舞台の世界で裏方さんたちが使う「コロス」。
普段は聞かない言葉が飛び交う舞台用語。
その中で最もシロウトにとって物騒に思われる言葉かもしれませんね。
この記事ではそんな「コロス」や聞くと勘違いしてしまいそうな舞台用語についてまとめていきます。
舞台用語における2つの「コロス」
舞台用語における「コロス」は2つの意味でとられる可能性があります。
「コロス」=脇役という意味
そのまま「コロス」という単語として使われる場合は、劇中において、固有の役を演じるのではなく、感情のない台詞を言うだけの生きた風景、つまりは名もないわき役のことを指す言葉になります。
この「コロス」は元々ギリシア劇の合唱隊の「choros」から来たものと言われています。
このことから枠外で解説をする人を「コロス」と言うことがあります。
「コロス」=動きを殺すという意味
もう1つの「コロス」は漢字に変換した「殺す」で、その意味は舞台上の物を動かさないように釘やロープで固定することを指す言葉になります。
「そこの照明はちゃんと殺しておけよ」と言うと、照明を固定しておいてくれという意味になるわけですね。
また、演技の上でも「殺す」という言葉を使う場合もあり、この時は勝手な動きや芝居をしていることを注意する意味になります。
演技が固定できていないという意味にも取れますし、勝手な演技のせいで他の演者を殺しているという意味としても取れるものになります。
この中で最も使われやすいのは物を固定する意味での「コロス」になります。
「物騒」に聞こえる舞台用語
「コロス」の他にも普通に聞くと聞き返すのが怖くなるような用語がたくさんあります。
ばらし
固定の「コロス」と対になると言っていい言葉で、公演が終わった後のセットを片づけることを指す言葉です。
飼い殺し
一般的には役不足の場でしか与えずにいることを指しますが、舞台用語としては、舞台裏で転換などの演出のために隠れているスタッフが待機していることを指す意味で使われます。
舞台裏のスタッフが時が来るまでは動きたくても動けないのでその間は飼い殺しと同じ状況ということです。
また、アクシデントとして舞台上の演者やスタッフが舞台装置の上に残ってしまって、舞台装置が動かせない状況のことを指すこともあります。
絶対に起こらないとは言い切れないなので、この言葉が使われています。
楽屋落ち
意味としては身内の人だけが理解できるネタや冗談のことを指します。
「内輪受け」の方が一般的に使われているのであまり聞かない言葉かもしれません。
昨今はこうした楽屋落ちのトークもファンの間では需要があるもので、何らかの映像に残されることもありますが、本来は良くない意味で使われるものです。
嫌う
舞台において重要な要素の照明で使われる言葉で、明かりを当てないようにすることを意味します。
「そのシーンでは上手を嫌って」というと、該当のシーンでは上手に照明を当てないようにするという意味になるということです。
他にも道具に対して「嫌う」と言えば、そこに置かないようにするといったようにできるもので、「コロス」と同じ場面で分けて使うことができる言葉です。
壊れ物
これは舞台で壊れてしまった物を指すわけではなく、公演中に壊してしまう、もしくは壊れてしまう可能性のある物を指す言葉になります。
演出としてガラスのコップを割るといったものがこれに当たるもので、それ以外にも武器として激しく振るうものは壊れる可能性が十分にあるものとしてこの言葉が使われます。
公演が数回に渡るものになると、それだけ「壊れ物」が増えることになるわけです。
消え物
壊れ物と似たものになりますが、こちらは形すら残らなくなるもの、つまりは飲食物や溶けてなくなるロウソクなどを指す言葉です。
鉛筆で文字を書けばそれだけ芯を消費するのでこれも「消え物」に当たるなど、意外と多くのもがこれに該当することになります。
目つぶし・目くらまし
演出として客席の方に照明を当てて舞台から一旦目を逸らせることにこの言葉を使います。
これ以外にも舞台のある部分に注目させ、他の転換を行うことに使われる言葉です。
前者の場合は人によって不快感を煽る原因になることもあるので慎重に演出されるものですが、後者については頻繁に使われる手法で、視線をコントロールするという舞台独特の手法であると言えます。
まとめ
今回は勘違いしそうな舞台用語についてまとめていきました。
厳しい業界だからこそ少しキツく聞こえる言葉に戸惑うかもしれませんが、使うことの多い言葉ばかりです。
周りに勘違いしている人がいる場合は優しく業界での意味を教えてあげましょう。