太陽光にきらめく粉雪




雑学

雪虫とはどんな生き物?その生態とはかない一生をご紹介




北海道の冬の風物詩として知られる雪虫

その名の通り白いふわふわとした綿がついており、ちらちらと飛ぶ姿はまるで雪のようです。
近くで見るとしっかり虫ですが、やはり可愛らしい見た目をしています。

そのルックスのお陰で雪虫を知る人は多いですが、意外とその生態について知らない方は多いのではないでしょうか。

ですので、今回は一生物として、雪虫について詳しく説明していこうと思います。

雪虫のくわしいデータ

赤絨毯のうえにいる雪虫
「雪虫」というのは羽と綿がついている全てのアブラムシのことを指します。
ふわふわしていて綺麗な雪虫ですが、その正体はアブラムシなんですね。

代表的な種は「トドノネオオワタムシ」や「リンゴワタムシ」など。
体長は5㎜前後で、雪虫の特徴であるふわふわとした綿があります。

この白い綿は、アブラムシが分泌しているロウ物質です。
雪虫という名以外に、地方によって綿虫、オオワタ、ユキンコ、しろばんばとも呼ばれます。

北海道とその周辺の島々では初雪の降る少し前に出現することが多いため「雪虫が飛ぶと初雪が近い」と言い伝えられ、冬の訪れを告げる風物詩となっています。

そのため、俳句では冬の季語として用いられます。

ちなみに「あすなろ物語」等で知られる井上靖さんの小説に「しろばんば」がありますが、このタイトルは雪虫から付けられたものです。

雪虫となるトドノネオオワタムシの一年

雪のつもった枯れ木に止まる鳥
さて、雪虫の基本データを大まかに掴んだところで、雪虫を含めたアブラムシの一年をご説明します。

アブラムシの一年は、少々複雑ですが雪虫とは何かを語る上で欠かせない部分になります。

ここでは雪虫の代表格である「トドノネオオワタムシ」の一年についてお話ししましょう。

①ヤチダモ葉っぱ世代

春にヤチダモの木で卵から幼虫がふ化します。この時生まれる幼虫は全てメス。

これらはヤチダモの葉裏に寄生し、ヤチダモの芽の樹液を吸いながら育ちます。

5月上旬頃に成虫となり、単為生殖(オスの力無しでメスだけで生殖すること)でメスの卵を産みます。

またその卵から産まれた子どもも早熟多産で、次々に単為生殖を重ねて行きます。

②ヤチダモ→トドマツ世代

こうしてヤチダモで生まれたメスの子どもたちは6月下旬頃に成虫になると羽と綿を持ち、7月上旬頃にトドマツの木へと飛んで行きます。

ですからこの時期にも羽と綿を持った個体を観察できるはずなのですが、飛ぶ数が少ないので目立たないようです。

そして夏の間、トドマツの根でアリと共生しながら単為生殖をします。

③トドノネ世代

この代も全てメスで、ひっそりとトドマツの根で過ごし、単為生殖で再びメスを産んでいきます。

④トドマツ→ヤチダモ世代(雪虫)

第四世代は、冬を迎えるとヤチダモの木へ卵を産みに行くために羽と綿をつけた成虫に。

これらはトドマツの根から飛び立ち、ヤチダモの木を目指してふわふわと飛んでいきます。

この、ヤチダモの木を目指して冬にふわふわと飛んでいるものだけが「雪虫」と呼ばれます。
ですから雪虫は全てメスなんですね。

そして雪虫はヤチダモの木に子どもを産むのですが、ここで初めてオスとメスを産みます。

⑤有性生殖世代

この時生まれるオスには口が無く、餌をとれないので、寿命はたった一週間ほどしかありません。

この一週間のうちに幼虫同士で初めて交尾(有性生殖)し、メスは越冬する卵を一つだけ残して死亡します。

この一つだけの卵から春に幼虫が生まれ、それが単位増殖し、再び新しい一年が始まるのです。
つまり、「雪虫」と呼ばれるのは長いサイクルの中の冬の世代だけです。

そして、成虫はみんなメスなんですね。
季節によって住処を変えるトドノネオオワタムシ。とても興味深いです。

雪虫のはかなさはまるで雪のよう

人の指にとまった雪虫
雪虫はトドマツの根から飛び立った後、ヤダチモの木を目指して飛んで行くのが使命です。
ただでさえ寿命が短い雪虫ですが、この旅の道中に命を落としてしまうことも少なくありません。

雪虫は飛ぶ力が弱く風になびきやすいので、余計にちらちらと舞う雪のように見えます。
そんな雪虫、風にあおられてどこか別の場所に付着したらアウト。

例えばふわふわと飛んで行った先に車が走ってきて、白いふわふわが車体にべた~っとついてしまったら雪虫の人生、ジ・エンド。

まさに雪…。

また、熱にとても弱く、人間の体温でも弱ってしまいます。
無邪気な子供が「きれーい!」といって手で包み込んでしまうと、あっという間に弱ってしまうのです。

まさに雪です。はかない命…。

まとめ

  1. 雪虫はアブラムシの仲間です
  2. 長い一年のサイクルの中で、冬に飛ぶものだけが雪虫と呼ばれます
  3. 雪虫の命は雪のようにはかないものです

雪虫の生態についてお話してきました。

綺麗な見た目とは裏腹に、実はアブラムシの仲間なんですね。
そして、雪虫と呼ばれるのはその一部のみ。

可愛らしい見た目はもちろんのこと、その不思議ではかない生態も興味深く、人を引き付ける魅力があります。

もし冬に雪虫を見かけたら、先代あってこその雪虫なんだな、無事にお引越しできるように頑張れ、と見守ってあげてください♪




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