「突拍子もない」。
人が物事を起こした時に使うことがある言葉ですね。
皆さんはこの言葉の語源をご存知でしょうか?
この記事ではこの「突拍子もない」という言葉について見ていきます。
歌から始まる「突拍子」と「ない」
「突拍子(とっぴょうし)もない」とは、「調子はずれである、風変わりだ」という意味の言葉。
「突拍子もない声を出してしまう」や「突拍子もない計画」のような文章で使われます。
「突拍子」は今様歌(いまよううた)における瞬間的に音程を高く上げて、すぐ元の音程に戻すような歌い方のことを言います。
このことから「調子が外れている」などの意味ができています。
「ない」は否定ではなく強調
でも「ない」が付くとそれを否定する言葉になってしまうようにも見えますが、この場合の「ない」は強調の意味で使われています。
強調の「ない」を使った他の言葉と言えば「そっけない」や「あじけない」などが同類ですね。
「突拍子もない」の使われ方
「突拍子もない」は類義語としては
- 「信じられない」
- 「的外れ」
- 「型破り」
など様々な言葉があります。
では、「突拍子もない」は実際にはどのように使われているのでしょうか?
先に挙げた「突拍子もない声を出してしまう」から見ると…
本来は意図していなかったような声を出してしまったことから、どちらかと言えばネガティブなイメージを持つ言葉になっています。
もう1つの「突拍子もない計画」は類義語で「的外れな計画」と当てはめると、これもまたネガティブなイメージになりますが、
「型破りな計画」にすると、完全にネガティブなものとは言い切れなくなります。
英語で表現する「突拍子もない」
また、「突拍子もない」を英語にする場合は
- 「crazy」
- 「exorbitant」
などの語を当てはめることになります。
「crazy」は「気が狂った、どうかしていて」などの意味で、「exorbitant」は「法外な、途方もない」という意味があります。
「ない」にネガティブなイメージが絡められて誤用されている
これらのことから「突拍子もない」はネガティブな意味で使われることがほとんどですが、ポジティブな意味に取れることもある言葉になっています。
上記で書いたように「ない」は強調として語尾なのですが、一般的な「ない」が打ち消しなどのネガティブなイメージがあるので、それに引きづられている可能性が考えられます。
状況によってはポジティブにとれる
ポジティブな意味で取る場合は「型破り」の他に「常識にとらわれない」や「逆転の発想」といった言葉に置き換えることもできます。
「突拍子もないアイデアを出す」のような文であれば、それによって良い傾向になったり、解決に向かうこともあるといったことが想像できるでしょう。
口語も文語も意味は同じ
次に、現実で口語や文語で使われる場合を見ていきます。
ビジネスシーンにおいて、「突拍子もない」という言葉は、敬語表現的に使ってはいけない言葉というわけではありません。
不足の事態を表す時に「突拍子もない」という言葉を使うことはあります。
ただ、メールなどの文語として使う場合は、「突拍子もない」というふんわりとした表現を使うよりは、具体的な状況や状態を伝えることになるので、あまり使われませんよね。
どちらかといえば会話の中で口語として出てくる言葉でしょう。
文語的に見るのは小説などの文学作品では好んで使われます。
言葉の成り立ちとしては近代辺りからあるものですが、現代の文学でも普通に使われる表現で、本を読む場合はよく目にするものです。
日常会話では、意味としては理解している人も多いですが、なかなか「突拍子もない」という言葉に当てはめることが難しい面もあるので、いつも聞く単語というわけではありません。
まとめ
今回の記事についてまとめると、
- 「突拍子もない」は「調子はずれである、風変わりだ」という意味である
- 「突拍子」は今様歌で音程を高くすることからきている
- 「ない」は否定ではなく、強調をする意味である
の3つになります。
「突拍子もない」の語源を使うことはほとんどないかもしれませんが、話題として使うことはあるかもしれないので、ぜひ頭の片隅に入れておいてください。