パワハラやサービス残業、不当な低賃金など、過酷な労働環境の企業のことをブラック企業といいますね。
「ブラック企業」は雇用される側から見て、企業に対してできた言葉ですが、
ここ最近雇用主目線から生まれた「ブラック人材」という言葉も登場しているのをご存知ですか?
この言葉を初めて発見した時「やはり出たか…」と思いました。
私は経営者でも人事部でもありませんが、普段仕事をしていると「こういう人は採用しないでほしい」と感じるような人物はいるものです。
「ブラック人材」とはどのような人物なのでしょうか。
採用の段階で見分けるために、ブラック人材の特徴をおさえておきましょう!
ブラック人材とはどんな人材?
まずは「ブラック人材」についてご説明します。
あなたの職場にもブラック人材はいるのではないでしょうか。
近年やっと取り上げられるようになった「ブラック企業」同様、「ブラック人材」もまた今まで普通に社会に紛れて存在していた人物なのでしょう。
ブラック人材の「ブラック」の意味とは
まず、ブラック人材の「ブラック」がどういう意味なのかハッキリさせましょう。
「ブラック企業」の「ブラック」との違いはあるのでしょうか?
ブラック企業は従業員に対して違法な扱いをする企業を指します。
そこから、ブラック人材も企業に対して違法な行動をとる人材の事だと解釈している人もいるようですが、ちょっとそれは違います。
ブラック企業の「ブラック」の使い方は「ブラックリスト」と同様の使い方です。
つまり「良くない」という言葉を「ブラック」という言葉に置き換えて表現しているんです。
ですからブラック人材も「良くない人材」全般についてそう呼ばれている傾向があり、様々な目線から「ブラック人材」と呼ばれる人間が誕生しているようです。
先述した「企業に対して違法な行動をとる人材」もその中に入るのかも知れませんが、違法行為だけがブラックではないということです。
「ブラック企業」という言葉は世間に広がって、就職活動をする側の目線で「入ってはいけない企業、入ると失敗する企業」という意味を持ち始めました。
それと同様に「ブラック人材」は「採用してはいけない人材、採用すると失敗する人材」の意味で使われています。
ブラック人材とは迷惑な存在
ブラック人材とは、雇用主から見て「採用すると危険」な人物のことを指した言葉です。
しかし、ブラック人材はまともな社員から見ても迷惑な存在なので、なにも雇用主だから危険視するというわけではなさそうです。
上司や一緒に働く同僚にとってもブラック人材はブラックなのです。
労働時間や休日など自分の権利ばかりを振りかざして勝手な行動をとったり、自分ができない(やる気のない)仕事を平気で周りに振ったり、仲間が困っているのに自分優先で協調性のない人のことですね。
例を挙げればきりがないほど、ブラック人材は眉をひそめるような特徴がたくさんあります。
このような、職場にいると迷惑な人物を採用する前に見極める方法はあるのでしょうか。
ブラック人材を見極めるには
職場には様々な人間がいるのは当たり前の事ですね。
様々な人間がいるということのメリットを使って良いチームワークが生まれればよいのですが、実際はそれはドラマや映画の中の話で、夢物語。
大抵の職場は、様々な人間がいることで仕事がしづらかったり、トラブルが起きたりするものです。
できるだけ大きなトラブルを回避しながら上手に仕事を回さなければいけないのですが、そのためには職場に面倒ごとをもたらす「ブラック人材」は仲間に入れたくないところです。
採用面接の時点で、ブラック人材の流入を食い止める術はあるのでしょうか?
面接での直感は当たる?
私は以前、接客の仕事でマネージャーをしていたとき、店長が行うアルバイト面接にいつも同席していました。
私は一言も質問も説明もせず、ただ同席しているだけです。もちろん興味本位で勝手に同席していたわけではありません。
チームで仕事をする以上、一緒に仕事ができる人物かどうかを実際みてほしいと店長に依頼されていたからです。
面接にやってきたときの服装や顔つき、面接中の挙動や言葉遣いで少しでも不安要素を感じたら正直に店長に伝えました。
実はその店長が新しくやってきた当初に採用した何人かがまさに「ブラック人材」だったのですが「面接のとき何となくそんな予感がした」という話になり、今後は誰でも採用するのはやめよう、と決めたからです。
経営者はどうしても人材不足を早く補いたいという気持ちが働いて「いやな予感」に目をつぶって採用してしまう傾向があります。
しかし面接時の「不安」という直感は意外に当たるもので、その人物がブラックかどうかはわかりませんが、その職場に合わないという可能性は高いと思います。
ブラック人材は人柄がブラック
新しく採用する人の仕事ぶりについては、実際仕事をしてみなければわからないことが多いですよね。
しかし、採用する人物の人柄については採用面接で多少垣間見ることができるのではないでしょうか。
ブラック人材がブラック人材である所以は、仕事の能力が高いか低いかというよりも、その人柄が良くないことです。
入社の時点で多少仕事の能力が低くても、その業界について知識が足りないだけかも知れませんし、努力家であれば効率の良い仕事の仕方を一生懸命覚えて数年経てばミスのない戦力になってくれます。
人柄が良ければ周囲からの助けもあるでしょうし、トラブルになるようなことはないでしょう。
しかし人柄が良くない人物を採用すると、どんなに良いキャリアを持って入社してきても企業にとって「ブラック」でしかないでしょう。
ブラック人材の特徴
それではどんな人物が「ブラック人材」なのか?
