いまやゆとり世代は職場の中堅社員になりつつある今…。
新入社員じゃないんだから、しっかりしてくれ!とお悩みの上司の皆さん。
ゆとり世代について困ることのランキングに「メンタルが弱いこと」がありますが、メンタルの弱いゆとり世代に対して、普段どのように接していますか?
腫物を触るように接しているとしたら、それはもはや上司の皆さんの方がトラウマを抱えている状態と言っても過言ではないかも知れませんよね。
上司に気をつかわせるなんて、ゆとり世代って本当にメンタルが弱いのでしょうか?
ゆとり世代は打たれ弱い
ゆとり世代自身に対するアンケートでも、自分たちゆとり世代の特徴として「メンタルが弱い」が最上位に挙げられています。
どうやら自覚があるようですね。ではなぜそう思うのかというと「メンタルが弱いと言われるから」…。
ということは「自分のメンタルはなんて弱いんだ」と苦悩しているというわけではなさそうですね。
叱られることに慣れていない
ゆとり世代は「叱られること」に慣れていません。
親はもとより、学校の先生でさえも子供を叱ることを避けてきた顛末、とでもいいましょうか。
晩婚の両親が大切に育てた一人っ子であることが多く、また、教育方針も「全肯定型」の世代。
何をしても「いいんだよ」と言われて育ったことがわかります。
仕事でミスをして上司にちょっと怒られただけで過呼吸を起こすほどショックを受けたりするようです。
異常なほど失敗を恐れる
新入社員に対して「はじめは何もわからなくて当たり前なんだから、なんでも質問しなさい」というアドバイスはよくしますし、これは本当に大切なことだと思います。
最初は色々失敗しながら覚えていくものですし、わからないことを聞きに来てくれたら上司だって嬉しいものです。
しかし、なぜかゆとり世代にはその「最初はわからなくて当たり前」が通用していないように感じるのは私だけでしょうか。
異常なほど自分の無知や失敗を隠そうとする傾向がみられますし、指摘すると過剰な言い訳が飛び出します。
つまり「失敗」に対する恐怖心が非常に強いように思います。
これは挫折経験がないからなのでしょうか。
失敗しないように無難に物事をこなしたいので面倒なこと、難しいことにはチャレンジする気が全くおきないのでしょう。
負けることに慣れていない
また「負けること」にも慣れていません。
何年か前に話題になりましたが、この世代では順番をつけたり優劣つけることを教育上避けてきた傾向があります。
運動会の短距離走で横一列みんなで手をつないでゴールさせるという行き過ぎた平等のなかで育ってしまったのです。
例え勉強の成績が悪くても「学歴なんて必要ない。ナンバーワンにならなくていい」と言われて育ってきたので、努力や苦労を経験していなくても「これでいいのだ」の精神が宿っているのですね。
ですから、仕事で結果がでなくても同僚や後輩に追い抜かれても自分に問題があるということになかなか気づくことができないわけです。
ですから、仕事で初めて敗者と言う立場に立たされると、その不遇に立ち直れなくなってしまうことがあります。
ゆとり世代は何事もすぐに辞めてしまう
ゲームがうまくいかなくてリセットボタンを押すとき「こんな風に人生もリセットできたらなあ」なんて思う事ありませんか?
