ゆとり世代がとるびっくり行動の数々の中でも、仕事に対するやる気のない態度には唖然としてしまうことがありますよね。
働かないゆとり世代に対して手を焼いている上司や、迷惑を被っている同僚も多いのではないでしょうか。
「これからの日本は大丈夫なのか!」と叫ぶ前に…心配なのは本当にゆとり世代なのか?という話をしたいと思います。
もちろんゆとり世代には困った特徴がありますが、嘆いてばかりでは解決しません。
ここは人生の先輩としての腕の見せ所なのではないでしょうか!
仕事への比重が軽いゆとり世代
まずは、職場での「ゆとり世代が働かなくて困る」という事例を挙げてみましょう。
本当にこんな社員がいるの?と思うかも知れませんが実際います、本気でこんな態度の新人…。
プライベート重視しすぎ
残業をしないのはゆとり世代の特徴ですが、あまりに非常識な場合があるので批判されるようです。
- トラブルがあって社員全員が残業しているのに「アニメが観たいから」という理由で定時に帰った。
- 新商品発表会の案内状を皆で作っていたら一人だけ定時で悪びれもせず帰ってしまった。
- 仕事を教えようと声をかけたら「もう退勤の時間なので」と断る
ゆとり世代はどうやら1分1秒でも無駄に会社にいるのはイヤなようですね。
簡単に休み過ぎ
体調不良で休みたいという連絡をメールで送ってくるという仰天行動は有名ですよね。
自分が休むと周りの人にどんな迷惑がかかるか、などの想像力が欠如しているようです。
私の職場のゆとり世代の子は「熱が出そうな気がするので明日休んでもいいですか」とリーダーに有給申請を出していました。
寝坊して「今日は行っても仕方ないので休みます」と言ったゆとり世代もいるとか…。
協調性がなさすぎ
ゆとり世代は集団で何かをするのも苦手ですし会社の飲み会に誘おうものなら「えっ、行かなきゃだめですか」という反応が返ってくるでしょう。
本人の歓迎会だというのに乾杯直後に「この後友達と飲みにいく予定があるので」と退席するゆとり世代…。
彼らは仕事とプライベートはしっかり分けていますのでそこは無理強いしなくてもいいのではないでしょうか。
ゆとり世代の時代背景
ではなぜ、ゆとり世代には上記のような考え方を持った社会人が多いのか?について考えていきましょう。
「やる気がない」「甘えている」と声を荒げていた上司の皆さん、少し自省することがあるかも知れませんよ?
ゆとり教育について
ゆとり世代とは、ゆとり教育を受けた1987年4月2日~2004年4月1日生まれの世代のことを指します。
ゆとり教育とは、学校を週5日制にしたり学習内容を削減することで、体験学習やクラス討論などの「生きるために必要な力」を学ぶことに時間を使った教育方針のことです。
ゆとり教育の弊害として学力の低下ばかりがクローズアップされ、おバカタレントなどが登場することで「ゆとり世代はおバカ」という心ない認識が根付いてしまったように思います。
バカだから仕事で使えない、バカだからものの考え方がずれていると批判するのはあまりにも安直です。
本当の弊害は、あまりにも「社会の流れに流されないこと」に重きを置きすぎて他年代など周囲との協調性や他人の気持ちを慮ることを軽視してしまう結果になってしまったことではないでしょうか。
ゆとり世代の困った特徴はゆとり教育の影響を受けた結果であって、ゆとり世代の性格のように批判するのは間違いであることは確かです。
バブル後に教育を受けたゆとり世代
バブル時代は頑張って働けばその分お金がもらえた時代でした。
景気の良かった80年代後半~90年代前半に若手社員だった世代は現在40代後半~50代前半なので、ちょうどゆとり世代の上司の世代となっているでしょう。
しかし、ゆとり世代はバブル崩壊後の不況やリーマンショックなどネガティブなニュースがあふれる世の中で教育を受けました。
ですから仕事を頑張った分お金がもらえるという感覚には疎く、プライベートや自己実現のほうが大事という考え方になるわけです。
仕事に対する熱量が低い、やる気がないと言われがちなのはそのためです。
そんなゆとり世代に対して「頑張り」だけで評価しようとするのは間違っています。
バブルの世の中とは違うのです。
自分たちの成功体験を押し付けるのは時代錯誤というものでしょう。
ゆとり世代は短所ばかりではない
ゆとり世代の考え方が育った背景をよくよく考えてみると、彼らに対する怒りも少し治まってきますよね。
ゆとり世代にはゆとり世代なりの事情があったわけですが、上司世代はゆとり世代のことをあまりよく知らないのではないでしょうか。
つづいて、あまり仕事では見せないゆとり世代の「おや?」と思うような意外な一面を考え直してみましょう。
ゆとり世代は仕事の時間以外は何をしている?
