最近バラエティ番組で剣道が取り上げられるようになり、剣道経験者の私はつい見てしまうのですが、芸能人で剣道二段を持っている方って結構いるんですね。
そういった芸能人を見ていると、剣道未経験者の方は「二段ってすごいの?」と気になると思います。
また、
「知り合いが剣道二段を持っているけれど、それってどれくらいなの?」と思っている方、
「剣道二段持っているけれど、これって自慢できる?」と考えている方…
などもいると思うので、
今回は剣道二段はどれくらいで取得できるのか、経験者から見て、剣道二段はどれくらいのレベルなのかなどをお話ししたいと思います。
剣道二段について
まず、凄いかどうかは置いておいて、剣道二段はどのようにして取るのか、審査はどれくらいの難易度なのかを説明したいと思います。
剣道未経験者の方は、ここで剣道二段の大体のイメージを掴んでいただければいいなと思います。
剣道二段の基本データ
剣道二段は、「剣道の基本を修得し、技倆良好なる者」。
審査内容は実技(基本打ちや地稽古)、日本剣道形(木刀を使った形)、学科(剣道の知識に関する筆記試験)です。
合格率は、地方によりますが約6割~7割ほど。
ちなみに、剣道の段位はある段を取得してから一定の時間が過ぎていないと次の段審査を受審することができず、二段は初段受有後1年以上修行しなければ受審資格が与えられません。
こうしてみると、上の段に行くにつれて多くの修業期間が必要になるのが分かります。
剣道二段はどれくらいで取れる?
剣道二段は、中学三年生で取ることができます。
これは最短ルートですが、剣道エリートでないと進めない道、という訳でもありません。
小学生の頃から剣道をしていれば大抵の子は中学生のうちに二段を取りますし、中学校から剣道を始めた子でも取ることができます。
ですから、テレビ番組などで「剣道二段!」と誇張されていても、剣道二段は何年も修行を重ね、大人になってからようやく取れる…!というものではなく、中学生のうちに取れる段位であるという事です。
武道の段位
素人だとどうしても数字に惑わされてしまいますが、各競技の段取得の難しさはそれぞれです。
段を取るのが難しい競技をしていた人は、それに当てはめて「二段!凄い!」と思いますし、段を取るのが容易な競技をしていた人は、「二段、ふーん…」と思うでしょう。
剣道二段といっても、それぞれ捉え方は違うと思います。
そこで、剣道との比較用に他の武道の段位についても調べてみました。
私は剣道以外全くの素人なのであまり詳しくは説明できないのですが、参考までに二つの武道を。
・初段 難易度偏差値39、超簡単。
・二段 難易度偏差値43、簡単。
・三段 難易度偏差値51、普通。
・四段 難易度偏差値55、普通。
・五段 難易度偏差値59、普通。
・六段 難易度偏差値65、難関。
・七段 難易度偏差値68、難関。
・八段 難易度偏差値73、超難関。
八段は超難関。二次試験もあります。
合格率は1%を切ると言われており、これは司法試験の合格率よりも低いもの。
そのため、剣道八段は日本最難関の試験と呼ばれることもあるそうです。仙人レベルですね!
・初段 難易度偏差値41、簡単。受審資格は男女ともに満14歳以上。
・二段 難易度偏差値44、簡単。受審資格は男女ともに満14歳以上。
・三段 難易度偏差値51、普通。受審資格は男女ともに満14歳以上。
・四段 難易度偏差値57、普通。受審資格は男子満14歳以上、女子満23歳以上。
・五段 難易度偏差値60、普通。受審資格は男子満20歳以上、女子満27歳以上。
・六段 難易度偏差値63、難関。受審資格は男子満27歳以上、女子満33歳以上。
・七段 難易度偏差値65、難関。受審資格は男子満33歳以上、女子満40歳以上。
・八段 難易度偏差値68、難関。受審資格は男子満42歳以上、女子満52歳以上。
合格率は非公開とのことですが、男女で受審するために満たしていなければならない年齢が違うのですね。性別によって、「△歳で○段」の凄さが変わってくるかもしれません。
・初段 難易度偏差値40、超簡単。
・二段 難易度偏差値42、簡単。
・三段 難易度偏差値41、簡単。
・四段 難易度偏差値42、簡単。
・五段 難易度偏差値43、簡単。
・六段 難易度偏差値44、簡単。
・七段 難易度偏差値45、簡単。
・八段 難易度偏差値46、簡単。
中学時代出稽古に行ったとき、畳で少林寺拳法部が活動しているのを見たことがあるのですが、超かっこよくて…剣道部員みんな釘付けでした。それだけに、こんなに昇段が容易なのには驚きました。
少林寺拳法は格闘技というよりも、宗教的な心身修行の側面が強いため、段位も技術の高さというより修行の達成度を示しているのだそう。そのため、昇段が比較的容易なんですね。
剣道二段はすごい?
それでは本題に入ります。剣道二段はすごいのでしょうか?
