしまいます。

不快な音の周波数

ウィーンの大学で、被験者に何度も不快な音を聞いてもらい、どれくらい不快かを評価してもらう実験が行われました。

被験者の方、可哀そうです…。報酬はきちんと貰ったのでしょうか…。

それはともかく実験の結果、最も不快という評価を受けた周波数は2000Hz~4000Hzだったそう。

この実験を行った大学によると、2000Hz~4000Hzの音は人間の耳の構造的に耳の中で増幅されやすいので不快に感じるのではないかとのこと。

2000Hz~4000Hzの音は日常生活でもしばしば聞くことがありますし、音の種類によってはこの周波数帯でも人間は不快に感じないようですが、人間が「ヒイッ…」と思ってしまう様々な不快な音は、少なくとも全てこの周波数帯の音という訳です。

「不快になる」という先入観

別のある実験では

  • A「黒板を引っ掻く音」
  • B「黒板を引っ掻く音と同じ周波数帯の曲」
  • を被験者が聞き比べました。

    結果、AとBどちらも不快に感じたそうですが、被験者は皆Bの曲をAの音ほど不快に感じなかったようです。

    どうしてこのような結果になったのでしょうか。

    それは被験者にBの曲を聴いてもらう際に、「この曲は黒板を引っ掻く音と同じ周波数帯ですよ!」と伝えていなかったためだと考えられます。

    Aの方は、被験者は音を聞いてすぐに黒板を想像します。学生時代の経験。友達が、先生が、爪を立ててしまった時の不快な気持ち…。それらを思い出してより「不快だ」と感じます。

    対してBは、被験者は周波数的に不快と感じますが、Aと違って「これは黒板だ」という先入観がないので、Aほど不快に感じることは無かったのです。

    つまり黒板を想像しただけで、同じ種類の音を聞いても感じ方に差が出たという事です。

    苦手な音が扁桃体に関する場合

    ピンクのほおのおうむ
    もしもあなたの苦手な金属音が先ほどお話した「キィーッ」「キュッ」という高い音の場合、それは扁桃体が本能的に反応している可能性が高いです。

    同じ周波数の同じ不快音でもどの種類の音が苦手かは人それぞれで、黒板の音が平気な人もいればビニールの音が平気な人もいます。

    そして、あなたは同じ「キィーッ」の中でもブランコや電車のブレーキなど、金属音が苦手なタイプと考えて良いでしょう。

    少し説明した通り、痕跡反応は人間の本能なので対策はありません。

    強いて言えば、先ほどお話したように「これを聞いたら不快になるぞ」と思い込みすぎないことです。(不快になるのは仕方ありませんが…。)

    そうすることで、「イヤーーッ‼」と大きく反応するよりは少し不快感が和らぎます。
    それでも不快に思うことは人間の本能であり仕方のない事ですから、結局は聞かないようにするのが一番です。

    幸い、金属音の中でも「キィーッ」が駄目な人は結構いますので、周りも配慮してくれると思います。

    嫌な記憶を呼び起こす音

    ぐったり寝込んだキジトラねこ
    扁桃体の働きによって人間が本能的に不快に感じる音のことをお話しましたが、本能ではなく自分自身の体験によって不快に感じる音ももちろん存在します。

    例えば、救急車のサイレンの音。「誰か自分の知り合いが…?!」と思うと嫌な気持ちになりますよね。私は人一倍心配性なので、夜にこの音を聞くと胸騒ぎがします。

    このように人間の本能ではなく、音から何かを連想して不快だと感じる音についてお話します。

    文化によって反応が異なる不快音

    嫌な音と言えば、「ピーーーッ」という高い音。

    「放送時間外のテレビから流れる音=深夜の不穏な気持ち」「子供の頃に遊んだゲームのセーブデータが飛ぶときの音=不穏な胸騒ぎ」など、負のイメージを持つ人は少なくないようです。

    それに似ているということで、ちょっと昔のビデオの最後に流れる音やプリンターの起動音まで苦手という方もいます。

    この「『ピーーーッ』=不穏な気持ち」という発想は自分の経験からくるものですから、カラーバーを知らない、あるいはゲームのセーブデータが飛ぶことを知らない今の子供たちにとっては全く怖くないようで、この音は大人にしか分からない不快音という事になります。

    このように世代によって違うものもあれば、文化によって違うものもあります。

    例えば、ほとんどの日本人が苦手な緊急地震速報のアラーム音。

    この音を聞くと反射的に嫌な気持ちになるのは地震大国日本ならではで、地震が少ない国の人にとっては不快音ではありません。そもそも、あの独特の音は日本でしか使われていない可能性もあります。

