スピーカーの一部




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紙コップスピーカーの原理/なぜ音が鳴る⁉︎詳しく調べてみた




最近、紙コップが多方面で活躍しているのをご存知でしょうか?

安価で加工しやすいので様々な使い方ができるため、本来の用途以外で人気なのですが、私が一番驚いたのは紙コップで作るスピーカー!

スピーカーって、音楽を聴くものですよね。それが紙コップでできる?

そういえば小学生の時理科の時間に紙コップで糸電話を作って実験したことがあったかな。

当時はなぜ紙コップが電話になるのかなんて原理をよくわからないままスルーしていたので(音が糸を伝って聞こえるんだよ、程度)紙コップがスピーカーになる原理もよくわかりません…。

もしもあなたが、なぜ紙コップがスピーカーになれるのか、子供に質問されたら説明できますか?

ここでは紙コップスピーカーの原理と、紙コップスピーカーの魅力についてお話していきましょう。

音についての基本をおさらい

電線と小鳥で楽譜になっている
紙コップスピーカーが鳴る原理を理解するうえで、最初に「音」について知っていなければ理解できませんので、少々面倒ですが確認していきましょう。

音が出るしくみ

そもそも「音が出る」という現象はどのようにして起こっているのか?

日常すぎて考えたこともないかも知れませんが、これこそが基本中の基本なので再確認しましょう。

音を発生させるには3つの原因が存在します。

  1. 物体の振動
  2. 空気の流れ、物体の急速移動
  3. 空気の膨張、収縮

このうち、紙コップスピーカーが鳴る原因は「物体の振動」です。

たとえばオーケストラでティンパニを演奏している様子を思い出してみてください。

ティンパニを叩いて音を出していますが、曲に合わせて音が急にやむ場面があるでしょう。

その際、ティンパニの皮の部分をおさえると音がピタッと止まりますよね。

ティンパニの皮の振動を止めたことによって音が止まるわけですから、ティンパニの音が振動によって発生するものだということがわかります。

音が伝わるしくみ

次に「音が聞こえる」という現象について確認していきましょう。

「音」がはなれた場所に伝わるには「揺れ」が伝わる必要があります。

さきほどのティンパニの音が聞こえるという現象は、ティンパニの振動が空気に伝わり、私たちの耳に届くからなんです。

音は空気の振動を伝って耳に届くものですが、空気以外の固体も振動によって音を伝えることができます。

しかも固体の方が振動をしっかり伝えることができますので音を弱めることなくはっきり伝えることができるんです。

糸電話の原理をおさらい

ここで、簡単な糸電話の原理を思い出してみましょう。

糸電話は、発信側の紙コップが声(音)を集めて振動し、その振動が糸という固体を伝っていきます。

糸を伝って受信側の紙コップに届いた振動が音(声)となり、はっきり聞こえるという訳ですね。

糸電話と紙コップスピーカーの原理は基本的に同じなので、しっかりおさえておきましょう。

紙コップスピーカーの構造

2つの紙コップ
紙コップスピーカーの作り方を検索すると二種類あるようです。

ひとつは紙だけを使った単純なもの、もう一つは磁石やコイルも併せて使ったものです。

原理を知る上では少し違いがありますので、まずはそれぞれの構造についてご説明したいと思います。

紙だけを使ったもの

紙コップとトイレットペーパーの芯を使った紙コップスピーカーは10分ほどで作れる手軽さや見た目をおしゃれにできることで人気があります。

これはスマートフォンに限って使われているようですが、スピーカーから出る音の振動を紙コップに伝えて音を広げるという効果があるようです。

材料は紙コップ2つとトイレットペーパーの芯が1本だけ。

まずはトイレットペーパーの芯の真ん中にスマートフォンを差し込むための切り込みを入れておきます。

次に2つの紙コップにトイレットペーパーの芯を差し込む丸い穴を空け、それぞれを差し込んで組み立てれば完成。
紙だけ使ったスピーカー
スピーカーから音が鳴るというわけではなく、スマートフォンのスピーカーが発している音を紙コップによって広げるという効果ですから、この紙コップスピーカーに関しては、先にお話しした「音が伝わる原理」を理解していれば簡単に説明がつきますね。

磁石とコイルを使ったもの

次に、紙コップと磁石とコイルの組み合わせで作る紙コップスピーカーをご紹介します。

こちらはオーディオ機器のスピーカーとして使用します。

少し作るのに時間と手間がかかりますが、お子さんが自由研究などで作るにはこちらをおすすめします。

というのは、紙コップスピーカーが鳴る原理について理解するにはやはり磁石とコイルが必要だからです。

紙コップの底に磁石を貼りつけ、磁石の外側に磁石から少し離してエナメル線を巻いて作ったコイルを貼りつけておきます。

コイルの巻き始めと巻き終わりはやすりで削り取り、オーディオ機器のスピーカー端子と接続します。
エナメル線を15回ほど巻く
紙コップスピーカーの内部構造
つまり、市販のスピーカーの代替を紙コップで手作りしているというわけですね。

なぜ紙コップがスピーカーになるのか

ダイナミックスピーカー
それではいよいよ、なぜ手作りの紙コップスピーカーがスピーカーとしての役目を果たせるのか?という疑問を解決していきましょう。

紙コップスピーカーから音が出るのは「右ねじの法則」によるものです。

まずはひとつずつ解説していきましょう。

コイルの磁界と磁石の磁界

最初に紙コップの底の磁石の外側に貼り付けたコイルについて。

コイルには電流を流せば磁界が発生しますが、磁界は電流を流す方向によってN極とS極が入れ替わります。

これを「右ねじの法則」といって電流の向きにより磁界の向きを知るための法則です。

この法則は「電流を右ねじが進む方向に直進させると、磁界が右ねじの回転方向に生じる」という、少々イメージしにくいものなので、法則の内容は割愛してわかりやすく説明しますね。

