剣道の団体メンバーで、副将を任された方!
「お前は副将だ」と言われた時、どう思いましたか?
私も学生時代は剣道をしており、ずっと副将だったのです。
剣道始めたての頃に「Bチームの副将だよ」と言われた時は、「学級長とそれを補佐する副学級長」のようなものを想像し、「わーい、副大将だー!」と喜んでいました。
…皆さんの副将のイメージはどうでしょうか。
「副大将」というイメージでしょうか、それとも「次鋒に次いで弱い奴」というイメージでしょうか。
強いか弱いかはさておき、副将の役割や大変さ、こんなことを考えながら戦っている、という事を知れば、副将に誇りを持てると思います。
という事で、今回は副将の役割や向いているタイプなどと共に「副将は強いのか?」という疑問についてお話して行こうと思います。
副将の役割は?
まず始めに、団体戦における副将の仕事は何でしょうか。
初めて副将をするという方は、ぜひ目を通してくださいね。
戦況を把握し、自分がするべきことを考える
副将は、勝負を決めるとても重要な場面でまわってくるポジションです。
先鋒次鋒は一本取りに行くのが基本ですが、副将には「こういう試合運びをすべき」という決まった過程がありません。
試合の仕方が縛られていない代わりに、「何をすべきか」という目的は明確です。
大将も「自分は何をするべきか」が決まっていますが、副将は先鋒~中堅の試合結果次第で最も多くのパターンがあり、冷静に戦況を分析しなければなりません。
ですから、畳で応援する時もスコアボードの横で待機する時もスコアボードをちらちらと振り返り、今の戦況を把握しつつ「自分は何をするべきか」を模索する必要があります。
臨機応変に試合をする
控えているときに戦況を把握し、自分が何をするべきかが決まったら、それに応じた試合をします。
一本取りに行く時もありますし、絶対に負けてはいけない場面では守りも必要になってきます。
また、副将には様々な剣道をする選手がいるので、様々な方法で戦わなくてはいけません。
副将に向いているのはどんな人?
では、副将にはどんな人が向いているのでしょうか。
あまり特徴が無いポジションなので誰でもできるような気がしますが、やはり向いている人でないと案外難しいポジションでもあるんです。
副将向きの剣風は?
先鋒・次鋒は、取りに行ける「攻め剣」タイプが向いていますね。
大将も、ここぞという時に取れる人が選ばれるでしょう。
しかし副将は、剣風に関しては特に「こういうタイプが向いている」と言うのは無いと思います。
私も数年間様々な副将と剣を交えてきましたが、これと言った特徴はないように感じました。
強いて言えば落ち着いてしっかりと構えている選手、と言ったところでしょうか。
あまりやみくもに掛かってこない印象があります。
副将向きの性格は?
性格としては、冷静で頭の良い人が向いています。
ちなみに私は学生時代の卒業文集で、「冷静な人ランキング」みたいなものに入っていました。その性格を買われたのでしょうか、やはり副将は冷静な人が良いようです。
頭の良さも少しだけ自負しております。フフフ。
なぜ副将は冷静で頭の良い人が向いているのか。それは前項の「副将の役割」を読んでいただくと分かると思います。
やみくもに自分の剣道だけを通そうとしても、副将ではなかなか勝てません。
戦況と相手をよく見ながら、それに合わせて戦うのが重要なのですね。
戦況に応じて試合をする
先ほどからお話してきた通り、副将は戦況を見ながら自分がするべきことを考え、それに合わせた試合をすることが大切です。
では具体的に、どのような状況でまわってくるのでしょうか。その時、どのように応じたらいいのでしょうか。
大まかなシチュエーションと、その対策をご紹介します。
3勝で迎えた場合
この場合はチームの勝ちが確定しています。
この状況、単純に考えると負けても良いのですが、「チームの勝ちが決まっているから」と勝てる相手に対してだらだらとした消化試合をし、負けてくるのは良くありません。(強い相手に粘って仕方なく負けたならまだしも…)
では、ここで気を抜くとどんなリスクがあるのでしょうか。
- 後の試合に影響する
- 経験値を積むチャンスを捨てている
- リーグ戦の場合
トーナメントの試合が終わって廊下にたむろしている時、
「あそこのチーム弱っ(笑) 余裕だったわ」
「途中俺手抜いてやったわ」
といった会話をしている子達をたまに見かけます。
これは完全に武道の精神に反することであり、こんなことでは次の試合は負けてしまいます。
勝ちが確定していても最後まで相手に真摯に向き合い、良い試合をしてくるのが礼儀です。
消化試合はチームの士気を下げ、次の試合に繋がりません。
一試合一試合、様々な相手と真剣に剣を交えてこそ経験値が積まれていきます。
格上の相手であっても、格下の相手であっても。
それを適当な試合で流していると、せっかくの経験値を積むチャンスを失ってしまいます。
勝ち上がりのトーナメント戦でなく、複数のチームと戦うリーグ戦の場合、一本を大切にしなくてはなりません。
もしも勝ち数が同じチームがあったら、勝者数で勝敗が決まりますよね。
目先のチームの勝利だけを見て、無駄に負けてくると痛い目に遭います。
さらに勝者数も同数だったら、取得本数がカギになってきますね。
これも同じことです。
