「鳥頭」という言葉をご存知ですか?
読み方は「とりあたま」なのですが、一体なんのことでしょう?
もしあなたが他人から「鳥頭」と言われてどういう意味なのか気になって調べているとしたら…あなたは相手に腹を立てても良いのですよ!
でも、意味を知るとそう悪い言葉でもない気がしてきます。
ことわざのようで堅苦しい印象の言葉ですが、是非イメージを膨らませながら読んでみてください。
鳥頭の意味と使い方
「鳥頭」という耳慣れない言葉はどんなときにどんな意味で使うのでしょうか?
実はまったく知らない言葉ではないかも知れません。
今まで一度は口にしているか、家族や周囲の人の口から聞いた言葉なのでは?
「鳥頭」の意味
「鳥頭」という言葉は「物忘れが激しい人物」ですとか「頭の弱い人物」に対して使う言葉です。
簡単に言うと「お馬鹿さん」というところでしょうか。
「物忘れが激しいのに忘れないような工夫が足りない」
ですとか
「勉強不足で努力が足りない」というような批判的な意味合いよりも
「この人はそういう人だから仕方ない」というようなニュアンスを持っていますね。
使い方① 他人に対してからかう
他人に対して「頭が悪いなあ」と揶揄して使う場合、今の世の中ですとコンプライアンスに引っかかってしまいそうな言葉ですよね。
しかし、「馬鹿」という言葉を使うより「鳥頭」という言葉を使うと少し和らいだ感じがして優しささえ感じませんか?
馬鹿にするというよりもからかうというニュアンスになりますね。
どちらにせよ「鳥頭だなあ」なんて言われても、どういう意味なのかすぐに解る人は今はそうそういないような気がしまが。
使い方② 自分に対して自虐する
一方、同じ言葉でも自分に向けて使うと上手な自虐になります。
自分のことを物忘れが激しいと感じている人は多いと思います。
冷蔵庫を開けた途端何を取るために開けたのかわからなくなったり、人の名前や顔を覚えられなかったり。
よくある物忘れと「鳥頭」は少しレベルが違うのですが、
自分のことを「鳥頭」と表現すると「物覚えが悪くて参ってしまいますよ」というようなソフトな自虐の表現ができますね。
「鳥頭」とは?言葉の由来
「鳥頭」の鳥は何の鳥?
私の母は酉年なのですが、自分は酉年だから物忘れが激しいとよく言っています。
ところで酉年の「酉」はニワトリですよね。
「鳥頭」の鳥はすべての鳥を指すわけではなく、鶏だけを指すようです。
実際、記憶力の良いカラスやオウム、ハトなどは知能が高いので「鳥頭」とはかけ離れた賢さですよね。
鳥頭のことわざ①
「三歩で忘れる鳥頭」ということわざを聞いたことがあるでしょうか。
ニワトリは記憶力が弱く、三歩も歩けば忘れてしまうという俗説から生まれた言葉です。
「鳥頭」とはまさに物忘れの多い人を指して言う言葉です。
「鳥頭」という言葉だけではピンと来ないかも知れませんが…
「三歩歩くと忘れる」という意味の言葉を付けると、意外に若い人も知っている言い回しのようです。
実際、ニワトリの記憶力が悪いかどうかはわかりませんが、他の鳥と比較するとあまり知能が高くないことは確かなようです。
鳥頭のことわざ②
「ニワトリは首を切られても気づかずに三歩歩く」という俗説もあります。
何だかひどい例えですが、一歩二歩三歩と普通に歩く様子が目に浮かんでしまいます。
たしかに少し馬鹿っぽいというか鈍いというか…。
物忘れが激しいという意味だけでなく「ぼんやりしていて頭が悪い」という意味合いが強いですね。
なぜニワトリが物忘れの象徴なの?
鳥頭の「鳥」はニワトリを指しているのですが、なぜニワトリは物忘れの代表格のような扱いをされているのでしょう?
