ご自宅に体重計はありますか?
皆さんは自分の体重が現在どのくらいなのか把握できているでしょうか?
「今何キロになっているかなあ~」なんて呑気なことを言っている方はいませんか。
体重は自身の健康状態を知るうえで大切なバロメーターです。
できれば毎日チェックできるといいですが、忙しくて無理な方でもたまには体のことを気にして定期的に体重チェックすることをおすすめします。
とはいえ、実は体重計の数字にばかりこだわってダイエットをすると危険かも?!今回はそんなお話をしたいと思います。
脂肪は軽くて筋肉は重い?
私の学生時代の体育教師はとても(かなり?)太っていたのですが、さすがは体育教師。
いつもはでーんと座っているのですが、たまに授業のお手本で、その巨体からは信じられない素早い動きを見せてくれました。
そんな先生、水泳だけはできないらしく、先生曰はく「俺は体脂肪がほぼ無く、筋肉の塊だから水に浮けない」とのこと。
生徒たちからは「いやいやいや!(笑)」という反応が返ってきたのですが、私はここで「脂肪は筋肉よりも軽い」ということを知りました。
だって、脂肪をいっぱい蓄えている人って重そうじゃないですか。その脂肪が軽いだなんて…。
同じ体重でも見た目が違う
脂肪は筋肉より軽いといっても、なかなかイメージがつかみづらいのではないでしょうか。
しかし私には思い当たるフシがいくつか。
以前友人同士で体重を教えあったとき、スタイルの良いバレー部の友人の体重をきいた小太りの友人が「え~、あたしと同じ体重だね~」と若干調子にのったことがありました(笑)
当時は仲間内で「そんなわけない、絶対うそでしょ」とささやきあっていましたが、もしかしたら運動部で鍛えているため筋肉で締まっている友人の体重と、筋肉より軽い脂肪を多めに蓄えている友人の体重は本当に同じだったのかも知れません!
また、中年になりダイエットで出産前の体重に戻すことに成功した私…。
でも何かが違う。
何かというより明らかに見た目が違うじゃないの。
どうして?!
いかがでしょう?同じような経験をされた方もいるのではないでしょうか!
それでは、脂肪と筋肉の重さはどの程度の差があるのでしょうか。
重さが違うということは密度が違う
まず、重さの違いを比較するには同じ大きさ同士で比べることが基本ですよね。
イメージしやすいように、焼き肉の時油をひくための立方体のラードの塊と、同じ大きさの牛肉サイコロステーキあたりを思い浮かべてみてください。
実際のラードの塊は2~3㎤くらいですが、ここでは計算しやすいように1㎤で比較したいと思います。
脂肪の密度は1㎤で0.9007gなので、単純に1㎤の脂肪の重さは0.9007gだとわかります。
対して筋肉の密度は1㎤で1.1gなので1㎤の重さは1.1gというわけです。
同じ体積でも重さが違うということは中身がギュッと詰まっている、と考えるとわかりやすいですね。
実は「脂肪と筋肉の重さが違う」という言葉は厳密に言うと間違いなんです。
おそらく物理に詳しい方には突っ込まれるかと思うので簡単に説明しますが、正確には「密度が違うので重さに差がある」です。
しかし我々はダイエットの話をしているのであって難しいことは関係なし!
結果的に「重さが違う」ことにつながるのでこのまま「脂肪は筋肉よりも軽い」という解釈で間違っていません。
そこで、お気づきかも知れませんが脂肪と筋肉の重さの違いって、1㎤あたりとはいえ、たった0.2g程度なの?
同じ重さでの見た目を比較すると…
脂肪の軽さが筋肉に比べて大したことないんじゃないの?と思った方は多いのではないでしょうか。私もそう思いました。
しかし先ほどと逆の方法、つまり同じ重さの脂肪と筋肉の大きさを比較すると見た目でわかるので納得しますよ。
実際、同じ重さで比較すると脂肪と筋肉の大きさはどのくらいの差があるのでしょうか?
それぞれ100gで比較してみましょう。
1㎤で0.9007gである脂肪は、100g÷0.9007g/㎤=約111㎤
1㎤で1.1gである筋肉はというと、100g÷1.1g/㎤=約99㎤
いかがでしょう。100gで比較すると見た目に12㎤もの差があるわけですから一回り大きく見えるのは必然ですね。
ダイエットでは体重ばかり気にしないように
ダイエットの目的は美しい見た目を手に入れることですよね。
格闘家やボクシングの選手など協議のためにウエイトを落としたい人以外は、痩せている見た目が欲しいんです!
ですから、体重の数字なんて気にする必要なし!
「背中の肉が落ちた」「二重あごが治った」などの痩せた感と、「腹筋が割れた」「二の腕が締まった」などの美しいボディ感が手に入ればいいんです。
体重より体脂肪率を量ろう
体重に一喜一憂しないようにとはいえ、何かしら数字的な目標は欲しいですよね。
ならば、体脂肪計の使用をおすすめします。
人に体重を聞かれたら体脂肪率で答えてやればいいんです。
「見た目より軽いんですね」とか「見た目より重いんですね」と言われずに済みますよ。
もっとも、最近は異性に体重を聞くとコンプライアンスに引っかかったりするのですが。
自分の健康管理のためにも体重と併せて体脂肪率を把握することは大事です。
引き締まった体型のためには
筋肉質の人はなぜ引き締まった体型をしているのでしょうか。
それは、ついている脂肪がたるんでいないからです。
ではなぜ、筋肉がついていると脂肪がたるまないのかというと、筋肉は関節と繋がっているのはご存知ですよね。人体模型などで見たことがあると思います。
関節と繋がっている筋肉が脂肪を引っ張り上げて姿勢を維持しているので関節部分が締まって細くなり、全体的に締まった体型になるわけです。
逆に筋肉が少ない人は脂肪がたるんでしまい、丸い見た目になってしまうのです。
見た目の変化を期待するのなら、やはり体重より体型が重要ですよね。
ダイエット方法による体重増減の違い
筋肉のついたボディが理想なのに自分の身体には筋肉の代わりにたっぷりの脂肪が…という方。
この脂肪が筋肉に変わってくれたらと思ったことはありませんか?