一試合一試合「一本でも多く」と真面目に試合をしていなければ、ここで敗退になる可能性だってあります。
副将が勝てばチームの勝利が決まる
2勝1分、または2勝1敗で迎えた場合、副将がチームの勝利を決めることができます。
「絶対にここで決めてやる」という気持ちで、気を引き締めて行きましょう。
1勝1敗1分または3分で迎えた場合
両チームとも一歩も引かない展開、勝って大将にまわしたいところです。
できれば二本勝ちが理想ですが、一本勝ちでも十分でしょう。
しかしここで引き分けてしまうと心臓に悪い大将戦になるので、引き分けも避けておきたいところです。
そして、負けてしまった場合。大将は絶対に勝たなければいけません。
大抵どのチームも大将には強い選手を置いていますから、チームの大将に簡単に「お前が勝ってこい」とは言えません。
大将に勝負を託さない副将でありたいですね。
負けたら終わり、または分けたら終わり
1勝2敗でまわってきた場合、副将は絶対に負けてはいけません。
「負けてはいけない」のであって一応「分けてもOK」なのですが、後の大将の負担が大きいのには変わりありませんのでしっかり構えて防御しつつ、取れる機会を見逃さないようにしましょう。
また、2敗1分でまわってきた場合は、副将が引き分け以下でチームの負けは確定します。
引き分け狙いでも意味がありませんので、ここは取りに行かなくてはいけません。
「負けてはいけない」場合も「分けてはいけない」場合も、万が一取られた後は気持ちの切り替えが大事です。
一本取られて怖気づき、守りに入って二本目を取られるのが最悪のパターンです。
絶対に取り返さないとチームの負けは確定なので、のんびりしている暇はありません。
試合中でも気持ちや考えを切り替え、冷静に取り返しに行きましょう。
取得本数について
勝者数が同数の場合、取得本数で勝敗が分かれます。
副将はこの取得本数を気にしなければならない場合も多々あります。
場合によっては「一本も取られてはいけない」ということも十分あり得ます。
これを含むときりがないので割愛しますが、何度か副将をしていると様々な場面に出会います。
取得本数が生むドラマについては、ぜひご自身で体験してください!
副将が強いって本当?
さて、このように重要な任務を託される副将ですが、よく「副将は強い!」「次・副は弱い!」と様々な意見を耳にします。
しかし実際どのポジションが一番強いかはチームの戦略によりますので、一概に「このポジションが強くて、このポジションが弱い」とは言えません。
「一般的にはこういうことが多い」という例をご紹介させていただきます。
普通のチームだとあまり強くないことが多い
普通のチームと言うのは、そこそこ頑張っている学校や道場のことです。
これらのチームは基本的には先鋒・中堅・大将の三本柱で支えられており、副将にはあまり強くない人が置かれていることが多いです。
3人チームだと不戦勝になるポジションですし。
ちなみに私が初めて団体戦に出た時は副将でした。理由は、初心者で弱いから。
そしてチームのキャプテンになった時も副将でした。理由は、副将からはそこそこ取ってこれるから。
ですから「あまり強くない」といっても超初心者からちょっと強い人まで範囲は広く、「副将だと少し気が楽だな」という程度です。
「めっちゃ強い!」という人は滅多にいませんが、たまにポイントゲッター要員もいるという事を忘れずに。
強豪チームだと大体強い
そんなちょっと舐められがちな副将ですが、全国大会に出るような強いチームは違います。
こういったチームは団体戦メンバーに入っている時点で5人全員強いのですが、副将は特に強いです。
何故なら選手層が厚いチームは、後ろ3つ、つまり中・副・大で勝負に来るから。
インターハイなどを見る限り、先鋒と次鋒は将来有望な2年生、中堅、副将、大将には3年生を置いていることが多いです。
特にツートップを副将と大将に置き、副・大でコンビを組ませている印象です。
私の2つ上の先輩方は全国大会に出場したのですが、その時は一番強い先輩が副将をしていました。
ですから、
「副将は弱い」と思っている方!
否定はしませんが、全国レベルになると違います。
ぜひ一度、YouTubeで全国大会の試合を見てください!
まとめ
- 副将は、戦況を分析しながら自分の仕事をこなしてくるのが役目です
- 副将には冷静で頭のいい人が向いています
- 副将は様々な状況で出番が回ってくるので、臨機応変に試合することが大切です
- 副将は弱いというイメージがありますが、強いチームは良い選手を副将に置きます
一見プレッシャーが大きくてしんどそうな副将ですが、向いていれば苦ではありません。
私は自分の剣道のスタイルが無く、「自由にやってらっしゃい」と試合に送り出されても...何をすれば良いのか分からず、あたふたする指示待ち人間。
だから「決まったスタイルが無いけれどやるべきことは決まっている」副将が好きでした。
最近は、「暴れてくるぞ!」という先鋒タイプよりも、こういった副将タイプの子が増えている気がします。(責任感もありますし。)
ですから、「副将不安だな」という心配は無用!
やってみれば案外気楽、それでいてやり甲斐のあるポジションです。
「副将は弱い」というイメージを自分で覆すつもりで、落ち着いた、頼れる副将を目指しましょう!