残業を嫌い休日出勤なんてもってのほか、そんなゆとり世代たちは仕事以外の時間何をしているのでしょうか?
プライベート優先といいますが、そのプライベートとは?
彼らは家でゆっくり眠りたくてさっさと退勤するわけではないようです。
仕事をおざなりにしている態度のゆとり世代は、仕事以外のことに力を注いでいることが実は多いのです。
ジムで体を鍛えたり、好きなことの資格を取るために勉強したりスクールに通ったり。音楽活動をしていたりイラストを描いていたり。
自己実現に時間を割きたい彼らは一言で言うと「就業時間は自分らしくいられない」「残業するほど暇じゃない」というわけです。
自分らしく生きることを求め続けるゆとり世代にとって「自分の好きなこと」で成功するのは人生においての目標です。
ですから、いくら「働かない」と言っても怠け者とは違うんですね。
NOと言えるゆとり世代
周囲から批判されがちなゆとり世代の特徴のひとつに「飲み会に付き合わない」というものがありますよね。
職場の人間関係を保つのも大事な仕事のうちと教育されてきた上司世代は、ゆとり世代と歩み寄るために飲みに誘うのでしょうが、就業時間とプライベートを区別したいという考えのゆとり世代は何の迷いもなくお断りするようです。
上司目線で考えると「けしからん」ことのようですが、正直言って喜んで上司と飲みに行く人は少ないのではないでしょうか。
本当は「いやだなあ」と思いながらいやいや付き合ってあとで悪口を言われるより、はなからハッキリと断ってくれるゆとり世代は却って潔いのではないでしょうか。
ゆとり世代は集団での和を保つことよりも個性を尊重されて育ってきたので、周囲の目や言葉に流されることなく冷静でマイペースなのです。
社畜にならない
以前、24時間仕事のプレッシャーに押しつぶされ自殺してしまった若者のニュースを覚えている方は多いでしょう。
もし、あの若者に「転職する」という選択肢があったなら…と思います。
死ぬまで一つの会社で働かなければという概念はゆとり世代にはありませんので、身軽でいつでも転職することに抵抗がありません。
よくゆとり世代はメンタルが弱いと言われますが、果たしてそうでしょうか。
確かに怒られることに慣れていませんからストレスに対する耐性は弱いです。
しかし、そこから逃げ出すという方法を知っているのはゆとり世代ならではでしょう。
うつ病予防の基本として「無理をしない」という大前提がありますが、ゆとり世代はその性質を持ち合わせており、昔ながらの根性論で精神を滅多打ちにされるリスクを避ける能力に長けています。
ゆとり教育の目的は何でしたか?
そもそもゆとり教育の目的とは何だったでしょうか。
「学校に拘束される時間を減らし、社会の変化に対応できる人材になってほしい」というこれからの時代を生きるための柔軟な考えを持った人材を育てるためだったはずです。
詰め込み教育による学歴偏重の考え方や社畜をなくすため、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し行動する能力を身に着ける…。
いかがですか?
ゆとり教育の目的を見返してみると、ゆとり世代の皆さんはゆとり教育の目的に沿ってきちんと成長したのではないでしょうか。
ゆとり世代は実は有能
ゆとり世代に対して少し考え方が変わってきたでしょうか。
もちろん困った存在ではありますが、彼らなりの事情や知らなかった良い一面を知ってみると、考えようや行動次第では良い戦力になってくれそうではありませんか?
