ビジネスシーンやフォーマルな場面で「光栄に存じます」という言葉を見かけたり耳にしたりすることがあります。
新社会人の方や新成人の皆さんなど、大人として言葉を使いこなしたいとき、周囲で耳にした格好いい言い回しをつい真似てしまうことってありませんか?
私は社会人になったばかりのとき先輩社員が電話越しに使う「とんでもございません」という言葉を気に入って頻繁に使っていました。
ですが、つい最近「とんでもないことでございます」が正しい言葉だと知って少し恥ずかしいと思いました…。
「光栄に存じます」の意味や使い方は何となくわかりそうですが、間違っていたり場の空気に合わない敬語の使い方は何しろ格好悪いものです。
そこで「光栄に存じます」の意味やどんな場面で使う言葉なのか、自分が使おうとしている状況と合った言葉なのか、きちんと把握しておきましょう。
「光栄に存じます」の意味
「光栄」の意味は、業績や行動を褒められたり、重要な役目を任されたりして名誉に思うこと。また、その様。とあります。
「存じます」とは実は「思う」の謙譲語です。
ですから「光栄に存じます」は「名誉に思います」に置き換えられますね。
それを頭に入れておけば間違った使い方をせずに済みます。
「光栄に存じます」の意義は大きく分けて二つあります。
栄誉を受けて嬉しい気持ちを表す
まず一つ目は喜ばしい状況に感謝する場面で使います。
「光栄に存じます」の他に類義語として「身に余る光栄です」「大変光栄です」など。
という風に使います。
意義を正しく理解しておくと使い方を間違うことはないでしょう。
目上の人から褒められた時の表現
二つ目は自分より目上の方や立場が上の方に対してへりくだった感謝の伝え方をする場面で使います。
類義語として「光栄に存じます」の他に
「勿体ないお言葉」
「過分なお褒めをいただきまして」
「身に余る光栄でございます」
「恐れ多いことでございます」
など。
のように使います。ビジネスシーンでよく使う機会がありそうですね。
ビジネスシーンでの「光栄に存じます」の使い方
言葉遣いひとつでその人の仕事の力量や人柄が判断されてしまう可能性がありますので、ビジネスシーンではよくわからずに敬語を使って失笑をかわないよう気を付けましょう。
ここでは、一瞬の判断が必要な会話で使う場面と、会話よりも丁寧さが求められる文書のやりとりの場面について、使い分けできるように考えてみましょう。
会話では
例えば…相手と対面して会話する際には「お会いできて光栄に存じます」という言葉を使うには、よっぽど地位の高い相手でなければわざとらしく聞こえて少し似つかわしくない感じがしますね。
そこで、しっくりくる言葉として、会話では「存じます」ではなく「お会いできて光栄です」が良いでしょう。
もう少し丁寧な言葉を使うなら「お会いできて光栄でございます」にしましょう。
ちなみに「ございます」は「ある」の丁寧語です。
文書では
それでは、会話ではなく文書として使う場合「光栄でございます」はどうでしょうか。
例えば相手方から面会の許可をいただき、事前に感謝の意を伝えたい場合「このような機会をいただき、光栄でございます」でも良いかも知れませんが、文書としては若干軽い印象を与えてしまいますね。
そこで「このような機会をいただき、光栄に存じます」という文言を使うとビジネス文書として成立しました。
フォーマルシーンでの「光栄に存じます」の使い方
続いて、会食や式典など主に招待を受けた際に使う「光栄に存じます」の言い回しを、応用して場に応じて選択できるようになりましょう。
一社会人としてお招きいただいた席で恥ずかしい思いをしないよう、言葉の引き出しを増やしておきたいですね。
「光栄」が相応しい場合
「光栄に存じます」とは相手が目上であっても目下であっても、年齢や立場などに関係なく「名誉に思う気持ち」を相手に伝えたい時に使う言葉です。
式典で重要なスピーチを任されたときなど、名誉に思う気持ちを伝える際、そのまま「名誉」という直接的な言葉を使うと少し古めかしい重々しい印象になりがちです。
ノーベル賞や文化勲章を受けるのならいざ知らず、日常のフォーマルシーンで使用するには少々仰々しく嫌味を含んで聞こえる場合もあるかも知れません。
そこで少しライトながら少しへりくだってしっかり気持ちが伝わる言葉として「光栄」という表現が使いやすいわけです。
「光栄」以外が相応しい場合
ビジネスシーン同様、フォーマルシーンで使う場合も口語と文語では表現の仕方を工夫する必要がありそうです。
いただいた賞や褒めていただいた内容や相手によって使い分けるため、「光栄」に似た言葉がないか探してみましょう。
輝かしい名誉を表す言葉には「光栄」の他に「栄誉」「栄冠」などがあります。
「このような栄誉をいただき…」という言葉を使うのはかしこまった場面でよく耳にしますね。
社交辞令としての使い方
社交辞令というとあまり良い印象になりませんが、人とのお付き合いの中で重要なエッセンスとなる使い方ができます。
自分をへりくだって相手を立てることができる言葉ですから、食事や式に招待された場面で「光栄に存じます」は大活躍します。
招待のお礼
食事会などに誘っていただき出席の返信をする際「お誘いいただき光栄に存じます」と一言添えると好印象です。
出席した式典などで挨拶をする際にも「この席に列するのは光栄でございます」ですとか「このような晴れがましい席にお招きいただき光栄です」という風に使えます。
主催者に挨拶する際も「食事にお供でき光栄です」なんて切り出せたら評価が上がりそうですね!
お断りに
せっかく誘っていただいても都合により欠席しなければいけない場合、上手に相手を立ててお断りすることができます。
という風に一言添えると「残念ながら」などの言葉を使うよりも数段失礼なくお断りできる表現になります。
「光栄に存じます」の間違った使い方に注意
「光栄に存じます」という言葉は相手に敬意を表す言葉ですから、文章として全体が敬語を使用していないと大変恥ずかしい文章になってしまいますよ。
例えば、
「そう言ってもらって光栄です」
ですとか
「連絡をもらえて光栄に存じます」
など、つい使ってしまいそうですが…
正しくは
「そう仰っていただき光栄です」
「ご連絡いただき光栄に存じます」
のように前後の言葉も敬語を使うようにしましょう。
まとめ
- 間違った使い方をしないように「光栄に存じます」の意義を理解しましょう
- ビジネスシーンでは口語と文語の使い分けができるようになりましょう
- フォーマルシーンでは「光栄」という言葉が相応しいかどうか選択できるようになりましょう
- ご招待を受けたときに社交辞令として相手を立てることができます
- 「光栄に存じます」の前後の言葉は敬語で揃えましょう
「光栄に存じます」という言葉を使う場面はとても喜ばしい場面のようですね。
大人として認められる瞬間、という感じです。
嬉しいという気持ちと謙虚に感謝する気持ちを込めて使うようにしましょう。
この先もたくさん「光栄に存じます」という場面が増えますように!