実際にニワトリは頭が悪くて物忘れが激しいのでしょうか?
他の動物と比べて賢くない
ニワトリは古くから家畜として人と暮らしてきた歴史があります。
しかし人と暮らしてきた歴史が長いわりに感情表現に乏しく、
犬のように芸を覚える訳ではありませんし、
猫と違って人に甘えたりというコミュニケーションをとれるわけではありませんね。
他の動物と比べてちょっと残念な生き物という位置づけになってしまい
「物覚えが悪い。頭が悪い」という存在になってしまったようです。
実際ニワトリを飼っている人は、犬や猫には無いニワトリのちょっと間抜けで笑える感じを楽しんで飼育しているようです。
しかし中にはペットとして飼い主さんと散歩するくらいお利口なニワトリもいるんですけどね。
見た目のせい?
鳥頭の由来は見た目そのまま、体に対して頭の割合がとても小さいので、脳みそが小さい=頭が悪いと解釈されたとも言われます。
また、首を前に突き出しながら歩く様子も何となく賢くなさそうなイメージですよね…。
イラストで鶏を描くときもなぜか間抜けな表情で描いてしまいませんか?
見た目やイメージで頭が悪いと思うのはいささか失礼な話ですね。
(例・伊藤若冲の絵画)
同じニワトリでもオナガドリなどは古くから掛け軸に美しく描かれたりしていますので、
鳥頭のモデルはやはり、家畜として庭先で飼われているようなニワトリ達なのでしょう。
鳥頭を良い意味で解釈してみよう
どうやら「鳥頭」はあまり良い意味でつかわれる言葉ではなさそうです。
しかし、意味を知ってみると悪い面ばかりではない気がしませんか?
私は意味を調べながら、ストレスフルな現代人にとって必要なユルさを感じました。
良い意味で「鳥頭」になると気持ちが楽になる気がします。
悪い記憶は忘れよう
現代人にとって人生はつらいことの連続です。
嫌な目にあったり人を恨んだり、いつまでも根に持っていては身が持たないと思いませんか。
人間には忘却という自己防衛本能が備わっているんです。
嫌なことは脳内で変換されて都合の良い記憶にすり替えたり、少しずつ記憶から消えて行ってくれたり。
そうしなければいつまでも引きずって、新しいことをインプットできなくなるからです。
思い切って鳥頭になって、過去のことはあっけらかんと忘却して目の前のことに集中してみるのはいかがでしょうか。
鈍感で強いメンタルを手に入れよう
首を切られても気づかずに三歩歩けとまでは言いませんが…、
多少鈍感なのは過敏な性格よりずっと精神に良いと私は思います。
私は結構鈍感な性格です。もしかしたら陰で自分のことを悪く言う人もいるのかも知れませんが、気づいていないんですよね。
気づかなければ他人を疑うこともありませんし、びくびくと他人に合わせる必要もありません。
ニワトリのようなとぼけた鈍感さはメンタルを強くしてくれます。
たとえ周囲に「鈍い」と言われても自分が間違ったことをしていなければ良いじゃありませんか!
鳥頭の意味 まとめ
- 「鳥頭」はお馬鹿さんというニュアンスで他人を揶揄したり自分を自虐する言葉です
- 「鳥頭」の由来はニワトリについての俗説から来ています
- あまり賢くないという印象でニワトリが「鳥頭」のモデルになってしまいました
- 良い意味で「鳥頭」的に生きるとストレス社会を乗り切れそうです
そういえば日本で一番鳥頭が多い職業がありますね。
それは政治家。
選挙運動中に声高に叫んでいた公約も、当選してしまえば知らんぷり。すっかり忘れちゃってますね。
都合の悪い事は「記憶にございません」なんて、記憶力悪すぎですね。
国民の冷ややかな視線に気づかないなんて、まさに「お馬鹿さん」かも知れないですね。