例えばコイルの右側から電流を流すと、右ねじの法則によって右端にS極、左端にN極ができます。

逆にコイルの左側から電流が流れると、右ねじの法則によって左端にN極、右端にS極ができるというわけです。

一方紙コップの底のコイルの内側に貼り付けた磁石は固定してありますのでN極とS極の向きが変わりませんよね。

音声信号

さて、紙コップスピーカーで音を鳴らすには、右ねじの法則をつかうために電流の向きを変える必要があります。

どうしたら電流を流す向きが変わるのかといいますと、オーディオ機器から発せられる音、つまり音声信号によって電流が変化することによって、電流の向きも変わるというわけです。

磁界の引き合いと反発による振動が音になる

磁界の話にもどります。

固定された磁石の磁界に対して、コイルの磁界が入れ替わるたびに引き寄せの力とはじき飛ばしの力が発生しますね。

ピンとこない場合、磁石同士を近づけたとき、N極とS極はくっつきますが、N極同士やS極同士は反発しあう様子を思い出してください。

このくっついたり離れたりする電磁力が紙コップの底に貼りつけた磁石とコイルの間で起こるわけです。

そしてその振動が紙コップの底を変形させ、紙コップの振動を生じて…音が出る。
つまり、紙コップスピーカーは音の信号を空気の振動に変換する装置だから音が鳴る、ということです。

やっとたどり着きましたね。色々な力が瞬時に働いて音が鳴るんだなあと驚きますよね。

ダイナミックスピーカーと同じ構造

実は「紙コップスピーカーななぜ鳴るのか?」という質問であれば単純な答えが存在します。

紙コップスピーカーの構造は、現在もっとも多用されているダイナミック・スピーカーと同じなんです。

ダイナミックスピーカーは略してしまえば振動板、コイル、磁石からできています。

ボイスコイルと呼ばれるコイルに電気(アンプの出力)を与えることで周囲の磁力と反応して力が発生し、その力がコーン紙と呼ばれる振動面を振動させる。

いかがですか。ご説明してきた原理と一緒ですよね。

市販されている立派なスピーカーでも単純な原理が基本となって作られているわけです。

ですから、精度は違えど同じ構造で作った紙コップスピーカーが鳴るのは当たり前ということなんですね。

紙コップスピーカーの魅力

カエルの木のおもちゃ
紙コップスピーカーを自作している人はたくさんいるようで、動画などもあがっていますよ。

もちろん市販のスピーカーに比べて安価ですからコスト面では魅力的ですが、他にも人気の要因がありそうです。

音が優しく心地よい

自然界のあらゆる音は振動のサイクルでできています。

これを素直に電気変換し、信号に置き換えて記録・再生するのがアナログオーディオです。

紙コップスピーカーが鳴る原理は糸電話と同様だというお話をしましたが、自然の摂理に逆らわないので人の耳に届く音が優しく心地良いんです。

アウトドアなどで活躍

冒頭でご紹介した紙だけで作る紙コップスピーカーであれば、外出先でも手軽に音楽を楽しむことができます。

バーベキューやキャンプなど皆で音楽を楽しみたいとき、スマートフォンのスピーカーだけでは近くにいる人しか音が聞こえませんよね。

そこで余った紙コップを使ってササっと紙コップスピーカーを作って音を広げてみせたら…カッコイイですよね♪

また、使い終わったらゴミとして捨てることもできますのでかさばらず便利です。

紙コップ以外でオリジナルのスピーカーを

紙コップスピーカーの原理がわかれば紙コップ以外のものを使って自分だけのオリジナルスピーカーが作れそうですね。

単純な作りのスピーカーであれば、トイレットペーパーの芯の代わりにプリングルスの筒状の空き箱などを使うとおしゃれですね。

紙コップを使わずに筒だけでスピーカーを作る方もいるようで、筒の両サイドをカットすると音の響きが変わるのだそう。

材質や形状、大きさによって変化する音を楽しむのも良いかも知れません。

こだわりのある大人だけではなく、理科や工作が好きなお子さんにとって最高の材料になりそうですね。

まとめ

  1. 音は、物体の振動によって生まれ、物質を伝って伝わります
  2. 紙コップスピーカーには紙で振動を伝えて広げる構造のものと、磁石とコイルを使ってスピーカーの代わりを果たすものがあります
  3. 紙コップがスピーカーになるのは、ダイナミックスピーカーと同じ構造を再現しているから
  4. 紙コップスピーカーはオリジナルで手作りの良さを味わえるのが魅力

紙コップスピーカーが人気なのはやはりオリジナルのものが作れるという楽しさにあります。

市販の性能の良いスピーカーと比較して決して良い音が出るわけではないですし、期待するような音を出すには様々な改良や工夫が必要で手間もかかります。

それでも手作りすることの楽しさがあり、オリジナルのデザインや音を工夫して手に入れることができる紙コップスピーカーは魅力的ですね。

しかし魅力はそれだけではなく、紙コップに伝わる音の振動に対して無意識に心地よさを感じているのではないでしょうか。

音は人をイライラさせることも癒すこともできます。

是非、昔遊んだ糸電話から聞こえるような優しい音で音楽を楽しんでみてください。




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