若い世代の言葉は日数単位で大きく変化していくもので、聞き覚えのない単語もたくさん作られています。
ただ、それは新たにできたものだからまだ良いですが、元からある言葉を新しい意味として使うとわけがわからなくなります。
今回はそのような言葉の中で「苦笑い」について見ていきます。
メールやLINEの文中に急にこの言葉が出てきたら、本来の意味を知っている人は変な気分になると思います。
でも、それは悪気のない可能性もあるので、ここで確認してみましょう。
あまり表に出す言葉ではない?苦笑いの本来の意味
にがわらい【苦笑い】
心の中ではとても笑える気分ではないのに、表面では笑って見せること、その笑い。
類義語:苦笑
辞書の意味ではこのようになっています。
要するに、笑えると思ってもないような笑いを示指しているもので、表立って人に言うものではないことがわかります。
自分が話したことに対して「それは苦笑いですよ」と言われると、「本当は面白くないけど笑っていることにしておきますよ」と言っているようなもので、良い印象になるわけがありません。
実際に使われるべきシチュエーションは、話している人が関わっていないことや独りでに書いている文章に用いられるべきものなのです。
ただ、「苦笑い」や「苦笑」のという言葉は会話の中で積極的に使われることがあるのです。
意味が少し和らいでいる?苦笑いの別の使い方
若い世代では「買っちゃいました(笑)」や「大変です(泣)」のように鍵括弧に感情入れて最後につける文章が度々見られます。
「苦笑い」や「苦笑」もこの例に違わず「それってどうなの(苦笑い)」のような使われ方をするようになりました。
SNSでそういったエピソードがあった時に、独りで呟いて拡散する分には正しい使われ方であります。
しかし、この使われ方でも「苦笑い」の本来の意味では笑えるとも思ってもいない笑いの表現であるところが、このような鍵括弧付きになると、その意味合いが少し和らぐほか、程度が小さい笑いとして認識されていることがあります。
そうなる原因としては「苦笑い」を漢字だけで見ると、「笑い」を含んだ言葉であり、それはポジティブなものになります。
反対に「苦」はネガティブなものですが、まずポジティブな意味が先に読み取ることになって、笑っているけど苦い顔のような認識をしてしまったのです。
本来の「心では笑ってない」がすっぽりと抜け落ちてしまっていますね。
当てはめるなら「小笑い」や「失笑」に近い意味になるでしょう。
そのような認識から若い世代はメールやLINEで「(苦笑)」と気軽に付けるようになり、そこから「苦笑い」も本来の意味と少しズレた意味として認識することになっているのです。
ただ、このような使われ方が浸透したのは誰が悪いというわけでなく、時代の流れによって言葉の持つ意味が変化したものになります。
頭ごなしに「間違った表現だ!」と注意するのも難しい物になります。
ですから、もし、このような表現で使っているように見られた場合はやんわりと本来の意味を教えてあげるか、こちらから順応していってあげるしかないのです。
顔文字のせいもある?苦笑いを表すもの
「苦笑い」や「苦笑」には、それに分類される顔文字も多数存在します。
例を挙げると、( ̄▽ ̄;)(´∀`;)(^~^;)のようなものがあります。
顔文字は使っている人から見れば、見た目は可愛くて、フランクなものです。
どちらが先にできたかはわかりませんが、これも「苦笑い」の意味を和らげた原因になっているのかもしれません。
まとめ
今回の「苦笑い」の記事についてまとめると、
- 「苦笑い」の本来の意味は心では笑えないと思っている笑い方である
- メールやLINEでの「苦笑い」はそれとは少し違う意味で使われている可能性がある
- 言葉の意味は時代の流れによって変わっていく
の3つになります。
周りが使っていると自分が使っている言葉が正しくないと判断するのは難しいものです。
ですので、対等に話していくにはお互いに使う言葉を知っていく必要があるのだと思います。
最後に言っておきますが、若い世代であろうがなかろうが、「苦笑い」を本来の意味で使っている可能性もゼロではないので、そこは今回の記事と照らし合わせて、気を付けて読み取ってください……。