そもそも私のような古い人間はゲームでさえなかなかリセットボタンを使いません。
何だか途中で投げ出すようで気が引けるからです。
ゲームが思い通りにいかないとすぐにリセットできてしまう習慣で育ったゆとり世代はリアルリセットボタンを持っているのかも知れません。
諦めが早い
ゆとり世代はあまり自分の意見を発信しません。
しかし何も考えていないというわけでもないので、反論せずに「はい」や「そうですね」と相槌をうっている割には「そうかなあ」「違うんじゃない」など実は意見を持っています。
それを相手に伝えず黙っていますから当然解決することはないわけです。
なぜ黙っているのかというと「面倒くさいから」…ディスカッションすること自体が面倒で、どうせ上司の意見に従うのが一番だと諦めている傾向があります。
リセットへの罪悪感がない
職場での意見が合わなかったとき、解決する気も伝える気もないものですから「自分には合わないな」と早急に判断してさっさと転職してしまうことがよくあります。
「根性がない」と言うと古臭い考えのようですが、何事も粘り強く取り組んで解決するという経験は人生において非常に大切なことなのですが…。
そもそも会社に対してやりがいを期待していませんから、どこへ行っても大差ないわけです。
「うまくいかなかったな。なかったことにしてやり直そう」というリセットに対して長期間悩んだり誰かに相談するといったことがありませんので、思い立ったら辞めてしまうという人も中にはいるのが事実です。
取扱い注意なゆとり世代
ゆとり世代が打たれ弱いのにコミュニケーションが苦手では、フォローしようにもなかなか心を通わせることができません。
その結果すぐに辞めてしまうだけならまだしも、こちらが被害を被ることもあるようです。
中には本当に要注意人物のゆとり世代も存在するので、腹を立ててついとった行動がこちらの命取りになる場合を知っておきましょう。
なんでも「ハラスメント」に
「ハラハラ」という言葉があるのをご存知でしょうか。
これは「ハラスメント・ハラスメント」の略で、常識では「まさか!」ということをハラスメントだと騒ぎ立てることを指します。
私の職場でよく責任者に怒られているゆとり世代くんがいるのですが、彼は仕事の能力はまだまだですが我慢強い人格だと思います。
責任者が長時間彼に愛のある熱弁をふるっている様子を見て…いつ「我慢できない!」と泣き出すか内心ハラハラしています。
実はその責任者、開き直っているタイプのゆとり世代女子に対しては注意の仕方が違います。
その女子には強く言えばおそらく逆切れしてくるだろうし、気の毒な話ですがそもそも叱っても理解しないので意味がない、と責任者は諦めているのだそう。
常識の範囲内で部下に注意をしただけなのに「パワハラを受けた」ですとか、正当に仕事を評価しただけなのに「モラハラだ」など何でも自分の権利を振りかざして主張してくるゆとり世代も中にはいます。
個々の耐性や叱って意味がある相手なのかどうかも見極めながら指導していかなければ、感情でものを言うとこちらが被害を被るかも知れません。
心療内科へ直行
仕事でいやなことがあってもぐっとこらえて出勤すると、結果的に自分が成長することってよくありますよね。
しかし、ぐっとこらえるという性質のないゆとり世代は迷わず欠勤を選択しがちです。
一日休むと二日目も無理…という具合にどんどん出勤できなくなっていきます。
そうするともう立派なうつ病患者扱いです。心療内科で「職場ストレスによる自律神経失調症」なんて書かれた診断書を持って休職を要求してきます。
会社としてはどうすることもできませんよね。
昔の考えを押し付けないこと
ゆとり世代とは困ったものだという話をしてきましたが、上司側も考えを変える必要があるのは事実です。
会社も時代に合わせて変化していくべきですし、ゆとり世代に合わせることに対して遠慮や危険回避だと考えずにもっとお互いに歩み寄る方法を模索するのが賢い選択だと言えます。
例えば新人研修で体育会系の要素を盛り込んで自主性のないゆとり世代に喝を入れよう!という企業も未だに見受けられますが、これは甚だしく時代遅れと指摘されてもおかしくありません。
ゆとり世代にとって、日本に未だ残っている上下関係やタテ社会は、とてもなじめそうにない苦痛な文化なのです。
昔の考え方を強要すればますます彼らは殻に閉じこもってしまうでしょう。
まとめ
- ゆとり世代が打たれ弱い背景には育ってきた環境が大きく影響しています
- ゆとり世代は粘り強さを持ち合わせていないので諦めが早くすぐにリセットしたがります
- ハラスメントに当たらないようにお互いに歩み寄る考えを持つことが大事です
「メンタルが弱い」という言葉をゆとり世代の個性と関連付けることに、私は違和感があります。
なぜならゆとり世代の特徴から考えるとメンタルはむしろ強いからです。
うつ病を発症してしまう人はまじめで我慢強い傾向があります。耐え続けた結果、うつ病を発症してしまうのです。
ですから、ゆとり世代の特徴はむしろうつ病の発症を避けることができるでしょう。
もちろんゆとり世代が全員そのような性格ではありませんから一括りにして話はできませんが「辛いことから逃げても構わない」といううつ病予防の基本を彼らは持ち合わせていることになりますよね。
さて、このゆとり世代の個性を長所ととらえるか、短所ととらえるかは難しいところですが、何事も極端はいけませんね。
逃げすぎてもいけないし、我慢しすぎてもいけません。
我慢不足ですぐに逃げてしまうゆとり世代の短所を理解しつつ、メンタルが弱いようで実はたくましく生きているゆとり世代のことを、上司はもっと理解するように努力すべきなのかも知れません。