日本人なら毎日使っていると言っても過言ではない醤油(しょうゆ)。
しかし、どうして醤油がその漢字で書かれているかは知らない人が多いのではないでしょうか。
「醤」は他であまり見ない字ですし、「油」は醤油に油の成分が入っていないのになぜか付いています。
今回はそんな醤油の漢字についての疑問を解説していきます。
「醤」と「油」の意味と由来
醤油の「醤」は「ひしお」と読みます。
「ひしお」は麹(こうじ)と食塩を混ぜて発酵させた調味料や食品のことを指します。
中国語では「醤」の字を「ジャン」と読み、日本語でもこの読み方をすることの方が多いです。(豆板醬など)
「ひしお」は原料によって「肉醤」、「魚醤」、「草醤」、「穀醤」に細分化されます。
その中で大豆を使ったものは「穀醤」の一種になります。
そして、この大豆の「穀醤」から染み出した液体を改良したものが「醤油」の元になったとされています。
この際出た液体が、「ひしお」から出る「油」のような液体であったことから「醤油」という名前になりました。
つまり、醤油の「油」はそのものを指すわけではなく見た目が似ていたから「油」の文字が付いたということです。
醤油の別名とその語源
醤油にはこの漢字の書き方や「しょうゆ」の読み方以外に様々な呼び方があります。
正油という呼び方
「醤」の当て字として「正」の字を使って「正油」と表記する場合があります。
この当て字が使われる理由としては、「醤」の字が難しい字であることから、わかりやすい表現を用いようとしたためと考えられています。
現代でもスーパーなどで「正油」の表記を使っている場合があり、反対に製品に書いていなければ「醤」の字を見た事がない若い世代もいる可能性があるのです。
「醤」の字は一見すると難しそうに見えますが、上下を分けてみると、将軍の「将」と酉年の「酉」で構成されています。
この2つの字なら見かけることがあると思うので、上記の「ひしお」の意味と合わせて、漢字の意味を覚えられると思います。
「したじ」という呼び方
醤油の別名として「下地(したじ)」という呼び方があります。
これは吸い物で主に醤油を下地に使っただし汁やつけ汁のことを指し、そこから醤油そのものも下地と呼ぶようになったと考えられています。
醤油を丁寧語にした場合、「おしたじ」と呼ぶことがあるので、そちらで聞いたことがあることがあるかもしれません。
「むらさき」という呼び方
回らないお寿司屋さんで聞いたことがあるかもしれない「むらさき」という醤油の別名があります。
「むらさき」と呼ばれる理由は諸説あり、醤油が高価であったことから高貴な色である紫を付けられた、醤油が筑波山付近で多く生産されていてその筑波山の別名が紫峰であったところから取られた、醤油が赤褐色であり昔の人が赤褐色を紫と呼んだことからそう呼ばれる、など様々です。
最初に挙げた高貴という意味から良い醤油の商品には紫を名前に取り入れたり、商品の色を紫にしているものが見られます。
醤油は料理の「さしすせそ」の「せ」?
料理の味付けの基本である「砂糖」、「塩」、「酢」、「醤油」、「味噌」を合わせて「料理のさしすせそ」と呼ぶことは聞いたことがある人も多いと思います。
しかし、醤油(しょうゆ)はこのサ行のうちなぜか「せ」の字に当たります。
その理由は、歴史的仮名遣いで見た場合も醤油は「しやうゆ」と書く方が正しいですが、旧仮名遣いで「し」は「せ」と表記していることから「せうゆ」と書く場合もあり、そこから「せ」の字に当てはめられたのです。
なので、醤油が「せ」に当てはまるのは空いていたから無理やり当てはめたわけではないのです。
まとめ
今回の醤油の漢字についてまとめると、
- 「醤」の字は「ひしお」と読み麹と塩で発酵させたものを指す
- 「油」は「ひしお」から出た液体が油のようだったことから付けられた
- 醤油は状況によって様々な呼ばれ方をしてきた
の3つになります。
改めて醤油という単語一つを見ると、醤油の成り立ちがわかるようなものだったと思います。
今度買い物をする時は、醤油の別の呼び方も含めて漢字を確認してみてください。