安直に短所をつついて「ゆとり世代は…」とひとくくりに批判するより、彼らのことを熟知して上手に教育してこそ、職場の長といえるでしょう。
年長者としての腕の見せ所ではありませんか。
ここでは、ゆとり世代の長所についてお話ししますので是非理解を深めていただきたいと思います。
ITへの適応能力が高い
今やどんな職種でもパソコンやタブレットの使い方が分からない人材は後れを取る時代です。
まさかエクセルが使えないから資料を部下に丸投げしているなんて上司はいませんよね?!
「そんなわけないだろう!ちゃんとソフトを使いこなしているぞ!」と怒っている方もいるかも知れませんが、ではお使いのソフトがサポート停止になって他のソフトを導入することになりました、となった時すぐに適応できますか?
ゆとり世代は小学生、中学生の頃からスマートフォンやパソコンで遊びながら触れて育っていますから、テクノロジーツールに対して全く敷居がなく、めまぐるしく変化するIT時代への適応力もあります。
ハード面での知識も当たり前に持ち合わせていますし、単純なソフト面だけではなくプログラミングの知識もあるので上司の世代とはITを使いこなす能力は比較にならないことが多いですよね。
パソコントラブルで困ってゆとり世代に助けてもらったという経験は相当数の上司世代がお持ちなのでは?
多様性がある
仕事以外で様々な世界に触れているゆとり世代は多様性が求められる現代社会において評価される人材だと言えます。
小さい頃から多くの選択肢の中から好きなことを選び追及するという自由な環境で育ったゆとり世代は、昔ながらの型にはまった考え方をしませんので物事の考え方に柔軟性があるのです。
発想が自由なので一見眉をひそめるような発言や行動があるかも知れませんが、それは新しいものを生み出す力になるかも知れません。
「こうでなければいけない」と縛り付けずに、自由に発想し行動できる機会を与えてみると素晴らしい能力を発揮してくれるかも知れません。
また、グローバル化が進んでいる世の中において古い日本の考え方がなく欧米的なライフスタイルを持ち合わせているゆとり世代は、世界に取り残されないために非常に大事な存在ではないでしょうか。
好きなことには一生懸命
自分の興味のあることに対してはとことん追求して時間を惜しまないゆとり世代。
「自分らしさ」を大切にしているため、もしも仕事にその楽しさを見出せたならもの凄い能力を発揮すると思いませんか?
今の仕事に対する熱意が足りないのは仕事や会社に魅力が無いからとも考えられます。
ゆとり世代の「仕事<趣味」を「仕事>趣味」または「仕事=趣味」にできれば良いわけです。
難易度が高いように思えますが、要は仕事に対する絶望感や職場に対する拒否反応を取り除いてあげることです。
それはお互いにとってより良い仕事をするチャンスになるのではないでしょうか。
まとめ
- ゆとり世代の「働かないエピソード」には驚きますが、実際に存在します
- ゆとり世代が育った時代背景を知ると、その性質は仕方がないと思えてきます
- 知らなかったゆとり世代の意外な一面を知ると、短所ばかりではないとわかります
- ゆとり世代の長所を活かせば、お互いにより良い仕事ができるかも知れません
ゆとり世代にとって、仕事より他のやりたいことの方が魅力的で自分のためになると考えているうちは、いつまでたっても会社をおざなりにしたままでしょう。
しかし、上司や職場がゆとり世代について理解し、解決策を考えて工夫をすれば「仕事はつまらないもの」「就業時間は自分らしくいられない」という考えから脱却して、仕事に打ち込む有能な人材に成り得るのです。
まずは、ゆとり世代を「働かない」と批判する前に、周囲が自分の考えが古すぎないか、ゆとり世代から学ぶことがないか、考え直してみることが必要になりそうです。
つまり、ゆとり世代が働くようになるには世代間の歩み寄りが大事だということですね。