よく出先で「おいとまします」という言葉を使うと思うのですが、この「いとま」って正しくはどのような意味を持つのか、皆さんご存知ですか?
「おいとまします」の意味は分かっても、意外と「いとま」が持つ意味を知らない人は多いのではないでしょうか。
そこで、今回は「いとま」が持つ様々な意味合いとその使い方、さらに「いとま」を使った言い回しについてもご説明します。
「いとま」が持つ様々な意味
いとまの「いと」は休みの時、「ま」は間の意です。
なので、「いとま」は「休む間」という意味になります。
ちなみにいとまは漢字にすると「ひま」と同じ字になりますが、「やることがなくて退屈」な状態ではなく、「自由な時間」を指します。
しかし、この言葉には単純な「休む間」だけでなく、様々な意味合いが含まれています。
早速「いとま」という言葉がどのような時にどんな風に使われるのかご紹介します。
用事のない間
用事のない間のこと、つまり暇な時間、何か好きなことをできる時間を指します。
「いとま」は漢字で「暇」と表すので、わかりやすいかと思います。
例としては、「休むいとまもない」など。
この場合、会話のシチュエーションを考えると「休むひまもない」で良いと思いますが…。
一時的に休むこと
一時的に休むこと、つまり休暇の意味も持ちます。
「おいとまいただきたく…」というように使われます。
「いとま」は様々な意味合いを持つので、紛らわしくならないようにこの場合で「いとま」を使うことはあまりないと思います。
職務を離れること
職務を離れること、具体的にいえば辞職や解雇なども指します。
雇用主に辞職を申し出るときに、「来月いっぱいでおいとまをいただきたく思いますので…」などと挨拶したりします。
この意味で「いとま」が使われている場面はドラマなどで見るのではないでしょうか。
離縁・離婚
現代ではあまり聞きなれない古風な言い回しですが、夫婦関係解消の際に「おいとまをいただきたく思います」と使われることもあります。
改まった場で使う言葉になりますね。
奥さんに「おいとまを…」なんて丁寧なあらたまった言葉で離婚を申し渡されたら引き留めることができなそうですよね。
別れて去ること
よく使われるのがこの意味での「いとま」ですね。
訪問した家や会社などから去る際、「帰ります」とはっきり言うことがはばかられる場面において
「この後予定がありますのでそろそろおいとまします」
「もう間もなくおいとましますので、どうぞお構いなく」
という言い回しは、とても重宝します。
相手に対して失礼に当たることなくその場を後にできるので、覚えておきたい言い回しです。
喪に服すること
喪に服すること、そのために出仕しない期間のことも指します。
この意味で「いとま」が使われることはあまりありませんが、知識として覚えておいて損はないでしょう。
隙間
「いとま」は隙間のことも指します。
例えばふすまの隙間などを指すのですが、これも現代ではあまり使われません。
時代劇などで「いとま」と耳にするかもしれませんね。
使い方に注意
先ほど説明したように「いとま」には様々な意味合いがあり、「帰る」「去る」といったマイナスの意味を持つことが多いです。
「仕事休みます」「辞めます」「帰ります」など、直接相手には言いづらいですよね。
こういった意味合いをなるべく相手に不快感を与えないように婉曲したのがこの「いとま」という言葉で、これはこちらの動作を表すものなので謙譲語になります。
くれぐれも相手に「そろそろおいとましてはいかがですか」などと使わないようにしましょう。
「枚挙にいとまがない」とはどういう意味?
「いとま」といえば、「枚挙にいとまがない」というような言い回しも耳にします。
あまり親しい友人同士で使うような言葉ではなく、ビジネスシーンで聞いたりするのではないでしょうか。
少し難しい言い回しで、言葉から意味を連想することができるようなものでもないですよね。
なので、ついでに「枚挙にいとまがない」の意味も覚えておきましょう。
「枚挙にいとまがない」とは
「枚」は「一つ一つ数える」という意味を持ち、「挙」は文字の通り「挙げる」という意味です。
つまり、「枚挙」は「一つ一つ挙げる」という意味を持ち、それに「いとまがない」わけですから、何かが数えきれないほどある、数える暇がないほどだ、というようなことになります。
「数えるときりがない」「十指に余る」「掃いて捨てるほど」「幾多」と言い換えることもできます。
使い方
数えきれないほどある、というと何か擬態的な物に対して使われそうな感じがしますが、どちらかというと抽象的なものに対して使われることが多いです。
また、多すぎてうんざりする、というイメージがあるかもしれませんが、この言い回しは良い意味でも悪い意味でも使えます。
良い意味で使えば「彼の優秀な点は枚挙にいとまがない」など。
悪い意味で使えば「現代日本が抱える問題は枚挙にいとまがない」など。
また、「例をあげれば枚挙にいとまがない」など特にどちらでもなくても幅広く使うことができます。
まとめ
- 「いとま」は様々な意味合いを持っています
- 「おいとまします」は謙譲語なので使い方に注意しましょう
- 「枚挙にいとまがない」の正しい意味も理解しておきましょう
「いとま」が持つ様々な意味合いやその使い方、さらに「枚挙にいとまがない」の言い回しについて説明してきました。
普段使っているような言葉でも、詳しく調べてみると意外な発見があったりします。
改まった場で間違った言葉の使い方をしないように、様々な言葉の意味や言い回しを理解しておきましょう。
「いとま」という言葉は詳しい意味を知らなくても何となくニュアンスが伝わりますし、やわらかい中にも強い意志を感じる言葉なので、なんとなく相手に反論させない迫力を感じます。
上手に使えば便利な言葉のような気がしてきましたね!