実は一昔前の筋トレ業界では「脂肪を筋肉に変える」という指導方法が当たり前に語られていたとか。
もちろん、そんな都合の良い変換はおきませんので、理想の体型を目指すには地道に脂肪を減らして筋肉をつけるという努力をしなければいけません。
食事制限だけだと…
手っ取り早く痩せたいとき、食事制限に走ってしまう人は多いと思います。
修行僧のように炭水化物や肉、甘いものを絶ってサラダや豆腐ばかり食べる日々…。
そんな食事制限ダイエットはたしかに体重が減るんですよね。
しかし、おそらくこの方法で減ったのは筋肉だけです。
人の体はエネルギー不足になるとエネルギーに変換しやすい筋肉から先に分解してエネルギーを補うことがわかっています。
脂肪よりも重い筋肉が落ちたためちょっと食事制限しただけで意外と体重が減っていて「効果あり!」と勘違いしがちです。
もしかしたら筋肉が落ちた分は少し見た目も変わっているかも知れませんが、これでは一生食事制限を続けなければリバウンドする羽目に。
筋肉が落ちると基礎代謝が落ちるというのは言われているほどの大きな影響はないのですが、事実です。
筋トレだけだと…
筋トレ自体は苦しいですが結構楽しいものですよね。最近はジムもたくさんあって、ジム通いが大好きな人もいるようです。
中にはジムで汗を流すことで満足して、帰り道に焼肉屋さんでたっぷりスタミナ補給なんて方もいるようですが、筋トレさえしていれば好きなだけ食べて構わないというわけではもちろんありません。
筋肉は脂肪の下にあるというのをご存知でしょうか。
脂肪を減らさなければ筋肉がきれいに出ないので、締まった印象の体になりません。
お相撲さんは筋肉がしっかりついていると思いますが、たくさん食べて脂肪もつけているのでぽっちゃり感はそのままなのですね。
ところで、筋肉体質の人は代謝が良く痩せやすいという情報を見たり聞いたりしたことがあると思います。
ということは筋トレで筋肉を増やして脂肪をがんがん燃焼させたら一石二鳥なのでは?!と思いますよね。
実は私もそう思っていました。
お腹の脂肪を取りたくて毎晩ジャックナイフを100回…。
娘に「それってお腹が引っ込むの?」と聞かれ「多分ね」と答えていましたが、多分ではだめでした(がっかり)。
脂肪減と筋肉増はどちらが先?
そういうわけで、理想のダイエット方法は「脂肪を減らして筋肉を増やす」ことのようですが、それではこの二つは同時にできるのでしょうか?
最適なのはやはり有酸素運動です。
有酸素運動ときいて「またか…」と感じる方もいるかも知れません。何しろどのダイエット情報も結局は有酸素運動を推奨していますからね。
脂肪を減らして筋肉を増やす方法として有酸素運動をおすすめするのには理由があります。
有酸素運動とは体内に酸素を取り込んで行う運動を指しますが、有酸素運動は20分以上行うとエネルギーを補うために脂肪を燃焼してくれます。
しかも有酸素運動でも筋肉を鍛えることができるのです。
筋肉にはウエイトトレーニングなどのハードトレーニングで鍛えられる速筋と、有酸素運動で鍛えられる遅筋があります。
速筋は瞬発力を補う大きな筋肉で、遅筋は持久力を補う細くしなやかな筋肉なんです。
あまり目立った筋肉をつけたくないという女性には最適ですね。
強いて脂肪減と筋肉増の順番をつけるならやはり脂肪を減らしてから筋肉をつける方が効率良いでしょう。
脂肪を減らすための有酸素運動は、脂肪を燃焼させる前に分解しやすい筋肉を先に使ってしまいますから、脂肪を減らす前に筋肉をつけてしまうと、せっかく増やした筋肉が有酸素運動で使われて減少してしまいますからね。
まとめ
- 脂肪と筋肉は密度が違うので、結果的に脂肪は筋肉よりも軽い
- 体重計の数字にとらわれずに理想の体型を目指そう
- 有酸素運動で脂肪を減らしつつ筋肉をつけるのが理想的
先に書きました私の先生の話に戻りますが、先生の立派なお腹が筋肉だったわけがありません(笑)
しかし運動神経が良いことは確かで、筋肉も一応あったのだろうと推測されます。
あんなに太ってからもあれだけ動けたということは、筋肉は落ちていなかったのか??
何でも効率よく省エネで物事を進めていた先生。実は家ではこっそり筋トレしていたのかしら。
いずれにしてもあの太り方は健康上心配です。
先生、筋トレだけでなくちゃんと脂肪も落としていつまでも健康でいてくださいね!
皆さんも、間違っても自分の体重が重いのは筋肉質だから、なんて本気で思わないようにしましょう。