剣道経験者から見た剣道二段のイメージと併せてお話しします。
剣道二段、経験者から見ると…
小中と剣道を続けてきた人にとっては、はっきり言って剣道二段は懐かしの通過点。持っていて当たり前。これが経験者の多数派意見です。
先生に言われたことをきちんと守って日々稽古し、学科試験と日本剣道形の対策をし、中学三年生くらいでいつも通りを心がけて受審し、学校や道場のみんなで受かった。そんな感じです。
ネットで「四段までなら実質的には剣道の強さではなく剣道歴の長さを表す」という書き込みがあり、とても的確だと思いました。真実かどうかは置いておいて、経験者なら「わかるな~」と感じると思います。
また、彼らは道場などでもっと上の段の先生方と稽古をしているので、その先生方と比べたら二段なんて…と思っています。
ですから、テレビ番組で「剣道二段です!じゃーん!」と芸能人が登場し、剣道をよく知らない芸能人たちに「二段!凄いですね!」「かっこいいですね!」と言われているのを見ると、驚きを隠せないのです。
私も何度かテレビで剣道を見たことがありますが、二段で「芸能界代表」みたいに登場し、あまり上手でない剣道を見ると、「六段くらいの強い先生を出してよ!強い選手はもっとかっこいいんだよ!」ともやもやしてしまいます。
結局、剣道二段は凄い?
先ほどの説明を読めば、「なぁんだ、剣道二段ってそんなに凄くないじゃん」と思うかもしれませんが、凄いと感じるかどうかは人それぞれ。
先生の言うことをきちんと聞けば滅多に落ちることが無いのが剣道二段、という考えの人もいますし、自分の中でたくさん稽古を積んで、ようやく取れたのが剣道二段、という人もいます。
剣道経験者に「二段って凄いの?」と訊くと、大体前者の答えが返ってくると思いますが、二段も適当に剣道を続けてぽんと取れるものではありません。
二段は簡単だと思っている人も、本人が意識していないだけでそれなりの稽古はしてきたはずです。
ということで、剣道二段が凄いかどうかは人の感じ方によりますが、二段取得まで真面目に剣道を続けてきた、それなりに稽古を頑張ってきた証であるので、他人に自慢せずとも、自分の中で誇りに思っていいと思います。
履歴書は無理ですが、中学で二段を取っていれば高校入試にも使えます。
段位を誇張することについて私が思うこと
剣道二段は、経験者からすると大したことはないですが、誇りに思う価値はあります。
しかし、やはり段位を自慢したり、○段だから強いなどと言うように段位を誇張するのはあまりいいものではありません。
考え方は人それぞれだと思いますが、段位を前面に出すことについて、私の意見をお話しします。
剣道二段自慢
剣道二段、それなりに稽古を頑張ってきたという事で立派ではあるのですが、テレビ番組の「剣道二段です!」という誇張や、やたらと剣道二段を自慢してくる人は…私はどうかと思います。
というのも、剣道の段位を全体的に見たら、二段はまだまだ最初の段階だから。
二段までたどり着いた、剣道を続けてきた、というのはえらいのですが、さらに上の段位がまだまだある訳で、二段の段階であぐらをかいてはいけません。
私の感覚だと、四段くらいからなら自慢できるかな、先生だと六段は必要かな…という感じですが、剣士たるもの、そもそも段位を誇張したり自慢したりするようなことがあってはいけません。
実際、私は自分で「剣道○段持っています」と言う先生を見たことがありません。周りの先生や先輩から「△△先生は○段持っているんだよ」と聞きます。
また、「自分は○段持っているから強い」という考え方も間違っています。
自分を高めるために段を取るのであって、他人に「俺○段!」と自慢してくるような人、だから強いんだよ、というような人はそれまでという事でしょう。
武道の段を「楽」と言うのも良くありません
段位ばかりに気を取られ、剣道の本質を見失っている人、今の段位にあぐらをかき、向上心が無い人は剣士として品が無いですが、「剣道二段なんて楽勝じゃん」と言うのもあまりよろしくありません。
あまり二段二段と誇張されていると不満を漏らしたくなる気持ちは分かりますが、上の段の先生方は決して「二段?楽勝だよ、受かるよ~」なんて言いません。
初段を受審する子にも、二段を受審する子にも、「決して気を抜くな」「正しい剣道をしてきなさい」ときちんとお話をしてくれます。
私は高段者ではないので、「二段なんて簡単じゃん」と思ってしまうのですが…本来どの段審査でも真剣に受けて、自分はここまで頑張ってきた、という誇りを持つべきなので、武道の段を「楽」と一言で片づけてはいけないのです。
話がそれてしまいますが、結局のところ「凄いか、凄くないか」という次元のお話ではないのです…。
まとめ
- 剣道二段は基本を完璧に身に着ける段階です
- 剣道二段は簡単に感じますが、真面目に稽古を頑張ってきた証になります
- 段位は強さを示すためのものではなく、修行の成果のようなものです
少し真面目な話になりますが、剣道の段位は凄い、凄くないという事ではなく、また、強さを測る物差しでもありません。
剣道は人間形成を目的としており、進歩評価として段位を授かります。
ですから剣道未経験者の人が、各段位はどのように取るのか、取得するのはどれくらい難しいのかなどを知り、「剣道二段ってこれくらいなんだな」と知るのは良いのですが、剣道をしている剣士の皆さんには「○段だから凄い」「○段は大したことない」と言う風に考えないでほしいな、と思います。
高みを目指して、日々の稽古を頑張ってください!