高齢者施設で、介護予防のために行っているトレーニングは様々ありますね。
職員さんは頭を悩ませて、利用者さんに合ったトレーニングを提案していることでしょう。
大きな器具を購入したり、反対に手作りの道具を用意してみたり…。
そこで、施設で新しい介護予防トレーニングを取り入れたいと考えている職員さんへ、「ゴムチューブを使った筋トレ」について詳しくご紹介していきます。
利用者さんにはもちろん、職員さんへの負担も少ない介護予防トレーニングです。最近高齢者向けにどんどん広まっているので、是非取り入れてみてくださいね。
ゴムチューブを使った筋トレのメリット
まずは、ゴムチューブを使った筋トレを高齢者施設で取り入れることのメリットをお話しします。
ゴムチューブの筋トレはリハビリでも行われていることからわかるように、筋力が落ちていたり身体を傷めていてもできるトレーニングで、高齢者の介護予防に非常に向いています。腰痛や肩こりの予防といえば、介護職の皆さんにとっても大事なことですよね。
是非、利用者さん達と一緒にトレーニングしてみてください。
メリット1 負荷が簡単に調節できる
トレーニング用のゴムチューブは、セラチューブ、セラバンドという商品名でも出ています。価格は種類にもよりますが大体2,000円前後で購入できます。
ゴムチューブは抵抗力別に色分けされて販売されています。段階もたくさんありますのでので、個々の筋力や運動能力に見合った、ぴったりのゴムチューブでトレーニングができます。
しかも簡単に負荷を調節できるので、その日の体調や鍛えたい場所別に様々な応用がききます。例えば少し負荷を高くしたい時は、長さを短くしたりゴムを二重にすると良いのです。
非常に軽い負荷からスタートすることができますので、初心者でも挑戦しやすいですね。
メリット2 インナーマッスルを鍛えられる
腰痛や膝痛の予防に筋力アップは有効なのですが、高齢者にとって筋トレはハードルが高いですよね。
しかし、無理なく運動していただける散歩等の有酸素運動だけでは筋力の向上につながらないので、やはり筋トレを取り入れたいですね。
そこで、ゴムチューブを使ったトレーニングはおすすめです。
重たい器具で負荷をかけると重力に負けてゆっくり筋肉を動かすことが難しくなります。
ゴムチューブだとゆっくり動作できますのでインナーマッスルを鍛えることができます。
メリット3 軽くて省スペース
他の筋トレ道具との一番の違いは、軽くて持ち運びが便利、そして場所を取らないこと!
いつでもどこにでも持ち運べるので、いつものトレーニングスペース以外の場所で気分転換しながらできますし、場所もとりませんから集団でのトレーニングが可能です。
重たい器具を誤って落として怪我をしてしまった、なんてリスクもありません。使わない時も収納場所をとりません。
トレーニングする際の留意点
ここでは、ゴムチューブを使ってトレーニングを行う時に気を付ける事を挙げていきます。
利用者さんのために最優先すべきは安全です!
まずは安全にトレーニングすることと、せっかくのトレーニングですから効果を感じていただけるように留意すべき点をお話しします。
安全に行うために
介護職員さんなら当然わかっていることとは思いますが、手軽にできるゴムチューブトレーニングとはいえ、トレーニングの前には必ず血圧や脈拍を測定し、利用者さんの体調を確認しましょう。
確認、記録をしたら準備体操から始め、トレーニングが終わったら整理体操を忘れずに。
また、握力の弱い利用者さんがゴムチューブを伸ばした時に手から離してしまわないように、ゴムチューブの端を手に一周巻き付けてあげると良いでしょう。
うまく握れない方のためにチューブの端に取っ手がついているものもあるので、必要な方には対応してあげましょう。
正しいトレーニングを行いましょう
手軽なトレーニングで陥りやすいのは自分のやりやすいように動いてしまうことです。せっかく筋トレをするのですから、どの筋肉に働きかけるか意識しながら正しい姿勢で行いましょう。
負荷をかけるとき息をこらえると血圧があがりますので、必ずゴムチューブを伸ばす時は「ふーっ」と息を吐き、元に戻す時は息を吸うのが基本です。
反動を付けずにゆっくり動かしましょう。深呼吸に合わせると良いですよ。
明るい雰囲気で行いましょう
介護予防において、トレーニングの効果は身体に働きかける効果ばかりではありません。身体を動かすことで気持ちもすっきり、明るくなってもらいたいですね。
そこで、声を出しながらトレーニングされることをおすすめします。
みんなで声を合わせて数を数えながら行うとリズムも良くなりますし、負荷をかけるとき息をこらえてしまうのも予防できます。
高齢者の好きな懐メロや、明るい演歌などに合わせてトレーニングするのもおすすめです。
椅子に座ってできる簡単な体操
それでは、ゴムチューブを使った筋トレを初めるのに最適な、シンプルで簡単なトレーニングを3つご紹介していきます。
床に座って行ったり、立位で行うトレーニングもありますが、ここでは無理なく始められるように椅子に座ってできるものをピックアップしました。
正しい姿勢で行えば効果があがりますので、注意点をおさえて無理のない範囲でサポートしてあげてくださいね。
みんなで数を数えながら、好きな音楽に合わせてどうぞ!
背中と腕のトレーニング
- 椅子に座った状態でゴムチューブを足の裏に引っ掛け、腕は下に伸ばしてチューブの端を握ります。膝は少し曲げておきます。
- 上体はそのままで肘が身体より後ろに来るように、息を吐きながらゴムチューブを握った手を引きます。
- 息を吸いながら腕を下に伸ばし、元の姿勢に戻り、繰り返します。
注意点: できるだけ背中が丸くなったり反り過ぎたりしないようにしましょう。肩の位置は最初の姿勢のまま、肩を上げないようにして、行いましょう。
胸、肩、腕のトレーニング
- 椅子に座ってゴムチューブを脇の下から通し、端を握ります。チューブの長さが左右同じになるようにしてください。
- 息を吐きながら肘を伸ばしてチューブを前に押し出します。
- 息を吸いながら腕を元に戻し、繰り返します。
注意点: チューブを前に押し出すとき、できるだけ上体はそのまま。背中や腰が丸くならないようにして、行いましょう。
太もものトレーニング
- 両方の足首にゴムチューブを通します(足首に結んでもOK)
- 片足はそのまま動かさず、息を吐きながらもう片方の膝から下をゆっくり上げます。
- 息を吸いながら上げた足を下ろし、繰り返します。
- 反対の足も同様に行います。
注意点: 膝下を動かしますが太ももの前面に効果があるトレーニングです。太ももの筋肉を意識して、ばたばたと勢いで動かさない様にゆっくりと行いましょう。
まとめ
- ゴムチューブを使った筋トレにはメリットがたくさんあります
- 職員さんが留意点をおさえて、安全に楽しくトレーニングしましょう
- 椅子に座ってできる簡単なトレーニングのご紹介
利用者さんが帰宅して施設でのトレーニングの話を楽しそうにされたら、ご家族様はきっと喜ばれるでしょう。
「ゴムチューブの体操をしたいからデイサービスに行きたい」と言ってもらえたら一生懸命考えた職員さんも嬉しいですね。
介護予防トレーニングを導入するには多方面からの検討が必要ですし、職員さんは本当に大変です。
ゴムチューブを使った筋トレは利用者さんはもちろん、職員さんも笑顔になれること間違いなし!
みんな笑顔で介護予防しましょう!