採用して後悔する前に見極めることができれば水際で不採用にすることもできますね。
ブラック人材の特徴を掴んでおけば面接という短い時間で判断する材料になるのではないでしょうか。
それは、さきほど書いたように「人柄が良いか否か」を見極めることなのです。
時間にルーズ
まず、面接の時間に余裕をもって来社したかどうか。
これは第一印象にとても影響する要素ですが、連絡もなく遅れてくるのは残念ながら常識に欠ける人物だと判断して間違いないでしょう。
時間ぎりぎりに来社するのも行動の計画性のなさが垣間見えますし、緊張感に欠けるといいますか…。本当に面接に受かりたいと思っているんだろうか?と疑問です。
逆にあまりにも早く来てそわそわと面接時間まで椅子に座って待っているような人も、あまり好印象ではありませんよね。
面接する側にも予定があって面接時間を決めているのですから、その意味を理解していないうえに「早く来るに越したことはない」という雑な考え方を持っている人物ではないでしょうか。
しかし好ましくない時間に面接に現れてもその後の態度で印象は覆すことができます。
会社に迷惑をかけたと理解ができる人であれば、きちんと理由を説明して「申し訳ありません」という言葉が聞けるはずです。
もしも悪びれもしない態度であったり、言い訳ばかりで謝罪がなければ残念ながら「ブラック人材」認定しても間違いない気がします。
人の話を聞けない
面接時には説明しておかなければいけないことがたくさんありますよね。
どれも入社する前にしっかり理解しておいてもらいたいことなので時間をかけて説明します。
しかしその説明を面倒くさそうに「ええ、ええ」と相槌を打ってくる人がたまにいます。
その態度は、こちらの意向に訊く耳を持っていないという意思の表れです。
何か問題がおきたとき、自分の権利だけをふりかざしてくる可能性の高い人物かも知れません。
労働条件に固執する
さきほど、人材不足の際に誰でも採用して失敗した話をしましたが、その時期面接にはたくさんの応募がありました。
というのは時給を一気に上げて採用広告を出したからです。
そうすると、時給に目がくらんで(言い方が悪いのですが…)たくさんの応募が集まったわけです。
仕事を選ぶ際、給与や労働条件は一番のものさしですよね。
しかし、選ぶきっかけにはなっても、仕事を続けるうえで重要なのは労働条件ではないと思いませんか?
多少お給料が安くても職場の雰囲気が良いから辞めようと思わない、残業は多いのかも知れないけれどやりがいのある仕事だから続けられる、というように長く職場に定着できる人材は仕事自体に魅力を見出すことができます。
対してブラック人材は仕事に対して協調性も熱意もありませんから気になるのは労働条件のみ、というわけです。
やたらと有給休暇や残業時間についてしつこく聞いて来たり、昇給制度や残業手当に固執するような人物は要注意です。
まとめ
- 「ブラック人材」とは、採用すると企業にとって危険な人材のことです
- 「ブラック人材」を面接で見極めるには、人格が良いか否かに注意
- 「ブラック人材」の特徴を把握しておけば面接での判断材料にできます
「ブラック人材」を見分けるための特徴をお話ししてきましたが、中には「面接は上が決めるから現場としてはどうしようもないよ」という実情もあるでしょう。
ブラック人材が投入されて迷惑を被るのは現場ですから、人事部は簡単にブラック人材を採用してしまいがちです。
正直、ブラック人材を採用してしまう経営者や人事部も能無し、と言わざるを得ません。
「ブラック企業」を改善させるには法の整備が有効ですが、「ブラック人材」の問題を解決する方法はあるのでしょうか?
ブラック人材の程度や内容に合わせて与える仕事を変えてみたり、よく話し合ってみたり、それでも無理なら部署移動をお願いするなど対策しなければ、まともな人材が辞めざるを得ない事態にもなりかねません。
どんどんブラック人材が採用されて現場に送り込まれる会社では、難しいことですがいかに問題を解決するかが急務かもしれませんね。