    反対に、日本ではお蕎麦を食べる際に威勢よくすするのが良いとされていますが、音を立てずに食事をすべきという考えがあるヨーロッパの人からすると、このそしゃく音はとても不快です。

    このように住んでいる地域の文化の違いによって、反射的に「嫌だ」と思う音も違ってきます。

    個人的な体験

    東日本大震災の際に各番組のスポンサーがCMを自粛し、広告料が発生しないACのCMがたくさん流れた事は皆さんまだ記憶に新しいと思います。

    私も東北に住んでいるのですが、やはりあの不便で不穏な生活の記憶とACのCMはどうしても結びついてしまいます。

    被害が大きかったところでは、被災者の方から「震災を思い出すからACの音を出さないでくれ」という声が上がったそうです。

    このように個人的なトラウマと音が結びついてしまうと、その音に対して不快感を持つようになってしまいます。

    事故に遭った人は衝突音が嫌でしょうし、学生時代にいじめを受けていた人は携帯電話の着信音すら怖いかも知れません。

    嫌な記憶と金属音が結びついていたら

    ねこの後頭部
    「キーッ」というものに限らず「ガチャン」「カラン」など全ての金属音が苦手な場合、または金属自体が苦手な場合は、あなたが以前に金属に関して何か嫌な体験をして、それ以来「高いところ=怖い」というイメージと同じように「金属音=怖い」という思いが理屈抜きに出ている可能性が高いです。

    本能ではなく自分自身の体験から脳が反応する訳ですが、この場合はどのように対処したらいいのでしょうか。

    症状が軽い場合

    黒板やガラスの音ではなく、金属の音が苦手。

    周りの人に理解されないので「自分だけ?」と心配になるけれど、恐怖症というほど嫌ではない。
    このように症状が軽い場合、「どうして金属音が嫌なのか?」という心理部分は深く掘り下げない方がスムーズに金属音への苦手意識を克服できます。

    解決法としては、「金属音=理屈抜きで怖いもの」という条件反射を「金属音=理屈抜きで楽しいもの」という条件反射に書き換えること。

    最初は少し我慢になりますが、金属と楽しい事を掛け合わせると良いです。

    実際に探偵ナイトスクープで、15年ほど金属音に悩まされていた方が数時間のコインゲームで苦手を克服したことがあるみたいですよ。

    生活が難しい場合は精神科へ

    「金属音を聞くとゾッとする~!」と明るく話せる人もいれば、反射的に金属を拒絶してしまい、我慢できないくらい金属音が苦手な人もいます。

    程度は人それぞれですが、もしも金属音が苦手なせいで人と一緒に食事ができない、料理ができない、外食に行けない、買い物に行けない…など日常生活に支障をきたすようでしたら、精神科にかかることをお勧めします。

    食器を全てプラスチックに替えてなんとかやり過ごしている人もいるようですが、無理をせず精神科へ行ってきちんと診断してもらってください。

    もしできるようでしたら、その後原因を探りにカウンセリングも受けた方が良いです。

    金属恐怖症の場合、過去に金属に関して嫌な記憶があるかもしれません。金銭が絡んでくると金属音が苦手になる人もいるようです。

    長い単語や数字に対する恐怖症もあるくらいですから、金属の恐怖症も嫌な記憶があれば珍しい事ではありません。

    大変だと思いますが、克服したらお食事もお出かけも楽しくなります。頑張ってくださいね。

    まとめ

    1. 扁桃体の働きや音の周波数によって、高い音を不快に感じることがあります
    2. 扁桃体に関わる場合は、金属音を意識し過ぎないことが大切です
    3. 自分自身の体験によってある音を不快に感じることがあります
    4. 過去の嫌な体験と金属音が結びついている場合は、程度に合わせて正しく対処しましょう

    音を不快に感じるメカニズムと原因、金属音の苦手対処法についてお話してきました。

    人間の脳は不思議なもので、遠い昔の本能によって動かされたり、音に騙されて様々な感情が湧いてきたりします。

    これは自然のことなので仕方ないのですが、やはり嫌なものは排除して少しでも爽やかに毎日を送りたいと思いますので、ここでお話したことを少しでも参考にしていただけると嬉しいです。

    金属音への苦手意識を薄めて、過ごしやすい生活を手に入れましょう!




    -雑学
    -, ,