人間は、祈りと共に生きていると言ってもいいかもしれません。
人生を生きていると誰しもが、大なり小なり様々な困難に出会うことがあったり、
また、何かの実現を願いたいと思う事もあります。
何を困難とし、経験するかは、人それぞれですし、願い事も多岐にわたりますね。
心に信じているものがあるだけで、人の心は救われ、その代表となるのが、宗教です。
信仰していない人はいるかもしれませんが、初詣に行けば、物事の実現を願って祈りますね。
このように、困難を乗り越えたい時や何らかの実現を願う時、人は祈ります。
普段、何気なく行っている祈りですが、宗教によって様々なポーズがある事を知っていますか?
ここでは、世界中の宗教で行われる祈りのポーズについて紹介します。
バリ•ヒンドゥー教の祈りのポーズ
お寺の境内で祈るのですが、在住、観光関係なく外国人も正装していれば参加できます。
しかし、出産したばかりの女性など宗教的なけがれの状態にある人は、寺院に入って祈れません。
祈りに使う花と線香を用意し、必ず、お寺へ行く前に沐浴してから正装します。
祈りの際、女性は正座、男性は、あぐらの姿勢です。
祈りの一番最初に空手を合わせるのですが、手を合わせる前に必ず線香の煙に手をかざし清め、何も持たずに手を額の所で合わせます。
この事をsembah puyun(スンバ•プユン)と言います。
その後、白い色の花やクワンゲンというお供え物をそれぞれ線香の煙にかざし、両手の指先にはさみ、手は額の高さに掲げます。
最後に再びsembah puyun(スンバ•プユン)で祈ります。
キリスト教の祈りのポーズ
祈りのポーズは、手を組む(五指を交互に組む)のが一般的なようですが、もともとそうではなかったようです。
遥か遠い昔の絵画を通して、いつ頃から「手を組む」ポーズになったのか、その歴史を見る事ができます。
①3世紀ローマの壁画に描かれているのは、手を上に上げ、そして、しばしば目を天に向けて祈るポーズ「オランス」で、ラテン語の祈り又はoratio(オラショ)が由来です。
②1500年頃ドイツの絵画には、合掌する様が描かれています。仏教、その他の宗教でも見られ、
日本人にとっては、馴染み深いポーズですね。合掌が、仏教専有のものではない事も分かります。
③1740年頃フランスの絵画には、揉み手が描かれています。
揉み手とは、右手と左手を90度ずらして掌同士合わせて組む型の事です。
この組み方は、ゴマすりする時の仕草を連想させますね。
④手を組む
1620年頃オランダの絵画には、5本の指を交互に組んでいる様が描かれています。
カトリック教会の祈りのポーズ
ミサとは、カトリック教会の主な祭礼の事をいいます。
カトリック教会の洗礼を受けている、いわゆる信者は、ミサで、祈りの始めに「父と子と精霊のみ名によってアーメン」と言い
十字を切ります。思いや言葉•行いなどにより度々、罪を犯した事について、回心の祈りで神様に赦(ゆる)しを願います。
その後、讃歌を唱え、聖書を朗読します。
祈りのポーズは、
- 「父と」で、右手を額につけ、
- 「子と」で、その手を胸におろし、
- 「聖霊の」で、左肩へ、
- 「み名によって」で、右肩へもっていき、
- 「アーメン」で、胸の前で両手を合わせます。
仏教の祈りのポーズ
仏教は、祈る際、両手の平を胸または顔の前で合わせて合掌します。
ちなみに、右手は、仏の象徴、左手は、人間をはじめ全ての生物を表しています。
合掌して両手を合わせる事で、仏と一体になる事、また、仏への頼みとして、その力に頼る事を意味しています。
日本人には、親しみのある祈りのポーズですね。
また、仏教の儀式に関係なく、人に何かをお願いする時、お詫びする時にも、合掌のポーズをとる事があります。
神道の祈りのポーズ
日本の宗教の一つである神道。この宗教を新たに開いた人はいないので、当然、具体的な教えはありません。
山や川などの自然、自然現象、八百万の神など敬う神がたくさん存在する多神教とも言われます。
イスラム教やキリスト教は、一つの神的存在者を認め信仰するため一神教と言われるのに対し神道は対照的です。
日本では、神道と言うと神社神道を示す事が多いです。
神社神道は、明治15年、内務省の法令により神社神道は宗教ではないとされ、
仏教などの宗教と神社神道の祭祀とに分離され、神道は宗教とされなくなりました。
日本人にとって、神社へお参りする事は、とても馴染み深いです。
年末年始には、必ず毎年お参りする人も多いでしょう。
神社により参拝の仕方は、多少異なりますが、祈りのポーズは一般的に二礼ニ拍一礼です。
まとめ
祈りのポーズは、宗教によって様々な型があり、こちらで紹介した以外にも、平伏や踊りを伴うものがあります。
宗教によって何を重要視しているか異なります。
キリスト教を例にとると、聖書では手をどのようにして祈るか、といった記録はありません。
それよりも誰に、何を祈るかが重要とされています。
とは言え、祈るポーズには、一番自分の気持ちが表れやすいですね。
祈りのポーズを見ただけで、祈りの内容は分からなくとも、その人の想いがとても伝わってきますから。